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拾った旦那は名門のスパダリ社長
拾った旦那は名門のスパダリ社長
ผู้แต่ง: こだま

第1話

ผู้เขียน: こだま
私は堀江文乃(ほりえ ふみの)。

生まれつきほろ酔い気分であるかのように、常にぽわぽわしていて頭のネジが数本ゆるんでいる。

三年前、酔っ払った美男子をうっかり拾って帰ってしまった。

目を覚ました男は、しばらくこちらを見つめた後、唐突に口を開いた。

「結婚しよう」

私は深く考えるのも面倒で、こくりと頷いた。

そのままなし崩し的に名家の奥様に収まり、三年が過ぎた。ブラックカードは切り放題、豪邸には住み放題。

しかし、妊娠が発覚した矢先、それを伝える間もなく、目の前に離婚協議書と離婚届を突きつけられた。

「破産した。これが最後の手切れ金だ。これを持って出て行ってくれ」

その時、ふと視界の端をいくつか弾幕が流れていった。

【キタコレ!ヒーローの初恋相手が帰国したってよ!】

【これ絶対、破産を装って当て馬女を捨てて、初恋とヨリを戻す気満々だろww】

【そもそもヒーローがやけ酒してたのは初恋ちゃんが出国したからだし、この当て馬はただの代用品乙!】

はあ?

どうやら私、身代わりだったらしい。

私は呑気に頷いた。

「あっそ。じゃあ離婚しようか」

男の瞳から、スッと光が消え失せた。

その顔を見つめながら、何か言い忘れていることがあるような気がしてならなかった。

まあいい、思い出したら言おう。

*

私の夫、笹原邦彦(ささはら くにひこ)は唇をぎゅっと結び、協議書とペンをこちらへ差し出した。

目元をほんのり赤く染め、テーブルの縁を指先でトントンと二回叩く。

緊張した時の彼の癖だ。

私は協議書を一瞥し、ペンを取るより先に、テーブルに置かれたその手の甲にそっと触れた。

「手が、すごく冷たいね」

邦彦の体がびくっと震えたが、手を引っ込めることはなかった。

私がろくに内容も確認せず、ペンを取ってサインしようとした瞬間。

すかさず、彼にガシッと手を押さえられた。

「待って!ちゃんと読んでからサインしてくれ」

彼が協議書の内容を一つ一つ説明していく。

別荘の所有権、預貯金の譲渡、そして一切の債務がこちらに及ばないこと。

ご丁寧に高額の信託基金まで組まれており、私の今後の生活は一生安泰らしい。

再び視界に弾幕が流れる。

【ファッ!?この離婚条件、嫁の丸儲けやんけ!】

【スパダリすぎん?てかこれ、ガチで破産してる説ない?】

【いやおかしいやろ、原作後半だとヒーロー大富豪だし……】

説明を聞き終えた頃には、情報量が多すぎて私の頭はパンクしそうだった。

「よく分からないけど、要するにサインすればいいんでしょ?」

再びペンを走らせようとしたが、またしても止められた。

彼の喉仏が上下し、かすれた声が絞り出される。

「もう一つ、最後の条件だ。離婚しても、縁を切るわけじゃない。

今後、何か困ったことがあれば、遠慮なく言ってくれ」

妙なことを言う男だ。

「借金まみれのくせに、何の手助けができるの?」

邦彦は言葉に詰まり、うつむいた。

この三年間が脳裏をよぎる。

どんなに忙しくても「おやすみ」のメッセージは欠かさなかった彼。

気まぐれに食べたいと呟いたスイーツは、翌日必ず冷蔵庫に入っていた。

泥酔して帰宅するたび、玄関の明かりはいつも灯っていた。

ふっと心がほだされ、私は真顔で告げた。

「もし本当に食べるのにも困るようになったら、おいで。私が養ってあげるから」

彼がばっと顔を上げた。

目元はさらに赤みを増し、喉仏が何度も上下した後、ひねり出すように低い声がこぼれ落ちた。

「……分かった」

また弾幕だ。

【この当て馬何様だよww!財産全振りしてくれてんのに!】

【社長不憫すぎ泣いた。自分が不釣り合いだと思い込んで身を引くスタイルかよ】

【早く初恋ちゃん帰ってきて社長を癒やしてやってくれー!】

【当て馬ちゃん、マジで常に脳内ほろ酔いバグ起きてるだろ草】

邦彦の話によれば、日雇いのドカタの仕事を見つけたらしい。

給料が良く、住み込みで食事付き。今すぐ出発するという。

彼はトランクを一つ提げ、玄関に立った。

振り返り、こちらの顔を一瞥する。

何か言いたげに唇を動かしたが、結局何も言わずにドアを開けて出て行った。

ドアが閉まった瞬間、弾幕が画面を覆い尽くした。

【ドカタ!?マジで言ってんの?草】

【大企業の社長がドカタは草生える】

【お前ら笑うなよ、めっちゃ切ないやんけ……】

【待って、これガチ破産ルート?じゃなきゃドカタなんてやらんよな?】

寝室へ戻る。

部屋中、邦彦の痕跡だらけだった。

クローゼットには、彼のシャツが等間隔に整然と掛けられている。

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