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10.殿下の戦

Penulis: satomi
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-07 07:29:17

 殿下には申し訳ないという気もするが、陛下には洗いざらい話しました。貴族だしそういうものだと思うけど?

「ヘレン嬢、紅茶を淹れてくれ。なるべく濃く」

 これは……仕事を片付ける気ですか?紅茶で眠気覚まし?

「私は眠気覚ましのための紅茶を習ったわけではありません。とりあえずは、いつもの紅茶をどうぞ」

 とはいえ、侍女たるもの主の要望を聞き入れるのが筋ってもんよね。シルク様に聞きましょうか?

「シルク様、頭がスッキリとするようなお茶はご存じないですか?」

「なんだ?私なら間に合っているが?」

「殿下に淹れて差し上げるんです!」

「殿下か……スーッとした成分のハーブを同時に淹れると良いかもしれないな。ハーブはお湯の温度なんかで苦みとか出るから扱いが難しいと聞くが……いない。他人の話は最後まで聞くように(怒)」

 私はそのハーブを手に入れて研究を重ねました。お湯の温度、入れる時間の長さ、等。殿下のお役に立つためにもと一心不乱に研究を重ねました。

 ちなみに、シルク様の話を最期まで聞くとこのような努力の事を書いた書物が図書館にあるという話でした。

「殿下!こちらの紅茶はいかがでしょう?現在研究中ですが、いつもの味と同時にスーッとした成分が頭をスッキリとさせます」

「ふむ、なるほど」

 何故殿下の仕事が急に増えたのでしょう?シルフ様はお変わりなく忙しそうですし、ガイヤード様を最近見かけないという事が関係しているのでしょうか?ガイヤード様は次期騎士団長でしょうし、騎士団全体で動いているのでしょうか?まさか、戦争?いやですよ。

「殿下!仕事の内容をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「あ、ああ。最近やたらと書類仕事が多い理由だろ?騎士団がなぁ。全体練習で合宿をと言ってたんだが、それはやめてくれ。と止めてたんだ。先日から強硬合宿だ。おかげでその合宿に必要な経費の計算やら、その間の王都の警備はどうするかとか……」

 なるほどねぇ。

「王都の警備とかどうなったんです?」

「王宮魔術師団に頼んだ。そしたら今度は魔術師団も合宿を行いたいとか言いだして……」

 これは胃が痛くなる案件です。

 ナルホド、せめて頭をすっきりとしたい。

「シルフ様が通常営業に見えたのですが?」

「あー、あいつは能力が高いから多少書類が増えたところでどうってことない」

 シルフ様に押し付ければいいのに……8割く
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buchi
王太子殿下は、国の雑務が色々と増えて、ヘレン嬢に頭がスッキリするお茶を所望していたんだね^o^。
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  • 婚約破棄したら殿下は狼男だった。   19.ライルの今後

    「王太子妃様がその縫いぐるみを作ったんですの?素晴らしいわ。是非、うちの子(小型犬)をモデルにした縫いぐるみも作っていただきたいわぁ」 バイトちゃん・改とかを褒めればライルとの婚約の道が広がると思っているのかしら?そんな簡単なものじゃないけど?「私が作った縫いぐるみはどれだけリアルにできるかを追求していますの。私が作っている縫いぐるみは狼ですので猟師の方から毛皮を譲っていただき作っているんですけれど…貴女が飼っている仔犬の毛皮はありませんでしょう?作れませんわ。残念です」 わざとに残念そうに振舞う。それに小型犬と触れ合うのは面倒ですしね。無駄に吠えて煩いですし。大人しくしていませんもの。ブロック様やライルは本当に優秀なモデルでしたわ。「あら、急用が……大変。そうですの?急ぎ家に戻りますわ。すみませんが失礼いたします!」 本当に失礼なお方。向こうから私とのお茶会を望んできたというのに、向こうの勝手でお開きとするなんて。 おそらく、飼ってる仔犬の毛皮ってあたりで気分が悪くなったのかしら? 私も小型犬との触れ合いなんて嫌ですけど。 空いてしまった時間は王太子妃教育が終わったエヴァンス嬢とお茶会をすることとしました。「全く、小型犬の縫いぐるみなんか作りたくありませんわ、正直なところ」「そうですよね。小型犬の筋肉の付き方なんかどうでもいいとか思ってしまいますわ」「そうよね。見た目もそんなでもないし、筋肉あるの?とか思っちゃう」「わかりますわ。それで作るために触れあわなきゃとかサイテー。テンションも下がりますね」「そうなのよ!」 私は淑女にあるまじきことだけれど、テーブルを叩くようにして立ち上がってしまいました。「テンションって大事よね。バイトちゃんを作る時は針が指に刺さろうともよかったけど、テンションが下がってるときは針が刺さったらやる気もなくなるわ」「ですよね」 エヴァンス嬢ならライルの事情(王家の事情)を話してもいいんじゃないかと思うけど、ことは王家の事だから、ブロック様とも相談しようと思います。 その日の夕食の後、ブロック様に相談をしました。「私から相談があります。ライルの狼化するという事をエヴァンス嬢に話してもいいのではないかと思うのですがどうでしょうか?エヴァンス嬢は最初から大型犬が好きで、私の趣味(バイトちゃん作製)について

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