俺様吸血鬼【ヴァンパイア】と私の甘くて苦い恋愛事情。

俺様吸血鬼【ヴァンパイア】と私の甘くて苦い恋愛事情。

last updateDernière mise à jour : 2026-06-12
Par:  水沼早紀Complété
Langue: Japanese
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主人公の高校生・真琴が出会ったのは、自称吸血鬼【ヴァンパイア】と名乗る転校生・ユズルだった。 ユズルの秘密を知ってしまった真琴は、ユズルと共に命を狙われることになってしまうが……。 友達以上恋人未満の関係だった二人は、いつしかお互いを意識するようになり、ついに恋人同士になるが、そんな中真琴に吸血鬼を子供を産ませようと目論む吸血鬼のボスが、真琴を拉致監禁してしまう。 真琴は恐怖に怯えながら、逃げることを目論むが……。果たしてユズルは、真琴を助け出せるのか。そんな中真琴の身体にとある変化が襲いかかる。 果たして二人の運命はどうなってしまうのか……。吸血鬼と人間の許されない恋の行方は……。

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81
○01〜現れた吸血鬼【ヴァンパイア】〜
「行ってきまーす」「行ってらっしゃーい」今日もいつも通り、お母さんに見送られながら学校へと向かう。「真琴ー!」「あ、萌恵。おはよう」「おはよう」友達の萌恵に、「どうしたの?なんかご機嫌だね」と声をかける。「えっ?ちょっと真琴知らないの!? 今日転校生くるんだよ?」「そうなの? 知らなかった」萌恵は目をキラキラさせながら「しかもその転校生、超イケメンなんだってさ!」と話すから、私は「へえ、そうなんだ」と言葉を返す。「あーあ、早くどんな子なのか見たいなぁ」「イケメンってねぇ……萌恵、彼氏いるでしょ?」「いるけど、それとこれとは別だよ!」そんな萌恵に私は「別ってなに?」と聞き返す。だけど私はこの時、まさか自分が"吸血鬼(ヴァンパイア)"の餌食になるなんて、想像もしていなかったーーー。✱ ✱ ✱「ほらー席つけー。ホームルーム始めるぞー」チャイムが鳴ると同時に、席に着くみんな。 いつもより行動するの早いな、みんな。やっぱ転校生が来るから……?「えーみんなも知っていると思うが、今から転校生を紹介するぞ。 おーい、入ってこい」「はい」先生の合図で転校生が入ってくる。 そしてその瞬間「きゃああああああ!」という女子たちの黄色い声援が響き渡った。う、うるさい……! 思わず耳を塞ぎたくなる。「おい、うるさいぞお前ら。静かにしないか!……さぁ、自己紹介しなさい」「はい。桜木ユズルです。 今日からよろしくお願いします」桜木という転校生が挨拶をしただけで"きゃああああああ!"と女子たちのテンションが上がっている。「席は……そうだな」キョロキョロと辺りを見回す先生。 そして先生と目が合ったのは、私だった。「……えっ?」ウソッ……。まさか……?「じゃあ桜木は、金森の隣に座れ」「ええっ……」やっぱり?やっぱり私? たしかに席空いてるけど、でもでも……!「はい」そして近づいてくる桜木という名の転校生。「よろしくお願いします」「……うん、よろしくね」軽く挨拶をした。だけどこの転校生がまさか"吸血鬼(ヴァンパイア)"だったなんて、この時の私にはわかるはずもなかった。そう、見た目は一見普通の人間にしか見えなくて。だけどその心と中身は、人を噛み殺す【吸血鬼(ヴァンパイア)】なんだ……。そんな吸血鬼に目をつけられることなるなん
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●02
「でしょ? だからもう変えられないよ」「……もう」「てかアイツ、なんか気に入らない」「ええっ!? 桜木くん?」萌恵が目を見開く。「だってさ、なんか怪しくない?」「どこが? べつに怪しくないよ」「……そうかな」なんか怪しいと思う。絶対になんか裏がある気がするんだけどな……。お弁当を食べ終えた後は、何事もなく授業を受けた。そして授業が終わるチャイムが鳴り響く。「おーい席つけー。ホームルーム始めるぞー」担任が教室に入り、ホームルームを始める。「明日は集会があるから、絶対に遅刻するなよー。じゃあ帰っていいぞー」ホームルームが終わり、みんな各々で帰る準備をはじめる。ふう……終わった終わった。 疲れたから今日は、寄り道しないで帰ろうかな。「萌恵、私もう帰るけど、彼氏と帰る?」「あ、うん。ごめんね」「ううん、じゃあね」「うん。バイバーイ」私は萌恵と別れて、そのまま学校を出た。 そして歩いてる途中で……。「……ん?」転校生の桜木の姿を見つけた。あれ?あれって桜木だよね? なにしてんだろ……?「言われなくてもわかってるって。ちゃんと見つけ出す。……俺はちゃんと役目を果たすだけだ」ていうか桜木、なんか口調違くない? さっきまで遠慮がちだったのに、なんかちょっと俺様って感じの喋り方だ。 さっきとなんだか、雰囲気が違う。まあいっか、私には関係ないし。「わかってる。なんせ俺は、"吸血鬼(ヴァンパイア)"だからな」「っ……!?」えっ、ええっ……。今の何!? ば、ば、ヴァンパイア……!?ど、どどど、どういうことぉ……!? あっアイツ、吸血鬼なの……!? う、ウソだ……! これって、幻聴……!?「どっ……どうしよう」私はそこから動けなくなってしまった。 そして私は……アイツのヤバイ秘密を知ってしまった。 アイツがヴァンパイアだなんて……信じられない。だって、だって、アイツ見た目は人間だよ? アイツを見て、誰が吸血鬼だと思うのか。 そんなこと、誰も思わないし、思うわけがない。吸血鬼……ヴァンパイア……。え、これって現実?ダメだ……頭こんがらがる。「……とりあえず、逃げなきゃ」だってここにいたら、今の話聞いてたのバレちゃう。 でも、足が動かない……!「ああ、わかってる。じゃあな」電話を切った桜木が、私の方に振り返る。
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○03
「……でも吸血鬼とはいえ、今は人間でしょ? 例えヴァンパイアだとしても」「ああ、そうだ。見た目じゃヴァンパイアだなんてわからないからな」桜木がヴァンパイア……。本当に、全然そんな感じがしないから不思議だ。「……話はわかった。だから一つだけ教えて」「なんだ?」 私は桜木に「アンタの目的は、一体なんなの?」と問いかけた。 「目的?」「そうよ。アンタが人間のフリしてここにいるってことは、なんか目的があるからなんでしょ?」桜木は「まあ、そうだな」と答える。「じゃあその目的が、なんなのか教えて」「……お前、さっきから質問多すぎだろ」質問しなきゃ桜木のことなんてわかりっこないのは、当たり前だ。「いいから答えて、桜木。……吸血鬼のアンタがなんでここにいるのか、なにが目的なのかわからない。だから私に教えてって言ってるの」桜木はため息を吐き、「……わかった。目的を教えてやる。 だから俺が吸血鬼(ヴァンパイア)だってことは、誰にも言うなよ?絶対にだ」と私に釘を刺す。「わかった、約束する。……だから教えて」「いいだろう。俺の目的はただ一つだけだ。 人間界で最高にうまい血を持ってるヤツがいる。そいつを探すことだ」「え?おいしい血……?」 人間の血においしいなんて……あるの?「ある。俺たち吸血鬼は、血のニオイにすぐに反応する。その血がうまいかどうかも、ニオイでわかる」ニオイで……わかる? なるほど。吸血鬼だから、ニオイに敏感なんだ。「……ニオイでわかるなんて、すごいね」「俺たちはそれほど嗅覚が優れてるってことだ」でも、吸血鬼ってことはだよ……。「……吸血鬼ってことは、アンタは人間を殺すってこと?」吸血鬼ってことは、そういうことだよね? 「それはどうかな」「はあ? 真面目に答えてよ。まさか、秘密を知った私のことも殺すとか言わないよね?」私のことも殺すって言うなら……。「それはお前次第だな。 まあ見た目は人間なんだ。俺が吸血鬼だなんて誰も思わないさ、普通はな」「……ちょっと待って。 つまりアンタは、ヴァンパイアとしてその役目を果たすために、ここに来たってこと?」「まあそういうことだ」「……アンタが、吸血鬼」今目の前にいるのは、人間じゃなく人間の姿をした吸血鬼だ。たしかにどう見ても、見た目は人間だ……。「本当に、信じられない…
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●04〜吸血鬼【ヴァンパイア】の秘密〜
吸血鬼(ヴァンパイア)ーーー。そんなもの存在するわけがないと、私はずっと思っていた。 そんなものはおとぎ話の世界だけだと。でも今になって、吸血鬼がほんとにいるんだとわかった。信じられないし、信じたくないけど。でも桜木の話だと本当みたいだし。とにかく今は、目の前にいるコイツが吸血鬼(バンパイア)だってことが問題だ。もしコイツがヴァンパイアだなんて知られたら、必ず犠牲者が出るかもしれない。「とにかく、私は絶対に約束を守る。 だからアンタもヘタな真似はしないで」「わかってるよ。バレたら俺の命、なくなるかな」なくなるのは、私たちの命だと思うけど。「……それにしても」「なんだ」「アンタが吸血鬼だってことは信じた。 でも証拠がないじゃない」私がそう言うと、桜木は「証拠……?」と顔をしかめる。「アンタがほんとに゙ヴァンパイア゙だっていう証拠よ」「あのなあ、今の話で充分わかっただろ?」「でもアンタが吸血鬼だったとして、その証拠がなきゃ信じられないでしょ?実際に」「……なるほど」「でしょ?だったら証拠を見せてよ」と言ったが、桜木は「そんなこと言われてもな……」と顔をしかめる。「ていうか吸血鬼ってことはさ……もしかして満月とか関係ある?」「はあ?」「ほら、大体ヴァンパイアって満月の夜に現れるんでしょ?」桜木にそう聞くと、桜木は「……まあたしかに、前まではそうだったけど」と答える。「なに? てことは今は、違うの?」「お前の言うことも、まああながち間違っちゃいない。……だが今は、満月の夜じゃなくてもヴァンパイアにはなれる」「えっ、そうなの……?」 吸血鬼は満月の夜に現れるものだと思ってたんだけど、満月の夜でなくても現れることが出来るの?「ああ。満月じゃなくても、月さえ出てれば簡単にな」「……そう。なら今晩見せてくれない?」桜木の吸血鬼の姿を見れば、確実に信用出来るはず。「見せるって、なにをだよ?」「アンタの"吸血鬼゙としての姿よ」「……おいおい、冗談だろ。正気かお前?」桜木は私の言葉に驚いている。「私はいたって普通よ。 でもアンタが吸血鬼なら、どんな姿なのか気になるし」「ふざけんな、そんな理由かよ」そりゃ気になるに決まってる。 人間じゃないんだから。「なによ。イケない? だってアンタが吸血鬼だって知ってるのは、私だ
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○05
「なんだ?なんか不満でもあんのか?「……わ、私を食べるってことは、つまり……」そういうこと……だよね?「なんだよ?」「つまり、私を……殺すってこと?」私がそう聞くと、桜木は「はあ?バカ言うな、殺さねぇよ。 殺すわけねぇだろ」と私に言った。「でも今、私のこと食べるって……」「あのな、今のはそういう意味じゃねぇよ。 今のは噛み殺すじゃなくて、お前の血を"吸う"って意味だっての」「……へっ?」血を吸う……? な、なんだ……。私殺されないんだ、よかった……。ほんとに殺されるんじゃないかって思ったからビックリした。「なんだ。殺されるとでも思ったのか?」「……な、なわけないでしょ。 もし私を殺すとしたら、絶対私の意識失わせてから殺すでしょ?」「あのな、俺は確かに吸血鬼だ。 けどな、そんな殺し方はしない」「じゃあどういう殺し方するの?」「……それは秘密だ」秘密……? なんで秘密なの?「なにそれ」「安心しろ。すぐにお前を殺したりはしない。 まあ俺がヴァンパイアだってことを誰かに喋ったら、その時は殺すかもだけどな」「……わかってるわよ。別にそんなこと、誰にも言うつもりはない。ていうか言えないでしょ」そんなこと言ったら、瞬く間に噂が広がって大変なことになる。「とりあえず今の話は全部、内密にする。だから私を殺したりなんてしないでよね」「わかってる。まあお前が約束を守るならな」「だから守るわよ!」そんな私に、桜木は「よし、じゃあそんなお前に褒美をやる」と私の顔に近付く。「はっ?ーーーんっ!?」それはほんの一瞬の出来事だった。「なっ、なにす……なにすんのよっ!」「だから言ったろ。"ご褒美をやる"って」「……っ!」なっ……なななっ……! わ、私……。あんな吸血鬼男とき、キスしてしまった……!「さっ……サイテー!」ひ、人の唇を勝手に奪うなんて、信じられない! 人としてサイテーよ!ありえないっ!「なんだ。もしかしで初めでだったのか?」「う、うるさいっ!……いい?それ以上言うと、アンタの秘密バラすからねっ!」「……わかった、なにも言わない。 ただこれだけは言わせろ」「な、なによ」「お前のファーストキス、ごちそうさまでした」「なっ……!」こ、コイツ……! 私のことからかうなんて、百年早いんだけど!「なーんてな」
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●06〜吸血鬼【ヴァンパイア】の正体〜
「……ていうかさ、アンタ」「ん?」私は桜木に「見た目は人間だけど、心と中身はヴァンパイアって言ったよね……?」と問いかける。「ああ、そうだけど?」「なら人間としてのアンタと、ヴァンパイアとしてのアンタ……どっちが本当のアンタなの?」私は桜木にそう問いかける。「確かに、見た目はどう見たって人間だよ? でも中身がヴァンパイアなのなら、人間としての感情はあるわけ?」「……感情?」「そうよ。ヴァンパイアとしての血が濃いなら、人間としての感情なんかあるわけ?」そもそもこの人は人間じゃないのに、人間として生きることなんて可能なのだろうか。「わかんねぇな。……まあでも、あるんじゃないかな」「なによ、それ」でも桜木は、私に「でも俺には、その"感情"ってのがわからない」と私を見る。「ええっ?……まあ、そうよね。だってヴァンパイアなんだもんね。わかんなくて当たり前だよね」そう割り切るしかできないよ、もう。「まあ人間としての生き方とかがわかるようになれば、その"感情"ってのがわかるようになるかもしれないけどな」感情ね……。それって必要なのかな。「……別にムリに知ろうとしなくてもいいんじゃない。 だってアンタは、普通の人間じゃないんだし」 なんせ"ヴァンパイア"だからね。「あのな、そんな何回も俺のこと批判するなよ。まるで俺が変なヤツみたいじゃねぇかよ」桜木がそう言うから、私はつい「変なヤツみたいじゃなくて、変なのよ」と言葉を返してしまった。「……それ以上言うと、お前のことここで襲うぞ?」「なっ……! 私のこと脅す気!?」卑怯すぎやしない!?「そっちだって俺のこと、批判したじゃねぇかよ。俺がヴァンパイアってのを使って俺を脅してただろ」「はぁー!? 脅してないわよ!ていうかあんなの脅しのうちに入らないからっ!」あれが脅し!? ありえない……!「でも俺、意外と傷付いたよ」「……ヴァンパイアのくせにそうやって純情です、みたいな雰囲気出さないでくれる?気持ち悪い」「気持ち悪い? 俺が気持ち悪いのか?」「そうよ。女みたいにネチネチしたとこが、すっごく気持ち悪い」「……そこまで言うなよ」あれ? ちょっと悲しそうな顔してる……?「だってほんとのことじゃない」「……わかった。もうなにも言わないわ」「はあ?訳わかんない。ったく……」私
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○07
「桜木くん、図書室行くんでしょ?」「ああ、うん」昼休みになり、私は桜木に「着いてきて。案内するから」と歩き出した。「ありがとう」とりあえず桜木を図書室へと案内する。「桜木、ここが図書室だよ」「ありがとう、金森さん」私に向かってニコッと笑う桜木。……いや、吸血鬼(ヴァンパイア)男。「あのさ、今図書室には誰もいないんだから、もう普通にしたらどう?」「そうだな、それが一番だな。それにこれのが楽だし」やっぱり猫かぶってると、妙に気持ち悪いわ。「私、朝からずっと思ってたんだけどさ……アンタってほんとに猫かぶるのがうまいよね」「そうか?」「ええ。つくづく感心するわ」「ふっ……まあ俺だからな」やっぱり私、コイツのこと嫌いだわ。……はあ、出来ればもう関わりたくはない。「……じゃあ私、教室戻るからね」私は図書室のドアに手をかける。「……なあ、真琴」なのに桜木に名前を呼ばれる。「え?……今度はなによ?」桜木の方に振り返ると、桜木は表情を変えていきなり「俺さ、さっき血のニオイを感じたんだ」と言い出した。「え? 血のニオイ……?」「ああ。すげぇ強い、血のニオイを感じる」私は桜木に「……それって、どういうこと?」と聞き返す。「……この学校の中に、俺の敵がいるってことだ」「敵……?」「つまり俺がここにいるってのを、その何者かが突き止めたんだろう。……そいつはきっと、俺を狙ってる」「狙ってるって……どういうこと?」なんで桜木が、狙われるの……?「俺はヴァンパイアの中じゃ格上の存在なんだ。 だからそれを知ってる人間が、俺を潰しに来たってことだろうな」「……一体誰が、そんなことを?」「わからねぇ。……だが俺が完全に狙われてるってのは、間違いなさそうだ」狙われてるなら、どうするってのよ……。「……アンタ、これから一体どうするの?」「わからねぇ。 とりあえず様子を見るしかなさそうだな」様子を見るって……。私、ヴァンパイアに命を狙われたりしないわよね?「……ねぇ、もし仮にだけどさ」「ん?」「アンタの命が狙われてるとしたら……一体どうするつもりなの?」まさか桜木と関わった私まで、どうにかされたりしない……よね?「さあな。……どうすっかなぁ」「どうすっかなぁって……自分のことじゃないの」桜木は私に「そんなの俺にわかるわけね
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●08〜吸血鬼【ヴァンパイア】の悩み〜
【sideユズル➀】「なあ、悪いんだけど調べてほしいことがあるんだ」「ああ、なんだ」俺はヴァンパイアの世界の友人に連絡を取り、「今こっちの世界にいる、俺以外のヴァンパイアを調べてほしい」と伝えた。「……何かあったのか?」「実はついこの前から、誰かが俺を狙ってるみたいなんだ。 この間からずっと、強い血のニオイがしてる」「血のニオイ……? 本当か?」連絡を取っているのは俺の友人である榊原《さかきばら》だ。「ああ、しかもすげぇ強力な血のニオイなんだ。……だが誰が俺を狙ってるのかがわからねぇ。 だから調べてみてくれねぇか」「わかった。 にしてもなんで、お前がこっちにいるってわかったんだろうな」それは俺が一番知りたいことだ。 なぜ俺のことを知っているのか……。   どうやって俺のことを突き止めたのかが分からない。「わからねぇ。 だがそいつが俺の命を狙ってることは確かだ。 だからなるべく早く調べてほしい」「わかった。 なんかわかったら、また連絡する」「ああ。頼んだぞ」俺は電話を切り、ため息をつく。「……桜木、アンタなにしてんの?」「え?」真琴が俺に話しかけてくる。「ここは携帯電話は使用禁止よ。 貼り紙見なかったの?」「そうなのか。知らなかった」「ったく……今度から図書室で携帯は使っちゃダメだからね」「ああ、わかった」真琴は俺に「それより、なにかわかった?」と問いかけてくる。「いいや。何もわからないままだ」「そう……。なにも情報がないとなると、困るわよね」「ああ。 今調べてくれるようにアイツに頼んだところだ」「アイツ?……って、誰?」     真琴は不思議そうに俺を見ている。「俺の昔からの友達だ。……とにかく一刻も早くアイツの正体を掴まないと、俺の命が危うくなるからな」「そうよね。……でも手掛かりがないと、見つけられないし」「ああ。とりあえず今は、大人しく様子を見るしかなさそうだ」「……そう」俺は真琴の隣に座ると、「だが何も手掛かりになりそうなものがない。 だから今は、俺にも見つけることは難しそうだ」と話した。「……ヴァンパイアのアンタにわからないんじゃ、私にもわからないわね」真琴がそう言うので俺も「そりゃあ、そうだな」と答えた。「とにかく、もう少し様子を見るしかなさそうね」「ああ」真琴は俺を見るなり
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○09
「さあな。 とりあえず普通に生活するしかねぇだろうな」「そう。 ていうかその強い血のニオイって……一体どんなニオイなの? それって私たち人間にもわかるものなの?」「は?わかるわけねぇだろ。 それはヴァンパイアにしかわからないニオイなんだから」真琴はなにを言っているんだ。「そうなんだ。……でも、どんな感じで強いの?」「んー……人間がそのニオイを嗅いだら、間違いなく死ぬだろうな」俺がそう話すと、真琴は立ち上がって「はっ!? 死ぬっ……?!」と驚いている。「ヴァンパイアは人間のニオイがわかる。 だからむやみに近付けば、人間は一発で俺たちヴァンパイアの"餌食"になる」「餌食って……つまり、食べられるってこと?」「まあ、簡単に言えば殺されるってことだ」真琴はもう一度椅子に座ると「……それって、人間を噛み殺すってことでしょ?」と俺に問いかける。「ああ、簡単に言うとそうなるな」真琴は「なにそれ、めっちゃ怖いんだけど……」と呟く。「ヴァンパイアは気が短い。 だから人間のような感情はまるでない。……だからヴァンパイアは、余計人間を嫌うんだ」真琴はそんな俺に「……じゃあ、そういうアンタはどうなのよ」と聞いてくる。「俺? 俺はその辺のヴァンパイアとは違う。ここに来るために、わざわざ人間みてぇな格好して、血のニオイも抑えている。……それに気が短いほうでもない。 まあヴァンパイアにしては、大人しい方かもな」「そうなの……? ヴァンパイアなんてみんな同じかと思ってるんだけど」おいおい、それはどういう偏見だ……?「あのな、同じな訳がないだろ。俺は向こうの世界じゃ格上の存在だ。 誰も俺に手出しはできない。もし逆らったりしたら、それこそこの世の終わりだってみんな言ってる」「それは大げさすぎない?」「向こうの世界じゃ、それが当たり前なんだ。……俺たちがヴァンパイアとして生きるには、上下の世界がつきものなんだよ」人間にも上下関係があるように、ヴァンパイアの世界にも上下関係は確かに存在する。「へぇ……。確かにまあ、人間にも上下の世界はあるけどさ」「だろ? だからそれと同じだ。ただ一つ違うのは、ヴァンパイアは気が短いからすぐに殺しちまうところだ」「……アンタの世界って、生活しにくいのね」と、真琴は言うけど、俺にとっては人間の世界の方が何倍も生活しにくい。
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●10
同じヴァンパイアでも、能力も違うしニオイも違う。 簡単には見抜けない。「……つまり私たちの周りにいる人間の中に、その強力な血のニオイを持ったヴァンパイアが、いるってこと……?」「ああ、だが見た目は人間だ。……ヴァンパイアの俺でも、一発でそれを見抜くのは難しいだろうな」俺がそう話すと、真琴は「そんな……じゃあどうするの?」と俺に問いかける。「わからない。ヴァンパイアだっていう確信がねぇからな。……とりあえず、向こうから何かを仕掛けて来ない限り、どうすることも出来ない」真琴は何かを考えるような表情を見せた後、「……ねぇ、今は人間の姿をしてるってことはさ」と話し始める。「ん?」「……日が落ちれば、元の姿に戻るってこと?」真琴って、意外と感が鋭いんだな……。「ああ、多分な。 だが今のバンパイアは賢いから、元の姿に戻るとは限らない」「え? それじゃあ、夜になっても人間の姿のままってこと?」「簡単に言うと、そういうことだ」「どうして? どうして、人間の姿のままでいられるの?」俺はその答えに、「俺の予想だけど、特殊な薬を身体に打ち込んでるんだろうな」と答えた。「特殊な、薬……?」人間の姿のままでいられるように開発された、ヴァンパイアのための薬。 こいつがあるから、また厄介なんだろうな……。真琴は眉間にシワを寄せて「ちょっと、そんなの厄介じゃない」と言っている。「俺に言うな。一番困ってんのは、俺なんだから」「そ、そうだよね。 ごめん」「いや。 とにかく誰かが俺を狙ってるってことだけは、間違いなさそうだしな」さて、俺を狙うのは一体どこのどいつなのかわからないが、俺をどうする気なんだろうな。俺を狙う理由はいくつがあるけど、そこまではわからない。「ねえ、その誰かがアンタを狙う理由って一体なんなの?」「さあな。 俺にもわからない」 わからないから対処も出来ないしな。「なにか心当たりとかないの?」 真琴からそう聞かれたので「ない」とだけ答えた。 「ちょっと……。それじゃ、アンタ自身狙われる理由がわからないってこと?」「そうなんだよな。参ったぜ」真琴は呆れながら「参ったぜって……。アンタ、危機感がなさすぎる」と言っている。「まあ、焦っても仕方ないしな」「……もし何かわかったら、必ず私に報告してね。アンタの正体知ってるの、私だけなん
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