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第362話

Author: かおる
影斗は視線を落とし、怜に問いかけた。

「怜、この件について、父さんが代わりにお前のために筋を通してやろうか?」

怜は答えた。

「この件のきっかけは、そもそも星野おばさんが翔太お兄ちゃんの誕生日パーティーで、誰かにわざとつまずかされたこと。

父さんが本当に僕のためにけじめをつけてくれるなら、星野おばさんを貶めた人たちを罰して」

影斗は淡々と口にした。

「そういうことなら、その日、星ちゃんを転ばせた連中を全員ここに呼べ。

まずは彼女に謝罪させる。

それからの処分は......好きに考えればいい」

雅臣の目に意外の色が走る。

「お前たちは怜のために筋を通そうとしているのか?

それとも星のためにか?」

影斗の薄い唇がわずかに弧を描いた。

「怜の筋道を通すのに、俺の助けはいらない。

あいつは自分で通す。

ましてや、ただの仲間外れに過ぎん......」

意味深な視線が勇をかすめた。

「もし本当に耐えられないなら、怜は自分から俺に打ち明けただろう。

言ってこない以上、大した問題ではないということだ。

ただし、五歳の子どもを狙うなど、下劣にもほどがある。

神谷さん、一つ言っていいかどうか迷ってることがある」

雅臣は彼を見据えた。

「はっきり言え」

影斗は冷ややかに告げる。

「神谷さんほどの人物が、こんな頭の悪い、トラブルしか起こさない友人をそばに置いているとはな。

人の品格は、交わる友人にも表れるものだ。

神谷さんの品位も、さほどではないようだな」

勇への皮肉だと気づかないはずがない。

顔に怒気を浮かべて言い返そうとしたが、清子に腕を掴まれた。

清子が首を振ると、勇は腹立たしさを抱えながらも、渋々飲み込んだ。

影斗はその様子を見て、眉をわずかに上げた。

「どうした、山田さん。

自分が後ろめたいとでも思って、この件の責任を負いたいのか?」

勇の表情が一瞬こわばり、結局、何も言えずに言葉を飲み込んだ。

影斗が本気で責任を問えば、ただでは済まない。

今は彼の兄弟分を追及しているのだから、それで済むならそれに越したことはない。

兄弟分なんて、都合よく利用するためにあるようなものだ。

影斗はさらに数本の電話をかけ、低い声でいくつか指示を出した。

そのとき、突然、入り口からせわしない足音が響いてきた。

太った中年男が
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