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7話. 唇の熱と出張レッスン

작가: 6jay
last update 게시일: 2026-10-23 07:27:30

はぁ……んっ……!

シミュレーションルームの冷たいコンクリートの壁に沿って、紗良の背中が擦れながら滑り落ちた。隼人の唇が柔らかな唇を押しつぶすように奪い、片時も離さなかった。熱い舌が口の奥まで入り込むたび、頭の中が真っ白になる。肌がぶつかり、擦れ合う濃密な音が、密室の空気を息苦しいほど熱くした。

硬い太腿が紗良の脚の間へ入り込み、腰を強く捉えた。紗良は汗ばんだ首筋に、砕けそうなほど腕を回す。息が喉までせり上がり、窒息しそうなのに、押し返したいとは思わなかった。むしろ、雅臣の侮蔑と暴言に干上がっていた全身の細胞が、彼の唾液と体温を貪るように吸い込んでいた。

「はぁ……」

隼人がゆっくり唇を離した。赤く腫れた唇の間に、銀色に光る粘ついた糸が長く伸び、切れる。荒い吐息が、紗良の湿った額と首筋に降り注いだ。

彼女の呼吸が整うまで、隼人は何も言わなかった。密着していたときより、離れた今のほうが、2人の間で何が変わったのか、はっきりとわかった。

「奥様」

かすれた低い声が耳をくすぐる。硬い指がスカートの裾から覗く内腿をかすめ、やがて乱れたシャツの襟をしっかりとつかんだ。

「この味を知っても……あのご立派な旦那様の腕に戻れますか?」

紗良は、その問いを快く思わなかった。今、誰かを求めることと、自分の家でどこまで踏みとどまるかは別の話だ。彼から目をそらさず、答えた。

「戻るって、どこへ?」

手を伸ばし、隼人の硬く鋭い顎の線をなぞる。剃り跡のざらつきが指先を刺激した。

「あの男の足元を地獄に変えるまで、私は1歩も引かない」

隼人が唇の端を歪め、低く冷たい笑いを漏らした。

「わかりました。ただ、今のお言葉は、ご主人がいないところでも変えないでください。俺も、あの男の話をするためだけに奥様と会っているわけではないので」

隼人は乱れた襟を整え、1歩退いた。紗良は残ったボタンを自分で留める。彼に手を伸ばしてほしいと思いながらも、今、止まってくれてよかった。この関係をどこまで進めるのか、自分でももう少し考えたかった。

彼は床のドライバーを拾い、ヘッドに傷がないか確かめてからバッグへしまった。

「次のレッスンは、いつにしますか?」

紗良は鏡に映る赤く染まった頬と、まだ落ち着かない目を見つめ、ささやいた。

「雅臣が明日から、3泊4日で香港へ出張するの」

「出張?」

「海外の私募ファンドからの資金調達よ。つまり、ペントハウスが空くということ」

その瞳に、ひそかな危うい炎が宿った。

「あの家の地下には、雅臣専用の屋内ゴルフ練習場があるわ」

隼人の眉がわずかに動いた。夫の最も私的で贅沢な聖域へ、自ら別の男を招き入れるつもりなのだ。

「ご主人の寝室のすぐ下で、レッスンを受けると?」

「あそこで、私がどんなふうに侮辱されて、踏みにじられてきたか知っている?」

紗良は冷たく歯を食いしばった。

「あの男がいちばん大切にしている聖域を……あなたの手で汚して」

隼人が低く答えながら、耳元へ顔を寄せた。

「頼まれなくても。その練習場で、誰の手を取ってスイングするのか、体で覚えていただきます」

胸が破れそうに高鳴った。背徳の炎が2人の血の中を駆け巡る。隼人はしばらく彼女の顎先を見下ろしてから、ポケットのハンカチを取り出し、唇の周りに残った唾液をそっと拭った。

紗良はハンカチを受け取り、自分で口元を拭いた。彼は待ってから、差し出されたそれを受け取る。無理に手を出そうとしない態度のほうが、さっきの大胆な言葉より心に残った。

「香港行きの便は何時ですか?」

「午後4時。空港には午後2時に着くはずよ」

「では、夜11時に伺います」

隼人は低く告げ、バッグを肩にかけた。

「入る前に連絡します。奥様が開けてくださったら入りますから。予定が変わったら、待たずに知らせてください」

紗良は明日の時間を頭の中で確かめた。誰かの留守を待つことと、自分が呼んだ人の来る時間を決めることは違っていた。

「楽しみにしているわ、黒瀬さん」

扉が閉まり、シミュレーションルームに1人残された。紗良は正面のガラスに映る、乱れた自分を見つめた。

生きて、息をしていた。

夜の約束をスマートフォンに残した。あの家に男を招くなんて、数日前には考えもしなかった。雅臣に知られる危険は消えていない。

それでも、招待を取り消したいとは思わなかった。扉を開けるのは、自分だった。

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