LOGIN「ここ最近めっちゃ頑張ってる気がするからちょっとひと休みするかぁ。またやりすぎって言われて配信止められたら困るしね。ふわぁ〜ひと休みするぞってなると急に身体が重たくなるのなんでだろ。気を張ってたから気付いてなかっただけでこのくらい疲労が溜まってたのかなぁ。自覚症状があると休めるけど普段だとなかなか休めと言われても難しいんだよねぇ。そのことはまたおいおい考えるとして……ひとまず寝よう!おやふみなしゃ〜い……。」「おやすみ、由良、」「おやすみなさい、由良ちゃん。」◇◇「あの子はあんなに小さな身体で頑張っているのね。」「そう、だな。あの子のやりたいことはできるだけやらせてやりたいとは思ってはいるんだが……。」 あの子は親のことで苦労させてしまったからな、できることなら応援してやりたい。うちにはそれなりに金があるしな。ただ……「そうね、あの子には一旦集中すると過労で倒れるまで全力疾走する悪癖がありますものね。それさえなければ素直に応援もできるのだけど。直前まで普通に動いていたのにある瞬間まるで充電が切れたかのように動かなくなる。」 そう、そこなんだよなぁ……。それさえなければ、ペース配分を考えて無理なく休み休みやってくれていたら……。何事にも一生懸命、それ自体はいいことなんだがなぁ。何事にも限度ってもんがあると思うのだよ。「やはりあの子の場合は仕事場と家をはっきり分けるべきだろうな。今のままだと家にこもりっきりで作業をし続けてしまう。それにはっきりと分ければ仕事量の監視もしやすくなるだろしな。」「そうと決まれば葡萄社長に相談ですね。」「うむ、頼んだぞ。その間にあの子の誕生日プレゼントに相応しいものでも探しておこう。」「ちょっとそれはずるくないです?私もやりたいんですけどその作業。」 ずるいってなんだずるいって!知ってるぞ?一人で勝手にあの子用の口座を作ったの。全く一人でやりおってからに。何度わしに一枚噛ませろと言っても聞かんのはなんなんだあやつは。「そんなことを言われても困るんだが……。お前が会社側との調整をしている間暇なんだよ。だからその時間を有効活用しようとしてるだけだ。誕生日プレゼントを探したければ、さっさとやることを終わらせて自分で探せばいいだろ?」「ぐぬぬぬぬぬぬっ!」 なんだそんな歯ぎしりして、もう歳なんだから無くなるぞ?なーんて
「勝てばよかろうなのだ!」「あ、ミサイル。」「や、ちょっ!やめっ!いったい!最悪だ轢かれたぁ!で、でもこのくらいなら抜き返せばなんの問題もない!よし、追いついた!このまま抜き去ってやる!」「やった!無敵モードになれた!」「は、はぁ!?乱数はどうなってるの?意味わかんないんだけど!まぁそんな幸運何度も繰り返せるわけじゃないですし?次くらいで大したことないアイテムを拾うに違いないよね。そしてボクにはそろそろ良いアイテムが回ってきてもいい頃合い……のはず!……ってどうなってんのこれぇ!」「あ、またミサイル。」「この距離ならミサイルのままダイレクトゴールできちゃう!つまり……ボクが負けた?」――自業自得乙――なんて言うか……てんちゃんどんまい――さすがにあれは可哀想だった――てんちゃんは別に下手とかじゃなかったんだけどね、ただリアルラックの暴力に晒され続けちゃっただけで……――あれはほんと運が悪かったとしか言えんわな……「ぐすん……ボクは勝負の神様に見放されたみたいだ。あかねちゃんいいなぁ。こんなに運が良くて。ボクはボクは……。そうだあかねちゃん、テトリスやらない?一回だけでいいから。このままじゃ絶対終われないんだ。」「良いけどテトリスでいいの?」「テトリスならほとんど運が絡まないからね。これで負けたらボクの力量不足。でもこれなら勝敗がどうであれ圧倒的なリアルラックにぶん殴られることはないしボクも心の整理ができるから。じゃあ……やろっか。」"にちゃあ……"――ん?なんか一瞬てんちゃんがすごい悪い顔をしてたように見えたんだけど……――気のせいじゃない?今のてんちゃんは理不尽に打ちひしがれて今にも死にそうな顔してるし――口から魂抜けそうやね――そんなことになったら正真正銘抜け殻じゃんか、おーいてんちゃーん!口閉じて口!く・ち!◇◇「ふっ……圧倒的勝利!」――うわぁえげつねぇ……――てかてんちゃんってこんなにテトリス上手かったんだ――予想を遥かに超えた差があったね、ほんと大人と子供の戦いだよこんなの――まぁ、実年齢は逆やけどね 実を言うとテトリスは前世からの特技である。推しがテトリスをやってて視聴者参加型で爪痕を残すために死ぬ気で練習をしたのをきっかけにどハマりしてしまったのだ。そんなこんなでテトリスは推しの真似とかは関係なく
「ぐすん……いいもんいいもん!打ち合わせ含む諸々のことで配信外でいじり倒してやるから。」――てんちゃん、そういうとこだと思う――そういうこと言ってるから初配信からさほど時間は経ってないのにそんな評価になるんだよ?――てんちゃんのリスナーさんたちめっちゃ辛辣やね――でもどうしてだろう、てんちゃんが可哀想だとは全然思わない「およよ……んじゃ茶番もそこそこにしてゲームやるかー!」――てんちゃんが可哀想に見えない理由わかった!一ミリも効いてないからだ!――それだわwww泣き真似はするけど次の瞬間にはケロッとしてるもんね――それも含めて配信者適正ゲロ高いよな、てんちゃんって――およよって今どき物語でもあんま見んしな「その前に突如始まった甘味さんのセルフ実況のことを聞きたくて……あの、急に何してるんです?」「レースには実況が付き物だし、ならボクがやった方が配信が盛り上がるかなってやってみただけだよ?」――やってみただけだよ?じゃないんよなぁ……――普段の声と実況役の声と解説役の声で計三つの声を使い分けてるのを"だけ"って……――あと地味に男性声だし……――あ、ボイチェンとか使ってるんじゃない?――たしかにそうかもね!なんで俺らはナチュラルにてんちゃんの喉からあれが出力されてると思ったんだらうね――ほんそれ「そうだぞ〜ネットじゃボイチェン使ってるネカマしてる人もネナベしてる人も山のようにいるんだからね!だからそんなね、声で簡単に判断して信用しちゃダメだぞ!まぁボクの場合はボイチェン通さずに自前の喉から男性声も出てるんだけどね!」――やっぱそうだよね、そーんな男の声がするから男だ!みたいにホイホイついて行っちゃダメだよね!――さすがのてんちゃんと言えど男性声はキツいよね、やっぱりボイチェンだったか〜――いやでもボイチェン使うにしても自力である程度寄せなきゃだし凄いは凄いんだけどね?って……ん?ボイチェンを通してない?は?「今度こそモリオカートやるよ!もう!質問ばっかりでちっとも配信進んでないんだから!」◇◇3・2・1……スタート!「よっしゃスタートダッシュ決まったぁ!ってんなぁ!?なんだあのデカブツこのボクに体当たりしてきたんだけど!無敵モードなったら絶対あいつのことは轢き飛ばす!」「ふふっ、私は何事もなくスタートして今3位です
「大丈夫大丈夫!まだ始まったばっかりだしさ!ほらほら、そんな謝ってばっかじゃ配信進められないよ?」「そう……ですね!リスナーの皆さん改めてよろしくお願いします!」――あかねちゃんのファンもいっぱいいて別にアウェーとかじゃないんだから落ち着いてけよー――そうだぞーここにいる奴はみんなあかねちゃんの味方だからな!――せっかくのコラボなんだから肩肘張らずにめいいっぱい楽しめばいいんよ、俺らリスナーが見たいのは推しが楽しんでる姿なんだから――お、珍しくいいこと言うやん――珍しくってなんやねん!ワイはいつもいいこと言っとるやろがい!「それじゃあ予定通りモリオカートやるよ!あかねちゃん、準備はいい?」「皆さんありがとうございます!ど、ドンと来いです!」 まーだちょっと固いなぁ……でもさっきよりマシだからもう大丈夫かな。それに人見知りしてないあかねママはあかねママじゃないからね!ここぞという時にキリッとなるギャップがいいのだよ!あかねママのギャップまじ萌える。「さぁ、始まりましたモリオカート64の記念すべき第1レース!いや〜お互いにこのタイトルは初見ですからね、お互い手探りのレースになるのではないでしょうか。情報によると甘味てん選手は打ち合わせでモリオカートをやることが決まって直ぐに新作モリオカートを購入して練習をしたそうです。仕様の変更や操作性もだいぶ違うとの情報もありますからね、この練習が吉と出るか凶と出るかが今回の勝負の分かれ目になりそうですねぇ……。」「あの甘味さん?」「はいなんでしょう。」「二つほど質問をさせていただいても?」――あかねちゃん奇遇だな、俺もてんちゃんに聞きたいことが二つあったんだ――奇遇だな俺もだ――やぁ俺――実は私もテンちゃんに質問が二つあって……――やぁ私――俺らの疑問、あかねちゃんに託す!「もちろんです!」「なぜ64をチョイスしたんです?」――ほんとそれな!――声的にだいぶ若そうなのにてんちゃんから出てくる単語がちょいちょい古いのなんなんまじで――てんちゃん七不思議の一つ、謎に古い語彙――残りの三つは?――うーん……まぁそれは後で考えるわ――いや、ないんかい!「お互いに触れたことがなさそうなタイトルを選びたかったんですよ。それと、64なら触ったことがなくても聞いたことくらいはあるじゃないです
「ゆかりママ……じゃなかったあかねママ、準備はいい?」「だ、だ、大丈夫!緊張なんてしてないから!」「その言葉……信じるよ!」 配信、始めていきますか!「せーの、こんてん〜!初めてボクの枠に来てくださった方は初めまして!前の配信も見に来てくれてた方はお久しぶりです!新人イロモノ系VTuberの甘味てんだよ!今日は楽しんでいってね!」――コラボって聞いたけど相手誰なんだろう。なんかこっちまで緊張しちゃう!――ね、俺たちのてんちゃんがコラボするって思うと心配で心臓バックバクよ!――なんて言うか俺らの中の父性が目覚めたせいで初配信からずっとパパ目線なんよなwww――ママもすっごい心配!てんちゃんコラボ配信の方と上手くやれるかなぁ――自認ママもよう見とる「そしてそしてぇ!今日はコラボ配信なのでね、さっそくコラボ相手の方に登場していただきましょう!当時は個人勢だったYURAちゃんとのコラボをきっかけにチャンネル登録者数を順調に伸ばし、有名VTuberの仲間入りを果たした狐耳と尻尾がトレードマークのこの方!狐火あかねさんでーす!」「ご、ご、ご、ご紹介に預かりました狐火あかねと申します。今日は何卒よろしくお願い致しします。」――なんかコラボ相手の人めっちゃガチガチなんやが――せやね、一応コラボ相手の方の方が配信歴も長いしチャンネル登録者の数も多いんだけどね……あかねちゃんはぼっち属性やから――天性のぼっち属性を持ちながらも強強VTuberにまで登りつめた人見知り界の期待の星なんだけど……ほら、いくら人気VTuberでも人見知りは人見知りだからさ――なんかうちのあかねちゃんがすんません――いえいえこちらこそ、うちのてんちゃんをよろしくお願いします「いや〜コラボ楽しみだね!みんなもそう思うでしょ?」――いや呑気か!あかねちゃん見てみ?緊張しすぎて焦点が合ってないぞ!――いや、アバター越しやん!なんで分かんだよ!――うーん……愛、かな?――なんだこいつきっしょ……――すいませんすいませんうちのリスナーが!「あわわわわわわわわっ!」――お、あかねちゃんがなにか喋った!――あぁ、あれはあかねちゃんがテンパってる時に発する鳴き声ですね。特に意味はないのでスルーで大丈夫です。――なんか有識者いて草生える――なんかオモロいなこの子、チャンネル
えーっと……とりあえず事の顛末を説明をしようと思う。ゆかりママが鼻血を大量に垂れ流してぶっ倒れました。とりあえずゆかりママを回収してタクシーでママの家に送ってから家に帰った。「由良ちゃんほんっとにごめんなさい!せっかくデートに誘ってくれたのに私興奮して鼻血出して倒れちゃったばっかりに……。この埋め合わせは後日必ずするから!ほんっとにごめんなさい!」「大丈夫だって!私は全然気にしてないからさ?ね?あ、そうだ!私ゆかりママにお願いしたいことがあってさ、それで今回のことは全部チャラってことにしよ!それならゆかりママも気持ちが楽になるでしょ?」「わかった!その由良ちゃんのお願いを私命懸けで叶えてみせる!なんっでも私に言ってちょうだい!」 いや……そんな覚悟ガンギマりになる必要は全然ないんだけど。ま、まぁいいや。とりあえず話せば肩の力を抜いてくれるでしょ!「実はかくかくしかじかで……」 私はライブをしたいこと。だけどなかなか他のVTuberさんとの繋がりが持てていないこと。だからゲスト役として別名義でも活動をしてセルフコラボとも言うべき変なことをしようと思っていること。そのアカウントの登録者に下駄を履かせるためにコラボを計画していてその一人目をゆかりママに頼みたいことを話した。「なるほどコラボかぁ……でもYURAちゃんとは別のVTuberさんとしてだから初対面のフリをしなきゃいけないわけね!おっけー任せて!全身全霊でその役目をやらせてもらうよ!」「あの……もう少し肩の力を抜いて欲しいな?だってそんな初のコラボで肩肘張ってたら怪しいじゃん?もっと普通のコラボの感じで頼むよ!」「わ、わかった!全力で肩の力抜く!任せて!」 だ、ダメだこりゃ……。どうすっかなぁ。まぁ基本的にはゆかりママ人見知りというかぼっち気質だから初めてのコラボ相手で緊張してるってことでごまかせないこともない……のかな?まぁどうしようもなさそうだしなんとなーく上手いこと私の方でフォローすればいいか。「じゃ、当日はよろしくねゆかりママ!また鼻血出してぶっ倒れるのだけはやめてよね〜?」「う、うん!あの時の挽回の機会だからね!今度はそんなことしない!」 心配だなぁ……