LOGIN「裏切った?違う、お前は捨てられたんだよ」結婚式二週間前、婚約者・陽向と秘書の結愛の浮気現場に乗り込むと妊娠を祝福しシャンパンを開けて喜んでいた。婚約破棄を訴えると、「結愛は私の娘、お前の義妹だ」と父は嘲笑する 婚約者を奪われ、父と陽向の嫌がらせで会社も家も追われ、「元令嬢」になった英玲奈。そんな英玲奈に手を差し伸べたのは圧倒的なオーラを纏った正体不明の男。 怪しいながらも英玲奈の危機を助けてくれた男の誘いに乗り、英玲奈は新しい人生を歩むことを決意。この男は一体何者なのか?すべてを失った元令嬢が、最恐の味方と共に全てを奪い返す大逆転復讐劇が今、幕を開ける―――
View More英玲奈side妻である結愛と、新しく雇われた若杉がリビングで淫らに肌を重ね、俺の失態を嘲笑していた惨めな深夜から数日。あの日以来、南雲家の中に漂う空気は異様な冷たさを増していた。義父からの評価は地に落ち、社内でも俺を露骨に軽視する動きが広がっている。このままにしておけば、俺は南雲家からゴミのように放り出されるだろう。英玲奈のように地位も家柄もすべてを奪われて、都合よく搾取され、最後は何一つ残っていないまま捨てられる——そんな屈辱的な結末だけは、何としてでも回避しなければならなかった。(結愛、お前だけが安全な場所にいられると思うなよ……)俺はかつて城之内家で秘密裏に使っていた信頼の置ける興信所に大金を積み、結愛の身辺調査を依頼していた。結愛の過去、日常の行動、そして何よりあの若杉という男との接点。南雲家や義父に感づかれないよう、細心の注意を払って進めさせた調査だった。そして今日、指定したホテルのラウンジで、調査員から厚みのある一冊の報告書を受け取ったのだ。「南雲様、ご依頼いただいた
英玲奈side少しひんやりとしたシーツの上に私を寝かすと、覆うように重なってくる凱の重みと体温がダイレクトに伝わってきた。キングサイズの分厚いマットレスも馬乗りになった凱の重さでギシリと音を立てて沈み込む。間接照明の柔らかな光が、凱の彫りの深さを強調し、整った顔立ちを陰影深く照らしている。普段はクールで隙のないその瞳が、今は私だけを捉えて、見たこともないほどの情熱と熱量を孕んでいた。「凱……」その名前を呼ぶだけで、胸の奥が甘く締めつけられて疼く。凱は愛おしそうに私の目元に指先で触れると、そのまま頬を撫で、ゆっくりと顔を近づけてきた。「英玲奈……もう離さない」低く掠れた声が耳元を揺らした直後、重ねられた唇。私の唇を割ってすべり込んでくる熱い舌が口の中をすみずみまで満たしていく。「ん……ッ……ふ……ん……」思わず漏れ出た甘い声を受け止めるように、凱は何度も角度を変えて私の唇を貪っていく。息が続きそうになく胸元を小さく叩くと、凱は名残り惜しそうに一度唇を離した。ねっとりとしたキスは糸を引き唇はすでにぐちょぐちょでグロスを塗ったようにてかてかに光っている。「お前がそんな顔をすると……加減がきかなくなりそうだ」「いいよ。加減なんて……しないで……凱の思うままにして」自分でも驚くほど素直な言葉が口をついて出た。その言葉に凱の瞳が一層深く揺れ、凱の大きな手が勢いよく私の服のボタンを解いていく。けれど、指の動きは繊細で、私の体勢が苦しくないように気を遣ってくれている。衣服が滑り落ちて、素肌が見えるたびに凱は唇でむき出しになった部分に触れて、夜の冷気を感じないように温めてくれる。「あっ……ん…………凱……」その生温かい熱と感触で全身に甘い痺れが駆け巡る。肌と肌が直接触れ合うたびに、身体の芯から熱い波が押し寄せてくる。凱の長い指先が私の鎖骨からウエスト、そしてその先へと優しく、けれど確かになぞっていく。指が触れた場所から熱が発火し、身体が勝手に跳ねてしまう。「凱……っ、あ……」「英玲奈、俺を見ろ」命じられるままに瞳を開けると、至近距離で私を愛おしそうに見つめる凱と目が合った。「英玲奈……お前が欲しい。お前も、俺だけを見てくれ」「んっ……凱……きて。あなたと一緒になりたい……っ」熱い吐息とともに首筋へ、そして胸元へと落とされる熱い口づけ。凱が唇
英玲奈side凱にそう告げられてからというもの、仕事がひと段落つくと凱の低く甘い声が何度もリピートされて、仕事に身が入らなかった。何とか気合で仕事を片付けて地下駐車場へと向かうと、既に凱の姿がある。一旦家に戻ったのか、社用車ではなく自分の車だ。助手席に乗り込むと、サングラスをかけた凱が私を見て小さく微笑む。「……車、替えてきたのね。待たせた?」「いや、ぴったりだ。運転手もいたら、落ち着かないだろう。久々に早く終わったから運転したくなっただけだ」凱は口元を緩めると、静かに車を走らせた。車窓の外を流れる都心の夜景を眺めながら、どこへ向かうのだろうと心躍らせている。これでは私の方がお礼をしてもらっている気分だ。二十分ほど車を走らせて着いたのは、自宅マンションではなく東京湾を一望できる高級ホテルの最上階スイートルームだった。部屋に入ると、食事が出来るように既にテーブルはカトラリーがセッティングされており、すぐに食事が出来るようになっている。外に目を向けると、一面のガラス窓越しに輝く夜景。「たまには、自宅ではなく過ごすのもいいかと思ってな。ここなら、周りを気にせずに話すことが出来る。それに眠くなったら、すぐに横にあることも出来るぞ」夜景から少し横に視
英玲奈side「英玲奈様、おはようございます」朝、支度を終えてマンションの地下駐車場へ向かうと、黒の高級車が停まっている。後部座席のドアを開けて乗り込むと、運転席から加藤が朗らかな笑顔で私に挨拶をしてくれた。「おはよう、加藤。今日もよろしく頼むわね」あの騒乱の緊急記者会見に登壇した直後、加藤は長年勤めた南雲家へ自ら辞表を提出して去った。再就職先を決めていなかったという彼を引き止め、再び私の個人的な専属運転手になってもらおうと契約を持ちかけた時のことだ。隣で話を聞いていた凱が、冷ややかに会話を割り込んできたのだった。「勝手に決めるな。個人的な専属運転手なんて必要ない」「ちょっと……これは私と加藤の話よ。あなたに迷惑は掛けないわ。好きにさせて!」いくら夫となった凱の言葉であっても、長年私や母に忠実に向き合ってくれた加藤を見捨てるような真似だけは絶対にできなかった。私が頑なに突っぱねようとすると、凱は呆れたように大きく溜め息をついて言葉を続けたのだ。「……そうじゃない。個人で雇うような真似はいらないと言ったんだ。今回の騒動で英玲奈が俺の妻だということは世間に広く知れ渡った。今後はマスコミのマークも厳しくなり、これまで通りの生活はできないだろう。だから——会社として正式に専属の運転手を配置