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第595話

作者: 雪吹(ふぶき)ルリ
佳子は物音に起こされた。隣にいる迅が起き上がろうとしているのを感じ、彼女はぼんやりと目を開けた。

昨夜二人はベッドで始まり、バスルームへ移り、最後はソファでも……二人は体力を使い果たすまで愛し合った。今、少し動くだけでも佳子の体は火がついたように痛み、まるでバラバラになりそうなほどだった。

「迅……もう行っちゃうの?」

佳子は迅の胸に顔を埋めるようにして眠っていた。迅はずっと佳子を抱きしめていた。しかし、どれだけ静かに動いても、迅が動くと佳子は目を覚ましてしまった。

迅は優しい眼差しで彼女を見つめた。「佳子、行かなきゃ」

「今何時?」

「もうちょっと寝てて。まだ朝の四時だよ」

佳子は手を伸ばして彼を抱きしめ、小さな子猫のように彼の胸元に潜り込んだ。「まだ四時なら、もう少し一緒にいてよ……」

しかし、迅はホテルに戻らなければならないのだ。茜が目を覚ました時に彼がいなかったら不自然だし、彼自身もやるべきことがある。

だが、佳子がこうして甘えてくると……迅は、自分も彼女には逆らえないと気づいた。

彼はベッドに戻り、彼女の額にキスを落とした。「いいよ。もう少しだけ……佳子は寝ていいよ」

佳子は彼の端正な顔にキスをし、疲れ切っているため、すぐに再び眠りに落ちた。

迅は目を閉じることもなく、彼女を長い間抱きしめた。昨夜の感覚はまだ体の芯に残っており、思い出すだけで痺れるような甘い感覚が蘇った。あの絡みつくような熱は、今でも骨の髄まで染みついている。

昨夜の衝動は強すぎた。自分は佳子を、こんなに美しく純粋な温室育ちの花を、自分のものにしてしまったのだ。

迅は愛おしそうに佳子の卵のような顔を見つめ、そっと顔を近づけてキスをした。その唇にも、長い髪にもキスを落とした。ずっと心に抑えていた想いを一度解き放ってしまうと、止められなかった。迅は本当に心の底から、佳子を好きになっていた。ずっと一緒にいたいと、彼は強く思った。

迅は佳子を強く抱きしめた。だが、あまりに強く抱きしめすぎたのか、彼女は繊細な眉をひそめ、かすかにうめくように呟いた。「痛いの……」

迅はすぐに腕の力を抜き、もう無理はさせまいと自制した。

やがて佳子が深い眠りに落ちたのを見届けると、迅は静かに布団をめくってベッドを下り、服を身につけた。そしてもう一度、彼女にキスをしてから部屋を後にした。
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