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第5話

Author: べつに
心のつかえが取れて、手が震えてしまった。

大学に行けることになったのだ。

3年間の努力が無駄にならず、浪人なんてしなくていい。

母が私を抱きしめて、泣き崩れた。

父はタバコを一本吸い切るとこう言った。「親戚たちに知らせなきゃな。合格祝いだ!」

合格祝いの食事会は、家の近くのレストランで行うことになった。

食事会の会場に着くと、偶然にも真司の合格祝いが同じレストランで開かれていた。

彼の両親、中山健二(なかやま けんじ)と中山恵美(なかやま えみ)が、ちょうど出口で客を出迎えていた。

健二と私の父は仕事上の付き合いがあり、顔を見るなり声をかけてきた。

「山田さんじゃないか!娘さんの合格祝いか?いやいや、奇遇だね!」

彼が私の方を向いて、笑顔で言った。

「寧々ちゃん、最近うちの真司と遊んでいないのか?」

私が答える前に、甲高い女性の声が割り込んできた。

「寧々!本当に来てくれたのね!」

若葉がホールから駆け寄ってきて、私の手を掴んだ。

「来ないかと思ってた。その……」

若葉が最後まで言い終わる前に、私は手を振り払った。

若葉の表情が一瞬で曇り、涙目になった。

「寧々、まだ許してくれないの?

私も真司くんも謝ったじゃない?これからの1年、また一緒に頑張ろう?」

母が、すっと私の前に立ちはだかった。

「中野さん。この3年間、寧々が学費を出してあげたり、面倒を見てあげたりしたのはいいわ。

でも今回したことは許せない。仮に寧々が許しても、私たち親はもうあなたと関わらせるつもりはないわ」

若葉はその場で青ざめた。

中山夫婦は事態が飲み込めず、顔を見合わせた。

そこへ、真司が出てきて、母に言った。

「お言葉ですが、いくら大人だからって、女の子相手にひどいじゃないですか?」

両親が非難されているのを耳にし、私は足を止めて反論しようとした。

私は両親の前に出て、真司を真っすぐ見た。

「言い過ぎ?真司。あなたが若葉と一緒に私の出願サイトのパスワードを悪用して、私の志望校を勝手に変更したことはひどくないとでも言いたいの?」

真司は眉をひそめて言った。「あれは終わった話だ。いつまでも……」

「終わってなんていないわ」と私は真司の声を遮った。「あなたと話すことなんて何もないの」

私は深く息を吸い込み、両親を促した。「お父さん、お母さん、行こう」

すると突然、真司が私の腕を掴んだ。

「いい加減にしてくれ、寧々。まだ騒ぐつもりか?」

その口調には、明らかな苛立ちが混じっていた。

「参考書も探さないし、予備校にも行かないのか?俺と国立盛沢大学に行く気はないのか?」

そう言うと、真司はリュックを漁り始めた。

「受かった同級生にもらった参考書だ。これ……」

「真司。勘違いしているみたいね」

私は容赦なく言葉を遮り、真司の目を見つめ返した。

「浪人はしないし、国立盛沢大学にも行かない。

私は既に雲嶺市立大学という難関国立大学に合格しているわ。今日は、私の合格祝いの食事会なのよ」

真司が手に持っていた参考書が、どさりと床に落ちた。

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