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第144話

Author: 八雲詩乃
そう言って、もう一度メニューを差し出した。

若葉は付き合いきれず、その手を押し戻した。

「食べたいなら一人で食べて。こんな茶番に付き合う気はない」

それでも宗介は怒らなかった。

代わりに、そばに控えていたスタッフへ料理を注文し始める。

最後に、若葉のほうを一瞥して言った。

「彼女にも同じものを」

「私はいらない」

若葉は眉をひそめた。

だが宗介はスタッフへ向き直り、繰り返した。

「同じものを頼む」

スタッフは困ったように二人の顔を見比べた。

これ以上巻き込むのも気の毒で、若葉は何も言わず口を閉ざした。

宗介が勝手に注文したいなら、好きにすればいい。

どうせ食べるつもりはなかった。

ほどなくして料理が運ばれてきた。

その際、スタッフは小さなバラの花束まで若葉へ差し出した。

「本日はお二人でご来店のお客様に、こちらをお渡ししております」

どうやらカップル向けのサービスらしい。

説明を聞いただけで、若葉はうんざりした。

普段なら好きな花なのに、今は見るだけで気分が悪くなる。

「結構です。この人とはそういう関係ではないので、下げてください」

あまりに
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