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第1663話

Auteur: 夏目八月
紫乃たちが屋敷に客として滞在していることもあり、上原夫人はさくらの顔を立て、仲間たちを連れて都のあちこちを見物するのを許してくれた。

その年の瀬も押し迫ったある日、家々が正月の支度に追われる中、一頭の駿馬が城門から皇城目指して駆け抜け、その鞍上の伝令が声を張り上げていた。「吉報!北冥親王様が邪馬台を奪還!北冥親王様が邪馬台を奪還なされましたぞーっ!」

さくらは二反の絹を抱え、呉服屋の店先で、その伝令の叫びをこの耳で確かに聞いた。

彼女の記憶では、あの人が邪馬台の戦地へ赴いた後、その進軍は破竹の勢いで、十余りの城を次々と奪還した。だが、最後は日向と薩摩で長く膠着し、そこへ平安京の軍が加勢したことで、さらに時が費やされたはずだった。

以前の時間の流れならば、今頃はまだ両軍が睨み合っているはず……どうして、もう完全な勝利を?

あの人が勝利を収め、邪馬台を取り戻すと信じてはいた。ただ、これほど早いとは思いもしなかったのだ。

やはり、平安京の軍から横槍が入らなかっただけで、邪馬台の奪還はこれほど順調に進むものなのか。

屋敷へ戻ると、さくらは母にその知らせを告げ、亡き父と兄のためにも
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Commentaires (5)
goodnovel comment avatar
渕上千秋
満足感でいっぱいです。 まさかの最後の展開にびっくり このままこの経緯で再度物語を綴っていただき、2人の行く末を見守りたいと思いました… 登場人物それぞれごとのの心情も明かしてくれて、スッキリです。 ありがとうございました...
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nSSign0805
素敵なさくらの物語り。毎日楽しみに読んでいました。色々ありましたね。次にさくらは何をしてくれるのか、ワクワクしていました。最後はあぁ人の人生ままならないことがあるんだなと寂しい想いにもかられましたが、まさかの展開に驚き、嬉しくなりました。もう一度さくらの人生を知りたくなりました。ぜひ続編をお願いしたいです。またさくらに会いたいです!
goodnovel comment avatar
kana
本当に、本当に面白かったです。 毎晩寝る前に読み、1日の疲れを癒してくれる物語でした。 さくらと玄武の甘く幸せな日常がいつまでも続きますように。 素敵な物語をありがとうございました。
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  • 桜華、戦場に舞う   第1663話

    紫乃たちが屋敷に客として滞在していることもあり、上原夫人はさくらの顔を立て、仲間たちを連れて都のあちこちを見物するのを許してくれた。その年の瀬も押し迫ったある日、家々が正月の支度に追われる中、一頭の駿馬が城門から皇城目指して駆け抜け、その鞍上の伝令が声を張り上げていた。「吉報!北冥親王様が邪馬台を奪還!北冥親王様が邪馬台を奪還なされましたぞーっ!」さくらは二反の絹を抱え、呉服屋の店先で、その伝令の叫びをこの耳で確かに聞いた。彼女の記憶では、あの人が邪馬台の戦地へ赴いた後、その進軍は破竹の勢いで、十余りの城を次々と奪還した。だが、最後は日向と薩摩で長く膠着し、そこへ平安京の軍が加勢したことで、さらに時が費やされたはずだった。以前の時間の流れならば、今頃はまだ両軍が睨み合っているはず……どうして、もう完全な勝利を?あの人が勝利を収め、邪馬台を取り戻すと信じてはいた。ただ、これほど早いとは思いもしなかったのだ。やはり、平安京の軍から横槍が入らなかっただけで、邪馬台の奪還はこれほど順調に進むものなのか。屋敷へ戻ると、さくらは母にその知らせを告げ、亡き父と兄のためにも酒肴を供えた。邪馬台奪還は、彼らの功績でもある。彼らがあの人に残した、羅刹国と戦うための経験があったからこそなのだ。二月、北冥軍が都へ凱旋した。さくらは城門まで出迎えに行きたかったが、母が正月から引いた風邪をこじらせ、まだ全快していなかった。母のそばで看病に付き添う彼女は、民衆の歓声に沸く城門へ向かうことができなかった。ただ、本当に、本当に、あの人に会いたかった。あと幾日かして、母の具合が良くなったら、自分から北冥親王の屋敷を訪ねよう、と彼女は考えていた。あの人は、自分たちが生涯を共にした夫婦であったことなど覚えていないだろう。でも、彼女は知っている。彼が邪馬台へ発つ前、この北平侯爵邸へ自分を娶りたいと申し出てくれたことを。今世では、自分から想いを告げに行ったって、構わない。しかし、まさかその翌朝だった。梅田ばあやが息を切らして報せに来たのは。北冥親王様が、なんと穂村宰相の奥様を仲人として伴い、正式に縁談を申し込みに来られたというのだ。お母様は、すでに広間で応対されている、と。さくらは昨夜、子の刻まで母を看病してようやく自室に戻った。だが、布団に入ってか

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  • 桜華、戦場に舞う   第1658話

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