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第 87 話

作者: 柏璇
別荘を出た蒼司の全身からは、重たい気配が漂っていた。

脳裏に浮かんだのは、訓練所に通っていた頃の彩乃の姿。あの頃の彼女はいつも静かで、一人で過ごしていた。性格も穏やかで、人を持ち上げては見下すような人間では決してなかった。

なのに――数年の裕福な暮らしで、目線まで高くなってしまったのだろうか。

蒼司は幼い頃から、水野家が破産したときでさえ、人に蔑まれたことなど一度もなかった。

どんな場にいても、彼の能力は際立っていたのだから。

だからこそ、彩乃のあの言葉は心の奥底を逆なでした。

どうして彩乃の家族が、自分を「ふさわしくない」などと決めつけるのか。

抑えきれない苛立ちが心をかすめ、蒼司はふっと冷
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