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第8話

Penulis: ハルイケ
私は箸を動かし、顔も上げないまま「うん」とだけ答えた。

彼の喉仏が小さく上下する。探るように、彼は低く訊いた。

「彼女は……君に何の用だったんだ?」

私はゆっくりと口の中のものを飲み込み、箸を置いた。それから静かな目で、彼を見つめる。

「あなたたちの思い出を聞かせてもらったの」

自分でも驚くほど、声は静かだ。

「一緒に餌をやった猫のこと。一緒に見た夜景のこと。一緒に食べたいちごのケーキのこと」

少しだけ間を置く。みるみる血の気を失っていく彼の顔をひと目見て、私は続けた。

「それから、彼女のファーストキスのことも……初めての夜のことも」

諒は唇をきつく引き結んだまま、何も言わなかった。ただ、顎のあたりだけが、目に見えてこわばっていく。

重たい沈黙が落ちた。息が詰まりそうなほどの静けさだ。

やがて彼は、歯の奥から言葉を押し出すように、低い声で言った。

「……もう彼女とは終わりにする。これでいいだろ」

謝罪はない。説明もない。縋るような言葉ひとつ、口にしなかった。

まるで厄介事を片づけるような口ぶりだった。そこに滲んでいたのは、裏切りを知られた羞恥よりも、傷つけら
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