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第386話

Author: 木真知子
桜子は目に陰りを浮かべ、紅い唇を少し持ち上げた。

「ふん、面白いじゃない。私を相手に計算してくるなんて。いいわ、誰か知らないけど、私を本気にさせたらどうなるか、思い知らせてあげる!」

契約が破談になったものの、桜子は全く動じる様子を見せなかった。

大口顧客を失うのは痛手ではあるが、それ以上に重要なのは、ホテルに潜む内通者を早急に突き止めることだ。そうしなければ、後にもっと大きな問題を引き起こすだろう。

「桜子様、このお菓子の箱......」翔太はためらいがちに口を開いた。

桜子は長い睫毛を少し震わせると、手に持っていた箱を迷いなくゴミ箱に投げ入れ、振り返ることなくその場を去った。

「受け取ってもらえたものは贈り物。受け取ってもらえなかったものはただのゴミよ。私が渡したものを回収するなんて、そんな恥ずかしいこと、するわけないでしょう。行くわよ」

二人が去った後、高く引き締まったシルエットが静かに暗がりから姿を現した。

隼人は桜子が去っていく背中をじっと見つめ、その瞳には揺れる波紋が浮かんでいた。

「隼人さん、これで若奥様も忙しくなりそうですね。内通者を見つけるなんて
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