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第8話

Author: 栗本こはる
辰哉の世界が、音を立てて崩れ落ちた。

律希のために用意された心臓など、最初から存在しなかった。

それはただ、彼が私の目の前にちらつかせるエサであり、私を繋ぎ止めるための冷たい鎖にすぎなかった。

彼は偽りの希望で私を縛り、家族とともに私を傷つけ、踏みにじった。

それだけではない。私が死んだあとでさえ、その嘘を使って、遥香の罪を私に着せようとした。

あまりにも滑稽で、あまりにも残酷だ。

「ハハ……アハハハハ!」

辰哉は天を仰いで笑った。涙を流し、全身を震わせて笑い続ける。

自分の愚かさを、傲慢さを、そして冷酷さを嘲笑っているのだ。

辰哉は自分がすべてを支配できると思い込んでいた。

しかし今になって、ようやく気づいた。彼はこの悲劇の中で、誰よりも哀れな道化にすぎなかったのだ。

自分で紡ぎ出した嘘を、また自分で打ち砕く。最後には全身傷だらけになり、見るも無残な姿に成り果てた。

まるで正気を失ったように笑う辰哉を見て、秘書は恐怖のあまり息を潜めている。

辰哉は長いこと笑い続け、ようやくゆっくりと笑いを止めた。

涙を拭うと、顔から表情が消え、死んだような静けさが戻る。そ
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    ニュース画面に映る、ひどく寂しげで、それでいて決然とした辰哉の後ろ姿を見つめても、私の心はもう何も感じなかった。辰哉、こんなことで罪を償えたとでも思っているの?この世にはお金では償えない罪がある。どれだけ時が流れても、絶対に許されない過ちだってある。……辰哉は墓地へ向かった。彼はまず、律希の墓前に立った。小さな墓石が、ひっそりと佇んでいる。辰哉はしゃがみ込み、墓石のほこりを手でそっと拭き取る。その手つきは、まるでこの世で最も尊い宝物に触れるかのように、ひどく優しかった。「律希、ごめんな……」ひどくしゃがれた声には、鼻にかかったような響きがある。「俺……来るのが遅くなった。お前を治して、元気に生きていけるようにするって、美夕に約束したのに……俺は、約束を守れなかった。美夕がいつも言ってた。お前はイチゴケーキが一番好きだって。あとで買ってくるから。一番大きいやつを、な?」彼はまるで、生きた人間と会話しているかのように、ぽつりぽつりと語り続けている。涙が頬を伝い、冷たい墓石に落ちて、すぐに吸い込まれて消えていく。私はそこに立っている。律希の魂も、私の隣にいる。律希はまだ少年の姿のままで、どこまでも純粋で、澄んだ瞳をしている。辰哉を見下ろしているが、その顔には何の表情もない。彼も私と同じように、もう何も望んでいないのだ。辰哉は長い間、律希の墓の前から動かなかった。やがてゆっくりと立ち上がり、少し離れた場所にある、もう一つの墓へ向かって歩き出す。私の墓だ。辰哉は手を伸ばし、触れようとしたが、宙で手を止めた。私の墓を、汚してしまうのが怖いのだ。辰哉は、まるで敬虔な信者のように、ゆっくりと膝をつき、額を冷たい墓石に押し当てた。「美夕ちゃん……」彼はむせび泣きながら、私の名前を呼ぶ。「俺が悪かった。お前を疑うべきじゃなかった。傷つけるべきじゃなかった。お前を……自分の所有物みたいに扱うべきじゃなかった。もし……もし、もう一度やり直せるなら、俺は必ず、お前を大切にする。俺のすべてをやる。命も、愛も……全部、お前にやるから。だから……戻ってきてくれないか?美夕、頼むから、戻ってきてくれよ!」泣き声は次第に大きくなり、やがて絶望に満ちた叫びへと変わっていく。静まり返

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