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第10話

幸月
杏奈の心が慌てる。訳もなく動揺してしまった。

けれど、蒼介の隣にいる紗里を目にした瞬間、自嘲せずにいられなくなる。

浮気をしているのは自分じゃない。蒼介のあの眼差し、一体何なのか。

「……杏奈?」

裕司が彼女の白くなった指先に気づく。「気分が悪いなら、先に帰ってもいい」

彼が杏奈をここに呼んだのは、主に今活躍している新進デザイナーたちの発想を見せるためだ。見終わったなら、いつでも帰って構わない。

杏奈は微かに首を横に振り、少し離れた場所の紗里を見つめる。

「大丈夫です、先輩。ただ、自分のデザインを他人が身につけて、自分の手柄のように自慢しているのを見ると、何とも言えない気持ちになって」

視線を戻し、隣の裕司を見て、杏奈は無理やり笑みを作る。

「だから大丈夫です、先輩。会いたいデザイナーがいるんでしょう?お仕事に専念してください。私のことは気にしないで」

裕司は彼女を深く見つめ、頷いた。「分かった。じゃあ先に行ってくる」

裕司が離れた後、杏奈はさらに二つの作品を見てから、ゆっくりとテラスへ向かった。

夕暮れの風がかすかな涼しさを運び、心の中の鬱屈を少し晴らしてくれ
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