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第2話

Author: ダンダン
特急券を握る凛の手は、震えが止まらなかった。

7日。あと7日だけ耐えれば、元に戻れる。両親がまだ生きていたあの頃に戻れるのだ。

彼女はベッドに潜り込み、すぐに目を閉じ、7日後の帰路を静かに待ち望んだ。

翌朝早く、小春がドアをノックした。

「綺麗なお姉ちゃん、起きて。ご飯だよ」とても礼儀正しい子だった。

かつて凛が思い描いていた蒼介との子供も、こんな風だったはずだ。

可愛らしくて、物分かりが良くて、見知らぬ凛に対してさえ、素直に「綺麗なお姉ちゃん」と呼んでくれる。

残念ながら、それは彼女の子供ではなかった。

凛は珍しく微笑んだ。

「ありがとう、小春ちゃん」

そう言うと、小春は彼女をダイニングテーブルへと案内した。

昨日はよく見ていなかったが、今日になってようやく気づいた。かつて自分たちのささやかなマイホームだったこの家は、すっかり様変わりしていた。

以前の重厚なマホガニー材のダイニングテーブルは洋風のものに変わり、玄関に飾られている風鈴は一目で栞の好むデザインだと分かった。蒼介の手首にさえ、淡いピンク色のヘアゴムが2本結ばれていた。

凛が小春の手を引いているのを見て、蒼介は眉をひそめ、立ち上がって小春を抱き寄せた。

「大人しくしていろ。無闇に小春に近づくな」

彼は凛が小春に危害を加えるのではないかと警戒していた。

「もう、蒼介ったら何してるの。私たちの小春はこんなに可愛いんだから、凛さんだって小春のことが好きなはずよ。どうして凛さんをそんなに警戒するの?」

栞は彼の手から子供を受け取り、笑いながら蒼介の背中を叩いた。

蒼介の表情が和らぎ、3人は一緒にダイニングテーブルに戻った。

栞は凛に座るよう促し、すっかり女主人の顔つきだった。

「凛さん、この朝食、口に合うといいんだけど。5年も経ってるから、好みが変わってないか心配だわ」

その上品な笑顔の中に、凛は微かな悪意を読み取った。

その言葉を聞いて、蒼介は視線を上げて凛を一瞥した。その瞳には軽蔑の色がありありと浮かんでいた。

彼に対する期待はとうに消え失せていたが、それでも凛の胸の奥は冷え切っていった。

彼は信じてくれない。やはり自分が結婚生活を裏切り、理不尽に振る舞ったのだと思い込んでいるのだ。

食事を味気なく終え、栞は小春をプレイルームへ連れて行った。

小春が凛の横を通り過ぎる時、ふと立ち止まった。

「お姉ちゃん、どうしてお姉ちゃんの指輪、ママのと同じなの?」

彼女は凛の指輪を指差し、無邪気な声で尋ねた。

「お姉ちゃんのも、パパがくれたの?」

凛は息を呑み、無意識のうちに栞の手元へと視線を移した。

ブルーダイヤモンドのシンプルなリング。確かに同じように見える。

だが、見る人が見れば一目で分かる。栞の指輪のダイヤの方が、凛のものよりもずっと品質が上だった。

凛は口角をわずかに引きつらせた。説明の言葉が喉まで出かかったが、それを蒼介が遮った。

「小春、似ているだけだよ。ママが持っているのは、パパの唯一無二の愛だからね」彼は栞の手を引き寄せ、愛おしそうに撫でた。

凛は静かに彼らを見つめた。こんなセリフ、蒼介は以前自分にも言っていた。

ただ、彼が愛の言葉を囁くのはいつも夜の静寂の中だけであり、こんな風に人前で堂々と口にすることは一度もなかった。

この瞬間、凛はふと悟った。たとえ自分が偶然5年後にタイムスリップしていなかったとしても、自分たちの結末は変わらなかったのではないかと。

凛は突然ひどい吐き気を覚え、胃から込み上げてくるものを抑えきれず、慌ててトイレに駆け込んだ。強烈な吐き気で両目は真っ赤に充血した。

栞はその場に立ち尽くし、その瞳には一瞬、何かの感情が閃いた。

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