ある日、私、ヘレン=フローレンスは王宮の応接室に呼び出されました。お父様も一緒です。なんでしょう?私は何か王太子妃教育で重大なヘマでもしたのでしょうか? 応接室でもなんだか煌めいています。家具が。「ヘレン=フローレンス侯爵令嬢、ウォルフォード王国の王太子であるブロックとの婚約を破棄してもらいたい」 そんなこと言われても…。国王陛下からのお言葉ですから、従う他はありませんよね。「ヘレン嬢には全くの過失はない。うちのブロックが不貞をしたわけでもないのだが、ちょっと事情が……」 ただの侯爵家が、王家の事情に踏み込むことはできません。「代わりになんなりとフローレンス侯爵家からの要求をお聞きしよう。慰謝料なり、謝罪なり好きに要求してくれ」 陛下にそんなことを急に言われても……。あ、ありました!「あの~、私、前から侍女として働いてみたいと思っていたんです。ですので、是非ともブロック王太子殿下の専属の侍女として雇用していただきたいです!」 過ぎた要求だったかしら?のと、元・婚約者が専属の侍女って厚かましい?でもでも、他人に仕えるってやってみたかったのよね。私はこれでも侯爵令嬢だし、他人に仕えるってなかなか機会がなくって……。「ふむ。その件についてはブロックと相談しよう。多分大丈夫だと思うが……」「フローレンス侯爵家からの要求は以上ですので、これでこの場は解散で構いませんか?私も久しぶりに我が家に帰ろうと思いますし」「そうだな。王太子教育といってヘレン嬢を長く王城に縛り付けてしまったからな。侯爵家の者もヘレン嬢に会いたいだろう」「過分な配慮に感謝いたします」「では、娘共々この場は失礼いたします」 こういうわけで私は今後婚約破棄を経て、ブロック王太子殿下の専属侍女として働くこととなりました。 それはさておき、久し振りの我が家だー!「「「お帰りなさいお嬢様」」」 使用人達の大歓迎を受けました。特に侯爵家で、私の専属侍女をしていたアヤはとても喜んでいました。一緒に王宮に上がっていたもののやはり侯爵家というのは特別なようで、私もなんだか嬉しかったです。「やはり侯爵家が落ち着きますね。全く、お嬢様も殿下の専属侍女になるなどと簡単に仰いますけれど、侍女というのはけっこうな重労働ですのよ?殿下の専属侍女の方は違うのかもしれませんけれど、それにしても…。短
Last Updated : 2025-11-01 Read more