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第325話

Autor: おやき
清華は慌てて箱を引っ込めた。「ちょっと、これは私が二時間も並んでやっと買えた金木犀のケーキなんですから」

「だから何?」

「だから、その価値を最大限に引き出さなきゃいけませんよ」

清華は薫子を連れて、路地の奥にある一軒家を訪ねた。ドアをノックしてしばらくすると、エプロン姿の婦人が顔を出した。

清華を見て一瞬考え込んだ後、ようやく思い出したようだった。

「あら、綾瀬さん。やっと来てくださいましたね。夫人が毎日あなたのことを口にしてらしたんですよ」

清華は手伝いらしき婦人に挨拶し、老婦人の最近の体調を尋ねた。

「あまり良くないんです。ここ二三日、まともに食事を召し上がっていなくて」

清華が中に入ろうとした時、杖をつき、白髪頭の老婦人がよろよろと歩いて出てきた。清華の姿を見るなり、急いで手招きした。

「三女、三女や、どうしてこんなに長い間、お母さんに会いに来てくれなかったの!」

薫子は驚いた。「この方は?」

清華は小声で薫子に言った。「朗月の桐生社長のお母さんよ。ご高齢で少し認知症が入ってて、私のことを亡くなった三女さんと勘違いしていらっしゃるの」

短く説明すると、清
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