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第3話

Author: 文美
資料をまとめていた手がふと止まった。

そうだ、桑原家には桑原晴樹(くわはら はるき)がいる。

彼はまだ十三歳だが、幼い頃から私と親しかった。

早産で生まれたため、祖父母や親族から溺愛され、わがままで生意気な性格に育ったが、どこか憎めず、愛嬌があった。

家に突然、素性不明の姉が現れたのだ。当然騒ぎを起こすだろう。

まして晴乃に下心があるのだから。

前の人生でも、晴樹はずっと私の味方でいてくれ、やがて晴乃のせいで桑原家の大人たちと対立するようになった。

試合の準備はほぼ整っていた。少し顔を出しても構わないだろう。

そう考え、私は今回の招待を受け入れた。

パーティーは想像以上に盛大だ。

顔見知りの同級生だけでなく、有名人や、見慣れぬ来客までいた。多くの者は面白半分で様子を見に来ているのだろう。

三宅家と桑原家は昔から親しく、私と晴也は将来の縁談候補とみなされていた。

そこへ新たにお嬢様が現れた。単なる養女なのか、それとも別の意味があるのか、誰も測りかねていた。

「雪音姉!やっと来た!」

会場に足を踏み入れた瞬間、弾丸のように少年が飛び込んできた。

早産児とは思えないほど体は丈夫で、十三歳にして私と同じ背丈に達している。

唇は紅く、歯並びも白く整い、深紅のスーツに身を包んだ姿は気品に満ちていた。透き通るような瞳がまっすぐ私を見つめ、その気配は無邪気で人を惹きつける。

声変わりを終えたばかりの彼の声は澄んでいてよく響き、山の湧水のように清らかだ。一言で周囲の視線を集めてしまった。

私は言葉を失った。普段なら、彼の声をもっと聞きたいと思うほど心地よい。

だが今は……

「晴樹、なにしてんの?」

私の作り笑いに、晴樹は無邪気に瞬きを返した。

「行こうよ。雪音姉。ここにあるスイーツは全部雪音姉の好きなやつだよ。新しいレシピも考えて作らせたんだ。一緒に食べよう」

「どうせ自分が食べたいだけでしょ。私は今ダイエット中。次は低カロリーのメニューでも研究して」

「雪音姉は十分細いじゃん!女の子はもっと食べなきゃ!」

私と晴樹が変わらず親しげにしているのを見て、周囲の者は内心で納得した。

晴樹は誰の言うことも聞かない。実の兄でさえ、彼の笑顔をもらったことはない。

唯一、彼を制御できるのは私だけ。

少し雑談を交わした頃、晴也と晴乃が姿を現した。

晴也は一人ひとりに彼女を紹介し、晴乃も愛想よく褒め言葉を添えて、場の空気は和やかに見えた。

「ふん、偽善者と腹黒女、お似合いだな」

晴樹は不満を隠さず、私に耳打ちした。「雪音姉、絶対に兄と一緒になっちゃダメだよ。あの晴乃って女、絶対ろくでもない。兄だってバカだし、毎日晴乃ちゃんってうるさいんだ。聞いてるだけでイライラする」

私は微笑んで問い返した。「彼女、あなたに何かした?」

「僕、子どもだからって馬鹿じゃない。夜遅くに寝ないで、わざと廊下をうろついてさ、『暗いのが怖いの』なんて言うんだ。誰に甘えてるつもりだよ?」

この世界ではまだ正式に養女になっていないせいか、焦っているのだろう。晴也に嫌われまいと必死なのだ。

私は口を引き結び、晴樹の頭を撫でて宥めた。「焦らないで、もう少し我慢しなさい」

晴樹の瞳がぱっと輝く。「雪音姉、それって……」

言葉の続きを飲み込みながらも、互いに察していた。

私は首を振り、その先を封じた。

「私は少し休憩室に行くわ。ここはうるさすぎる」
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