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第7話

Auteur: 今宵で成り上がり
病院で、ベッドで寝込んでいた和樹の息が荒かった。彼は憤怒で楢崎のことを指で指していた。

「この悪女め、僕に手をかけるとは」

「隼人から孫の面倒を見るのを頼まれたのいうに、百貨店まで連れて行ったのはともかく、麻雀までに連れて行ったとは。麻雀するだけでそんなに慌てる必要はどこにあった?孫を家まで送る暇も作れないのか!?」

「文句を一つや二つ言っただけで、殴りかかってくるとは」

「嫁にもらうのは、お前を神のように祭り上げるためじゃないぞ」

「孫の世話くらいろくにできないうえ、僕を殴るなんて」

「さっさと出ていくがいい。離婚しても、一円たりとも金は渡さないからよ」

和樹の頬は怒りで真っ赤だった。顔中は爪痕だらけだった。

私は目を伏して、楢崎の手を見た。新しいネイルのようで、かなり長かった。そして、ラインスローンまでつけた。

楢崎は両腕を組んで、和樹に向けてにやついた。

「一円たりとも金は渡さないだと?私たちは結婚してるのよ、婚姻届を出す前、和樹さんは自ら進んで私の名前を不動産証明書に他してくれたんだ。離婚するのなら、財産の半分を渡さないと」

和樹はずっと白い目を楢崎に送り
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