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第 86 話

作者: 柏璇
葵衣は呆気にとられた。

――ここまで図太いの?

彩乃は礼も言わず、あっさり客を追い出した。「見たいものはもう見たでしょ。そろそろ帰って」

わざわざ蒼司を家に入れたのは、ただ伝えたかったからだ。

――水野家を出ても惨めになるわけじゃない。これからはもっと幸せに生きていく、と。

「遠くから来てもらったのに、客に食事も出さないなんて。蒼司、あなたからも少しは礼儀を教えたらどう?これじゃ体裁が悪いわ」由香が不満そうに口を挟む。

彩乃は淡々と返した。「私は家政婦を雇っていませんから、どうにもなりません」

由香は引かず、むしろ堂々とした調子で言い返す。「あなた、料理くらいできるでしょ?それがだめなら友人に
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