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第114話

Author: かおる
そのとき、清子が怜を乱暴に突き飛ばした。

「何をしてるのよ!」

怜は床に倒れ込み、手にしていたスプレー薬が転がり落ちる。

清子は眉をひそめ、冷ややかに言った。

「ここは子どもの悪ふざけをする場所じゃないの!」

怜の腕には擦り傷ができ、血がにじんでいた。

鼻をくしゃりとしかめ、怜は震える声で答える。

「僕、悪ふざけなんてしてない」

「まだ言うの?

あなた、普段から幼稚園で翔太くんをいじめてたでしょう。

今、翔太くんが発作を起こしてるのに、また邪魔をしにきて......本当は翔太くんを死なせたいんじゃないの?」

清子の表情は真剣そのもので、声は鋭く責め立てる。

「小さな子どもなのに、どうしてこんなに意地が悪いの?」

怜は必死に首を振った。

「違う!

僕は翔太お兄ちゃんを助けたいだけだよ!」

雅臣の眼差しも冷たく光る。

「なら、さっきのお前の行動は何だ?」

怜はすくみ上がりながらも、弱々しく答える。

「助けようとしたんだ......」

「嘘をつかないの!」

清子がきつく言い放つ。

「嘘じゃない!

星野おばさんがそう言ったから、僕はその通りにしただけ!」

「ふん」

清子は鼻で笑った。

「ここには専門医がいるのよ。

なのに、医者の言うことを無視して、あの人の言葉を信じるって?」

怜は真っすぐに言い返す。

「だって......星野おばさんは翔太お兄ちゃんのママだもん。

誰よりも翔太お兄ちゃんのことをわかってる」

その言葉に、雅臣の瞳は鋭く細められ、冷たい殺気が漂う。

「もし翔太に何かあったら......たとえ子どもでも、俺は絶対にお前を許さない」

その時だった。

「見て!

あの子の様子が良くなってる!」

人ごみから驚きの声が上がる。

雅臣ははっとして翔太に目を向けた。

火照っていた顔色は落ち着き、呼吸も楽になっている。

赤い発疹は残っていたが、痙攣は止まった。

医師も思わず目を見張る。

床に落ちていたスプレーを拾い上げると、市販では見かけない薬だと気づいた。

嗅ぐと薬の匂いがする――特別に調合されたものだ。

星は翔太の容体が安定したのを見て、張り詰めていた気持ちが一気に切れた。

その場に崩れ落ち、肩で大きく息をつきながら虚脱したように座り込む。

その様子を見た周囲の人々は顔を見合わせ、彼女
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