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第328話

Penulis: 雨の若君
司野と結婚して以来、素羽はそうした場所へは一切足を運ばなくなっていた。

彼は刺激の強いものをひどく嫌い、とりわけ食後に体に匂いが残るような料理を毛嫌いしていたからだ。彼の好みに合わせるため、素羽はそれらすべてを断ち切ってきた。

楓華もそれを知っていたため、素羽がこの店を選んだとき、少なからず驚いた。

「司野に文句を言われるのが怖くないの?」

素羽は店員にビールを一本注文し、短く息をついた。

「彼に文句を言われるなんて、今に始まったことじゃないわ」

司野のために、素羽はあまりにも多くの自分を失ってきた。もう彼の付属品のように、魂の抜けたロボットとして生きるのは御免だった。

一本のビールはほとんどが素羽の胃へと消え、彼女の頬には淡い赤みが差した。

アルコールは時に本性を解き放つ。彼女の唇には、久しく見ることのなかった笑顔が浮かんでいる。

束の間の自由を謳歌するその姿を目にして、楓華の胸には切なさが込み上げ、親友への不憫さでいっぱいになった。

素羽の苦労を、楓華は誰よりも理解していた。

素羽という人間は、責任感が強すぎる。もう少し薄情で、自分勝手に生きられたなら、これほ
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