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第10話

Author: 紗々
私は彼の肩に頭を預け、静かに目を閉じる。

「愛してる」――その一言は、まだ言えない。

けれど心の中でこっそり思う。きっともうすぐ、言えるようになる。

……

時折、凌太の噂が耳に入ってくる。

最初は、会社の下で私を待ち伏せしていたことだった。

警備員から対応を尋ねる電話があり、私は追い払ってほしいと伝えた。

しかし彼は帰ろうとせず、ビルの前の花壇の縁に3時間も座り込んでいたらしい。最後は警備員たちに両脇を抱えられて連れ出される羽目になった。

遠くから窓越しに見下ろした彼の姿は、ひどく惨めなものだった。スーツはシワだらけで、髪もボサボサに乱れており、あの隙のなかった凌太とは別人のようだ。

その後は、次々と番号を変えては電話をかけてくるようになった。

電話に出て、彼の声だと分かった瞬間に切って着信拒否にする。彼が別の番号に変えれば、それもまた着信拒否にする。

そんなイタチごっこを何度も繰り返し、使える番号をすべて使い果たしたのか、彼はようやく大人しくなった。

ある時などは、泥酔して夜中に私のマンションの下まで押しかけてきた。

もっとも、それは私と浩介が今住んでいる場
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