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第63話

Author: 迷い魚
その光景に、伊織は強い不快感を覚えた。

どうして、これほど倫理に欠けた二人が何の報いも受けずにいられるのか。

そして、紗和のように優しく善良な女性が、なぜ追い詰められなければならないのか。

「本当に、ご主人に挨拶しなくていいのか?」

紗和と怜央は、まだ正式には離婚していない。

ここで紗和が御堂家の妻だと明かせば、怜央と莉乃がどんな顔をするのか、伊織は見てみたい気もした。

紗和には、伊織の意図が分かっていた。

だが、首を横に振った。

「やめておくわ」

その必要がないというのが一つ。

もう一つは、怜央と結婚した際、夫婦関係を公にしないと約束していたからだった。

間もなく、プレゼンテーションが始まった。

エントリーした企業は300社を超えていたが、勲に与えられた時間は限られている。

そのため主催者側は、勲が求める投資分野に合わない企業を、あらかじめ選考から外すことにしていた。

今回の投資対象はAI分野だった。

そのため、関連性のない製品は、この時点でプレゼンテーションの機会を失った。

残った企業の発表順を決める際、主催者側は怜央の影響力に加え、莉乃と勲が親戚ら
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