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第117話

Author: 年緒
来希のこめかみに再び怒りの青筋が浮かび上がった。

ここまで頭を下げたのに。自分なりに、これ以上ないところまで譲ったつもりなのに、なぜ萌花はまだ怒りを鎮めようとしないのか。

十年越しの想いに、三年の結婚生活。自分でさえ手放せずにいる。まして、あれほど多くを注いできた萌花が、そう簡単に気持ちを断ち切れるはずがない。来希にはどうしても、萌花が本気で心変わりしたとは思えない。

彼はどうにか理性を保ちながら口を開いた。

「萌花、意地を張るのはやめてくれないか。同級生のみんなも見ているんだ。俺たち、確かに誤解があるかもしれない。でも約束する、これからはお前を最優先すると誓う。もし専業主婦でいるのが退屈なら、会社の副社長になってくれ。人事権はお前に任せる。誰をクビにしようと、俺は一切口出ししない」

ここまで言えば、萌花にも自分の最大の誠意が伝わったはずだと、来希は思っている。誰をクビにしてもいい。はなをクビにしたいなら、そうすればいい。彼にとって心のどこかでは、はなはずっと特別な存在である。しかし現実の利害を前にすれば、最終的に選ぶのは萌花だ。

ここまで自分が譲歩したのだから、萌花もそろ
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