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第6話

Auteur: むぎ
浅燈が学校に戻って間もなく、倫の友人の一人から電話がかかってきた。

「浅燈!倫さんが大変なんだ!」

「未怜先輩が酔っぱらった男に下品なことを言われて、倫さんが殴りかかって、腕を酒瓶で切られて、上腕動脈を傷つけて、今病院で緊急手術中だ!」

「でも倫さん、血液型が特殊で、病院の血液庫に合う血がないんだ。全市で探してるけど時間が足りない!浅燈と同じ血液型だから、お願い、助けてくれ!」

心は既に冷え切っていたが、命が関わるとなれば、無視などできなかった。

浅燈はすぐに倫の家が経営する病院へ向かった。

採血室で、彼女は自分の腕に針が刺さるのを見つめながら言った。

「看護師さん、400mlで足りますか?彼、かなり出血したんですよね......」

彼女は、献血の上限が400mlだと知っていた。

「足りないなら......もう少し取ってください。命が第一ですから」

看護師は彼女を見つめ、一瞬同情の色を浮かべたが、何も言わずにいた。

血液バッグが次々と満たされていく。

結局、彼女からは1000mlもの血が抜かれた。

採血後、浅燈は目の前が真っ暗になり、服は冷や汗でびっしょり、全身が冷え切って力が抜けていた。

看護師に支えられて休憩室へ行き、温かい塩水を渡された。

「一度にそんなに採られるなんて......何も起こらなかっただけでも奇跡ですよ。少し休んでください」

ベッドで少し休んだ後、倫が目を覚まし、危険を脱したと聞いた浅燈は、彼の様子を一目見たいと思い、病室へ向かった。

足取りもおぼつかないまま病室の前にたどり着き、少し開いたドアの隙間から中の会話が聞こえてきた。

倫のかすれた声。

「先輩は......大丈夫?怖がってない?」

続いて友人の声が返ってくる。

「さっき帰ったよ。先に休むって。目が覚めてすぐ先輩のこと心配するなんて......」

「あんな下品な言葉だけで命懸けのケンカするなんて、さすがに無茶すぎだろ」

「無茶じゃないさ」

倫の声はかすれていたが、異常に強い決意が込められていた。

「先輩を侮辱するなんて絶対許さない。命をかけても守るって、誓ったんだ」

痛くないはずの心が、また痛み出した。

たった数言の下品な言葉のために命をかけるほどの愛......

浅燈は思い出した。

自分は倫やその仲間たちから、もっと酷い下品な冗談をよく言われていたのに、彼は一度もそれを問題だと感じたことはなかった。

倫は本当に「好き」と「そうでない」の差が激しいのね。

そのとき、倫の友人が疑問を口にした。

「でも倫さん、病院の血液庫には血があったじゃん。なんでわざわざ浅燈に献血させたんだ?しかもあんなに多く......」

別の声が応じる。

「そこがポイントだよ。浅燈から1000mlも血を抜いたら、来週のダンスコンテストに出られるわけがない。

しかも足を怪我してるし、出られたとしても状態は最悪。そうなれば、未怜先輩の優勝は確実だろ?」

浅燈の脳内で、何かが爆発したような感覚が走り、血の気が引いて身体が凍りつく。

つまり、今回も倫の仕組んだことだったの?

そして、彼の悪魔のような言葉が続いた。

「そうだな。俺も確認した。1000ml抜いたら、まともに動けるかどうかってレベル。ダンスなんて、早くて1か月は無理だろ」

「今回の優勝は、先輩のために取らせなきゃいけないんだ」

そういうことだったのか......

だから、看護師のあの目つきは妙だったのか。

だから、400mlが上限なのに、彼女からは1000mlも抜いたのか。

滑稽だった。

自分は彼を救ったのに、彼は未怜のために、自分の命を削ろうとした。

涙が止まらず、胸をつかまれるような痛みで呼吸すらままならなかった。

何度も、何度も、命をもてあそばれていたのに。

なんて冷酷な人なんだろう......

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