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第6話

Penulis: いちのご
その精神科病院から別の病院へ移されることになったとき、俺はひどく痩せ細っていた。

髪も少し短く切られ、顔色も悪く、着ている病衣もぶかぶかだった。

看護師が荷物をまとめている間、俺はずっとぬいぐるみを抱え、ベッドの端に座っていた。

自分がこれからどこへ行くのかも分からなかった。

病室の入口には、父と母が立っていた。

母は泣き腫らして目が真っ赤になっていた。

何度も俺に近づこうとするのに、怖くて踏み出せない。

母が一歩近づくたびに、俺は一歩後ろへ下がった。

最後にはその場から動けなくなり、口元を手で覆って、ただ涙を流していた。

父は何年も老け込んだように見えた。そこに立っているだけなのに、背中まで丸くなっていた。

彩夏は一番遠くに立っていた。俺に近づこうとはしなかった。

それは、突然自分の立場をわきまえるようになったからじゃない。俺が、彩夏を怖がっていたからだ。

医師は言った。

まずはきちんとした病院へ転院させ、そこで総合的な評価とリハビリを受けさせること。

これ以上、刺激を与えてはいけない。以前関わっていた人間も、頻繁に近づけてはいけない、と。

「特に、この
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    その精神科病院から別の病院へ移されることになったとき、俺はひどく痩せ細っていた。髪も少し短く切られ、顔色も悪く、着ている病衣もぶかぶかだった。看護師が荷物をまとめている間、俺はずっとぬいぐるみを抱え、ベッドの端に座っていた。自分がこれからどこへ行くのかも分からなかった。病室の入口には、父と母が立っていた。母は泣き腫らして目が真っ赤になっていた。何度も俺に近づこうとするのに、怖くて踏み出せない。母が一歩近づくたびに、俺は一歩後ろへ下がった。最後にはその場から動けなくなり、口元を手で覆って、ただ涙を流していた。父は何年も老け込んだように見えた。そこに立っているだけなのに、背中まで丸くなっていた。彩夏は一番遠くに立っていた。俺に近づこうとはしなかった。それは、突然自分の立場をわきまえるようになったからじゃない。俺が、彩夏を怖がっていたからだ。医師は言った。まずはきちんとした病院へ転院させ、そこで総合的な評価とリハビリを受けさせること。これ以上、刺激を与えてはいけない。以前関わっていた人間も、頻繁に近づけてはいけない、と。「特に、この女性の方です」医師は彩夏を一瞥した。「彼はあなたに対して、明らかなストレス反応が出ています」彩夏はその場に立ち尽くし、顔から少しずつ血の気を失っていった。それでも、何も言わなかった。それから長い間、俺はきちんとした病院でリハビリを受け続けた。相変わらず、たくさんのことを忘れていた。今日のことを昨日だと思ったり、看護師を「先生」と呼んだりした。それでも、もう突然ドアに鍵をかけられることに怯えなくていい。白い壁の向こうにある、あの機械を怖がる必要もない。父と母は、ほとんど毎日病院へ来た。けれど、病室の中には入れなかった。ただ、ドアの外に立って、俺の姿を見ているだけだった。母は、俺がご飯を食べる姿や、積み木で遊ぶ姿を眺めたり、飴ひとつでほんの少し笑みを浮かべる俺を見たりするたびに、いつもすぐに涙をこぼしてしまう。以前の母は、俺が聞き分けのいい子だから、本気で恨んだりしないと思っていた。本当に家に帰ってこなくなるなんて、思っていなかった。でも今になって、ようやく分かったのだ。俺が痛みを感じなかったわけじゃない。ただ、ずっと我慢していただけだっ

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    彩夏はようやく気づいた。これらすべては決して「一真のため」ではなかったのだと。子供を作れないわけではなかった。どうしても仕方なかったわけでもなかった。最初から最後まで、間違っていたのは俺ではなかった。そして彼らは、自分たちの手で一番何の罪もない人間を、とうとう自分が誰なのかすら分からない人間にしてしまった。その日、彩夏が病室に駆け込んできたとき、俺はぬいぐるみを抱え、ベッドの端に座ってクッキーを食べていた。俺は顔を上げて彩夏を見た。どこかで見たことがある気はする。でも、怖かった。彩夏はそこに立っていて、たちまち目が赤くなり、声はひどく震えていた。「一真……」俺は少し後ずさり、看護師のほうを振り向いた。「……あのおばさん、どうしていつも来るの?」その一言で、彩夏は完全に打ちのめされた。そして両親が病院へ駆けつけたとき、その顔にはひどい動揺が浮かんでいた。母は病室の入口に立ち、何度も口を開こうとした。だが、長いこと「一真」の一言すら呼べなかった。母はようやく分かったのだ。自分が病院へ送り込んだのは、ただ駄々をこねていた息子なんかじゃない。泣くこともできて、痛みも感じて、悔しがって、言いたいことを言って、それでもいつか一度くらいは母親に自分を選んでほしいと願っていた息子だった。なのに今、その息子は――彼らの手によって、どこかへ消えてしまった。一方、衡も次第に焦り始めていた。病院から「検査結果を誤って渡してしまった」という電話は、とっくに受けていた。だが、そのことを誰にも伝えていなかった。レストランでアレルギー反応が出たのも、すべて衡がわざとそれらを食べたからだった。衡にはよく分かっていた。彼らには子供が必要だった。そして、自分たちが間違っていなかったと証明するための理由も必要だった。だからこそ、衡はその芝居を最後まで演じ切った。だが、検査結果の取り違えが明らかになった瞬間、すべてが崩れ落ちた。俺のために自分を犠牲にしたという、あの一連の言い分も、すべて笑い話になった。彩夏が初めて衡を訪ねたとき、もう彼の泣き言に耳を貸すことはなかった。ただ一言、尋ねた。「あなた、最初から全部知ってたの?」衡の顔が一気に青ざめた。それでも彼は言い訳しようとした。

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