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【第72話】言い合い

Penulis: 櫻恭史郎
last update Tanggal publikasi: 2026-09-16 18:10:16

 腕を掴むキャンディの強い力と、胸元から漂う甘く官能的な香水の香りに、セラの心は少しずつ、おそろしい気持ちで冷えていった。

 けれど、怯えてばかりではいられない。

 セラは意を決して、彼の不思議な紫がかった碧い瞳を見つめ返した。

「……キャンディ。先ほどの方が王妃様のお気に入りとおっしゃいましたが、あの方のお名前をご存じですか?」

 この状況から逃れ出たいのは山々だったが、ジェイドの力になるための情報を、ここで引き出せるかもしれない。

 問いかけを受けたキャンディは、一瞬意外そうに瞬きをした。

 だが、すぐに面白がるような笑みを口元に浮かべる。

「そんなに、あいつが気になるの? あいつの名前かぁ。うーん、どうしようかな〜。教えちゃおうかな、それとも秘密にしようかな〜」

 キャン

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