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第6話

Author: 硯月
だが、私は莉奈に言い逃れをする隙など与えない。

動揺する莉奈を見据え、数百人の所員と事務所の責任者たちを見渡した。最後に、記者たちへ視線を向ける。

「皆さんの中には、5年前、婚約者の裏切りで私の婚約が破談になったことをご存じの方も多いでしょう。また、建設現場で起きた死亡事故をめぐる難しい事件を、私が法律扶助で引き受けたことも覚えていらっしゃるはずです」

私は全身を震わせる莉奈を指さし、全員に聞こえる声ではっきりと言った。

「この女性は、当時の事故で両親を亡くした遺児です。頼る人もなく、生活に困っていた彼女を、私は学費も生活費も負担して支えてきました」

次に、顔をこわばらせる慶悟へ視線を移した。

「こちらは、私の元婚約者で、彼女がインターンだった頃の指導担当でもあります」

深く息を吸う。胸の奥にはまだ鈍い痛みが残っているが、声は少しも揺れない。

「二人とも、かつて私が誰よりも信じ、大切にしていた人たちです」

「紗和さん、何をするつもり?!皆さん、信じないで!全部でたらめよ!悪意のある中傷よ!」

莉奈は甲高い声で私の話を遮り、なおも事実をねじ曲げて私を悪者にしようとした
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