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第5話

Author: 長月
心が遠く離れたまま、同じ布団を分け合っているというのに、まるで他人同士のように一夜を過ごした。空がすっかり明るくなる頃には、凛はすでに目を覚ましていた。

凛は早朝から不動産販売センターのサービスを予約しており、今の家を売却する準備を整えていた。

女性マネージャーと手続きを進めていると、廊下の向こうから隆司と美月がふざけ合う声が聞こえてきた。

ちょうど柱が視界を遮り、その姿は見えない。

無視するつもりだったが、避けて通れるものではなかった。

隆司は甘やかな声で、美月に優しい眼差しを向けながら約束する。

「美月、どの家が気に入った?好きなのを選んでいいよ。

ここにある物件は全部俺の名義なんだ。誕生日プレゼントは家だって約束したし、必ず君が満足するものを選んであげる」

美月は恥じらうように微笑み、販売員に向かって「一番いい物件を紹介して」と指示した。

凛は雷に打たれたように立ち尽くし、震える両手を抑えることもできなかった。

この物件は──かつて凛が、隆司に贈った誕生日プレゼントだった。

二年もの歳月を費やし、彼のために一つひとつ心を込めて設計した。

一つ一つのデザインが、隆司への溢れるほどの愛情だった。

だというのに、隆司はその誓いも思い出も簡単に踏みにじり、別の女に与えようとしている。

凛の異変に気づいた女性マネージャーが声をひそめた。

「社長、私のほうからあの方に注意いたしましょうか?」

凛は小さく手を横に振った。しかし鼓動は荒れ狂い、胸の奥で何かがきしむように痛んだ。

やがて隆司と美月は手続きを終え、販売員がそばで調子のいい声を上げる。

「奥様は本当にお幸せですね。これほどまでに尽くしてくださる旦那様なんて、そうそういませんよ」

美月は隆司の腕に寄りかかり、抑えきれない笑みを浮かべていた。

一方、凛の手続きもほどなく完了した。彼女の後ろには十数人のスタッフが丁寧に並び、見送りの列を作っていた。

その物々しさが、ついに隆司たちの注意を引いた。

販売員はちらりと凛を見ただけで、軽蔑したように吐き捨てた。

「また家を売る方?どうせ家庭のことで疲れ切った冴えないおばさんなんでしょ」

凛の足が止まり、氷のように冷たい沈黙が落ちた。

直後、女性マネージャーが販売員の前に歩み出て、鋭い音を立てて頬を打った。

「高橋様のことを、あなたみたいな人間が口にできると思ってるの?来月から来なくていいわ。今日限りでクビよ」

販売員はその場に崩れ落ち、泣きながら許しを求めた。

「見る目がありませんでした!高橋様、どうか今回だけはお許しください!」

凛は沈黙を保っていたが、隆司がすぐに割って入る。

「別にこの子は間違ったことをしたわけじゃないだろう。大目に見てやれよ。大人なら穏便に──」

美月もか弱い声で販売員をかばい始めようとしたが、凛の一睨みに口をつぐんだ。

それでも美月は怯んだふりをして、しおらしく問いかける。

「凛さん、私に何か偏見でも?この販売員さん、私のせいでひどい目に遭ってるみたいですけど」

隆司は公の場で美月を庇い切ることはしなかった。凛に不倫を悟られるのを恐れているのだろう。

女性マネージャーは冷静に販売員へ私物の整理を命じ、その後すべての契約書を凛に手渡して場を離れた。

隆司は凛の手にある書類に気づき、眉をひそめた。

「家を売ったのか?どうして俺に相談しなかったんだ?これからどこに住むんだ?翔太だって学校があるんだぞ。ちゃんと説明してくれよ」

隆司の声には、困惑と苛立ちが入り混じっていた。

だが凛の瞳は一片の感情も映していなかった。

「ただ、住み飽きただけ。新しい環境を試したいと思って」

それは、あまりにも淡々とした口調だった。隆司は呆然とし、言葉を失った。

いつから凛は、彼に説明する気力すらなくしてしまったのだろう。

隆司は途方に暮れたように手を伸ばし、凛の手を掴もうとしたその瞬間。

視界に飛び込んできたのは、何もはまっていない凛の薬指だった。

ーー凛はいつから結婚指輪を外したのだろうか。
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