LOGIN-310 味のベースは愛情- 若頭のまさかの行動に目を丸くする渚、どうして大量のスパイスが出て来たのかが分からないというよりどちらかと言うと・・・。渚(当時)「若、あんたいつの間にうちの台所を私物化したんだい?」若頭「ぎ・・・、ギクッ・・・!!」 正直言って隠している戸棚で大量のインスタント麺を隠し持っている渚も人の事を言えない立場だと思われるが、この場ではやはり親分の娘である渚の方が上なので若頭は何も言い返せなかった。若頭「お嬢すみません、最近スパイシーな料理にハマっていまして欲望のままにハーブやスパイスを集めて自作料理を作る事が多くなったんですよ。ただ自分の部屋に置いといて一回一回持ち歩くのも面倒になってしまったので思わずこちらの戸棚に・・・、申し訳ありません!!エンコ詰めますので許してくだせぇ!!」渚(当時)「アホかお前は、うちの友達の目の前でみっともない真似をすんじゃねぇ!!それに毎日美味い飯を作って貰っているから感謝しないといけないと思っていたからそれ位許すよ、ただうちもスパイシーな料理が好きだから偶に使うかもしれないけどその時は許してくれよ。」若頭「は・・・、はい・・・。分かりました・・・。」 表面上は渚の返答に対して了承した様に聞こえたが少し躊躇っている様に見えた、その様子からも未だに頭から離れない記憶の凄惨さが伺える。渚(当時)「それで・・・、スタミナ料理をお願いしたけどどうするつもりなんだい?」若頭「スタミナと言えばやはりスパイシーな物ってイメージがあったのでやってみようと取り出したのですが、駄目でしたかね?」渚(当時)「駄目な訳があるかい、それにあんたの料理の美味さは私が1番知っているんだから自身持ちなよ。」若頭「ありがとうございます・・・、すみません・・・。」 若頭の腰の低さがこちらに伝わってくるのは分かるが感謝したいのか謝りたいのかが分からない、ただそこにいた女子達3人は謝る必要は無いと満場一致で思っていた。真希子(当時)「若頭さんって凄く気遣いのできる優しい方なんですね、渚や親分さんが羨ましいです。」 気を遣った真希子の言葉に救われた気がした若頭、これは嫌でもやる気が出る。若頭「お嬢のお友達の方・・・、えっと・・・。」真希子(当時)「真希子です、三ツ矢真希子。」若頭「真希子さんですか、ありがとうございま
-309 決して良くない思い出- 下っ端の組員達は渚の意味あり気な笑顔を見て涎・・・、いや固唾を飲んでキッチンを覗き込んでいた。どうやら渚本人の所業による嫌な思い出が蘇って来た様だ、組員達が顔を蒼白させながらガタガタと震えていた所にやっと症状がマシになった若頭が戻ってきた。若頭「おい、お前ら仕事サボってんな所で何をやってんだコラ。早く持ち場に戻りやがれ、でないと奥歯ガタガタ言わすぞ。」組員①「若すみません、もう十分ガタガタってなっているので勘弁して下さい。」若頭「ハァ?何訳の分からない事を言ってんだよ、ここの厨房は俺が任されているんだから中を見せやがれ・・・。」組員②「いや若、やめておいた方が身のためですぜ。」若頭「馬鹿野郎、中に誰がいるか分かって言ってんのか。こん中には今お嬢・・・、そうだった・・・。」 キッチンに渚が立っている事を思い出した若頭の脳内ではそこにいた下っ端達と同じ記憶が蘇って来た様だ、今でも鮮明に覚えているが決して良くは無かった思い出。組員①「恐れ入りますが若、いくら若と言えどあの時を忘れたとは決して言わせませんよ。」組員②「そうですよ、あの時は今ここにいる全員が三途の川を渡りかけた事を覚えていないんですか?」 若頭は壮絶な過去を決して忘れていた訳では無い、何故なら毒こそは入っていなかったが当時今では絶対あり得ないと言われる位料理がド下手だった渚の激マズ料理により本人含め全員が死にかけたからだ。確か翌朝になるまでトイレの扉がずっと施錠されていた位だった様な・・・。若頭「そうだったな、あれがあったから俺が厨房を任される様になったんだよな。本当にすまなかった、俺が何とかしてみるから許してはくれないか?頼む・・・、この通りだ。」 下っ端達に頭を下げた若頭は過去の凄惨な騒ぎを起こさぬ様にゆっくりと調理場へと入って行き、包丁片手に意気込む渚の元へと近づいた。若頭「お嬢・・・、恐れ入りますが意気揚々と何をされるおつもりです?飯なら自分が作りますが。」渚(当時)「今の今までトイレに入り浸っていた糞野郎が何言ってんだよ、先輩に「スタミナの付く料理を教えてくれ」って頼まれたからこうしてんだろうが。それにお前もそうだけど、試食係だってあそこにいっぱいいるんだから大丈夫だって。」 渚が放った「大丈夫だ」という自信は一体何を証拠に、そして何
-308 渚(お嬢)- 若頭の事を心配するあまりどうしても厳しくしてしまう渚の表情にビクビクしながらも、先輩と真希子は必要かどうか分からない若頭の案内でキッチンへと向かった。 渚は台所へと到着するとすぐに何か使える物は無いかと探し始めた、真希子もそうだったのだが同じ部活の後輩部員として先輩の役に立ちたいと必死になっていた様だ。渚(当時)「いつも食ってるような物は若が作っているからキッチンに1番詳しいのはあいつなんだけどね、せめて冷蔵庫に使えそうなものがあったら良いんだけど・・・。」真希子(当時)「じゃあさ・・・、若頭さんに来てもらえば良いんじゃ無いの?」先輩「そうだよ、その方が探す手間が省けて私も良いと思うけどね。」 真希子が言った通り1番把握している人物に聞くのがベストな状況と思われるが渚は簡単に首を縦に振らなかった、誰にも頼らず自分達の力で作りたいという気持ちがあったのだろうか。もしもそうだとしたらなんて先輩思いな後輩なんだろうと思ってしまうが・・・。渚(当時)「先輩すみません、それが出来れば苦労しないんですけどね・・・。」 あれ?もしかして他に理由があるってのか?渚(当時)「若の奴、またトイレに行っちゃったみたいなんですよ。今日のはいつもより酷いみたいでして・・・。」 キッチンに入るまでずっと我慢していたみたいだが、渚達と合流してから段々と限界が近づいていた様だ。真希子(当時)「大変な人だね、後で何かお腹が温まる様な物でも作ってあげればいいんじゃないのかい?」渚(当時)「いつもの事さね、また自分で勝手に何かすると思うから心配しないで。一先ずアイツには「お大事に(馬鹿者)」とでも伝えておくよ。」 渚は若頭の事を笑い話に何とか変えつつも食材の捜索を再開した、そしていつも深夜にこっそり食べる用のインスタント麺を隠している戸棚を開いた。渚(当時)「う~ん・・・、ここはあんまり開けたくないんだけど・・・。」 深夜にインスタント麺を食べている場面を若頭に見られてしまっては何度も注意された記憶があるので、未だに隠し持っているという事実や隠し場所をバレたくない渚は少し小さめに開けて中身を確認した。渚(当時)「そうですねぇ・・・、先輩これなんかどうでしょうか。」 渚が戸棚から取り出したのはインスタント麺に水を加えて作るシンプルなソース味の焼き
-307 赤江組- アイスクリームを頬張りながら3人は渚の家へと向かった、その日父は阿久津組との抗争で留守にしていて母は友人と温泉旅行へと向かっていたので家には誰もいなかった様だ。先輩「ねぇ、私達ここに来て良かったの?」 確かに父親自体は家を空けていたが留守を頼まれていた組員によって家自体に入って良いのかどうかが分からなくなっていた様だ、ただ渚の顔を見た瞬間に見張りをしていた組員達は一斉に頭を下げていた。組員達「お嬢、お勤めご苦労様で御座います!!」渚(当時)「学校から帰って来ただけななのにいい加減にしろ、いつになったらその「お嬢」をやめてくれるんだよ。」組員「何を仰います、我々にとってお嬢はいつまでもお嬢です!!」渚(当時)「もう・・・、それで「アイツ」は何処だよ。家にいるんだろ?」 渚の言う「アイツ」とは赤江組の若頭の事だった、若頭はかつてより両親から渚の世話係を頼まれていたので渚とは両親より長い付き合いとなっていた。組員「ご安心ください、若頭ならお手洗いに行っているだけですのですぐにお会いできると思いますよ。」渚(当時)「言っておくが「・・・だと思う」という言葉は根拠もなく言って良い言葉じゃないんだ、早く玄関前に出て来いって言うんだ。私の友人達を待たせるつもりかい?」組員「何と、それは大変だ。すぐに若頭を捜して来るのでもう少々だけお待ち下さい。」 渚の父親、つまり赤江組の組長から渚の友人は自分の友人と同様だから丁重にもてなす様にと教えられている組員達は少しでも機嫌を損ねてはいけないと必死に若頭を捜していた。 一方その頃、その若頭は毎日の様に悩まされている下痢により化粧室に入り浸っていた。確かおおよそ20分程だった様な・・・、違ったか?若頭「お・・・、お嬢が帰って来たってか・・・?」組員「は・・・、はい・・・。恐れ入りますが時計をご確認して頂ければ助かるのですが。」 組員に言われた通り腕時計を確認する若頭、時刻は渚がいつも家に帰って来る17時前を指していた。若頭「ま・・・、まずい・・・。お嬢を御迎えしなければ・・・!!」 腹の痛みを我慢しながらお手洗いを後にした若頭は急ぎ玄関先へと向かったがそこに渚達はもういなかった、若頭は顔を蒼白させていた。一方その頃・・・。渚(当時)「おい!!若は何処だ、台所の準備を手伝って貰わないと
-306 女の子ですから- ゆっくりとフルーツパーラーの限定パフェを堪能した3人は自転車に跨り各々の帰路に着いた・・・、と思われたのだがどう考えても家が反対方向にある先輩が渚と真希子について来ていた。渚(当時)「せ・・・、先輩!!先輩の家はあっちでしょ、何を考えているんですか!!」先輩「あれ、忘れちまったの?今夜辺りから「両親がいないから困っている」って。」 先輩の様子から見るとどう考えても「困っている」というより「自由を得ている」と言う言葉の方が合っているように思えて仕方が無い、ただ先程の「相談」を聞いてしまっているのでよく考えてみればそのまま帰る訳にもいかない。先輩「今夜簡単に作れる物を教えてくれるんじゃ無かったの?ちょっと待ってよ!!」真希子(当時)「私達、まだ「ハイ」と言った訳じゃ無いじゃないですか!!他を当たって下さいよ!!」先輩「あんた達が頼りなの、私じゃなくても皆2人の噂を知っているんだからね!!」 これは数日前の話、家庭科の授業の一環として行われた調理実習で本来ならマカロニグラタン1品の予定だったのだが担当教員の知らぬ間に4品も作っていたと全校生徒に噂が回っていたとの事。真希子(当時)「あ・・・、あれはグラタンを焼いていた間暇だったからついでに作っただけなんです!!大したことではありません!!」渚(当時)「それに・・・、同じ班の子に使った道具の洗浄を押し付けたって先生に怒られたんですから特に良い話でもありません!!」 その場から逃げる為の言い訳に聞こえるが2人が言っていた事は真実だった、確かにメインのグラタンが焼ける間に他の料理を沢山作っていたので担当教員も他の生徒と一緒に目を丸くしていたのだが調理道具をひたすら洗っている生徒の姿を目にしたので冷静に考えなおして2人を注意したそうだ。渚(当時)「作ったのは良いんですけど給食のナポリタンがちょっとしか入らなくなってしまったので良い結果にならなかったんです!!」真希子(当時)「い・・・、いや・・・、それ私だけじゃ無いの!!あんたはガッツリ食べてたでしょ!!」 話の流れでは2人の自業自得という言葉がピッタリと思われる、ただ渚の「ちょっと」という言葉は真希子が頬張った「専用の器3杯分」でも意味を成すというのだろうか。先輩「「凄い」の一言しか出ない噂じゃん、お願いだから私の頼みを
-305 売れ筋商品の逸話- 結愛がこれから夜勤へと入る事になった母のシフトについて『念話』で改めて確認を行っている中、好美には「暴徒の鱗」の関係者になってからずっと気になっていた事があった。好美「そう言えば渚さん、今頃になって聞きますけど「特製・辛辛焼きそば」ってどの様にして出来たんですか?やっぱり光さん関係だとかですか?」渚「確かにそうだね、元々は自分用に作った料理をおねだりしてきた光に与えたのが始まりだったんだけど実はそれより前の逸話があるんだよ。」好美「逸話・・・、ですか?」 本当にインスタントの焼きそばに辛い食べ物を色々と追加しただけという見た目通りの「手抜き料理(だと言うのに店では結構売れ筋商品になっている)」にどう言った逸話があるというのだろうか、逆に興味が湧いて来た気がする。渚「あれは私や真希子が中学生だった頃の話だよ・・・。」 女性に年齢を問うのは失礼にあたる(と最低でも作者個人は思っている)ので何年前かは明かさないが話は走り屋達が中学生になってまだ1年も経っていない頃に遡る、当時同じ部活に入っていた2人は放課後の練習を終えて片づけを終わらせようとしていた。渚(当時)「そろそろ終わりかな、真希子の方は終わりそう?」真希子(当時)「もうちょっとで終わるから待っててくれる?」渚(当時)「別に良いけど早くしないと限定パフェが無くなっちゃうよ、あれ凄く人気なんだから。」 運動部に所属している中学生と言ってもやはり2人共女子、やはり甘い物には目が無い。真希子(当時)「お待たせ、早く食べに行こう。」渚(当時)「調子良いんだから、誰を待っていたって言わせるのさ。」 急いで自転車へと跨り学校から少し離れたフルーツパーラーへと急ぐ、どうか生活指導の先生に見つかりません様にと願っていた2人を意外な人物が呼び止めた。声「赤江(渚)!!三ツ矢(真希子)!!2人で仲良く何処行こうとしてんの?」2人(当時)「先輩、申し訳ないんですけど私達急いでまして・・・。」先輩「あれでしょ、「限定パフェ」食べに行こうとしているでしょ。あれいつ行っても無くなっている事が多いから焦っちゃうのよね。」渚(当時)「そうなんです、だからお話なら別の日に・・・!!」先輩「あれ実は同行人数が多ければ多い程食べれる確率が高くなるの、折角だから私もついて行こうかな。ど
-④ 彼氏の扱い- 学生時代の頃から相も変わらず「鬼の好美」は健在だったが、この世界に来て数年が経ち少し変化があった様だ。イャンダ(内線)「好美ちゃん、別に呑むか呑まないかは勝手だけどまあ引越しの作業が終わって無いんだろ、大丈夫なのかい?」 やはり元竜将軍(ドラグーン)と言えどオーナーである好美には頭が上がらない様だが、イャンダは好美が忘れっぽい性格だった事をしっかりと覚えている様だ。好美「大丈夫だって、あと数箱しか残って無いんから。」 守はその「あと数箱」の事を思い出した、中身は家電等が中心で比較的大きめの物ばかりだった。まさか、全部一人でやらせるつもりなのだろうか。 守の表情
-90 涙がくれたもの- 冷蔵庫の中を確認して1人顔をニヤつかせる守を見て怪しそうな表情をする店主は、目の前の従業員が何を言っているのかが分からなかった。ケデール「ん?何にだ?」守「ほら、例の試食会の料理にですよ。俺の得意料理に丁度良いのがあるんです。」 ケデールは守に試食会で出す料理の提案と当日の調理をお願いしていた事を思い出した。ケデール「そういう事か、良いじゃないか。是非、その方向で行ってみてくれ。」 そして迎えた試食会当日、朝早くに起きた守は何度も味見を繰り返して料理に使うタレを作っていた。守「あ、店長。おはようございます。」ケデール「おはよう、朝から気合が入ってんな
-89 店主の希望- ケデールは先程の質問に対する守の返答を聞くと「そうか」と返事した後、何かを考える素振りをしながら黙々と食事をしていた。きっと夢の中で神が告げていた「お願い」の事なのだろうと察した守は、神との約束通り自ら尋ねようとはしなかった。 その後、豚舎へと向かった守は餌をやりながらだが少し違和感を感じていた。守「どうしてここの餌は緑色が混じっているのかな。」 守は元の世界にいた頃、龍太郎と共に契約している畜産農家へと見学に行った事が有った。そこでは豚の餌にトウモロコシや穀物を使っていたので全体的に黄色いイメージを持っていたのだ。守「まぁ、良いか。余計な詮索はしない方が良い
-87 3つのルールと朗報- 2人は早速、新設された豚舎へと向かい、守は店主の指導の下で豚の世話をし始めた。ケデール曰く守は意外とセンスがあるとの事だ。ケデール「おいおい、お前俺に嘘つきやがったのか?」 ケデールはそう言いつつも顔がニヤついていた、どうやら新しい従業員の実力は店主の想像の斜め上を行っていたらしい。ケデール「そうだ、今日は早めに店を閉めて呑もうか。守の事をもっと聞かせてくれよ。」 守が久々の酒に笑顔を隠せずにいると、店の入り口から女性の声がした。ケデール「お客さんだ、・・・ったく中の奴は何やってんだよ。はーい、今行きますね。」 ケデールがその場を離れると守は可能な