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第3話

Penulis: レイ・ガイ
遥人は私の頬を軽く叩き、嘲笑を浮かべて言った。

「おいおい、琴音。俺の兄貴がお前なんかを見初めるわけないだろう?

それに、お前が俺の金魚のフンだってことは周知の事実だ。そんな女と結婚?兄貴のプライドが許すわけないだろ」

遥人がこれほど私を見下しているとは思わなかった。だが、彼に説明する気力も失せた。私は不快感を露わにして言った。

「そう思うなら、勝手に見ていればいいわ」

そう言って立ち去ろうとした。

ところが、遥人が私の手首を掴み、冷たい声で制止した。

「誰が帰っていいと言った?」

ただならぬ雰囲気を感じ取り、私は睨み返した。

「一体何のつもり?」

遥人は何も答えず、私を強引に個室の奥へと押しやった。他の取り巻きたちは互いに目配せし、次々と部屋を出て行った。残ったのは、キャップを深く被った男一人だけ。

見知らぬ男だった。雰囲気からして、富裕層の子息ではない。直感が告げている。こいつは危険だ、と。

私は後ずさりし、怒りを込めて遥人を睨んだ。

「何をする気なの?」

彼は数歩下がると、スマートフォンを取り出した。そして、キャップの男が服を脱ぎ始めた。

傍らで莉緒が得意げに笑った。

「西園寺琴音、あなたって本当に図々しいわね。お兄ちゃんが嫌がってるのを知りながら、父親の権力を使って結婚を迫るなんて……

そんなに無理強いが好きなら、今夜は自分が無理やりされる気分を味わってみなさいよ」

遥人の企みに気づき、私は目を見開いて叫んだ。

「私を……他の男に襲わせるつもり!?」

彼に失望し、縁を切ると決めてはいた。だが、彼がここまで卑劣なことができる人間だとは思いもしなかった。私はもう、彼とは結婚しないと言ったはずだ。なぜここまで私を辱めようとするのか。

私は声を震わせた。

「結婚したくないからって……私がしつこかったからって……遥人、私はあなたと幼馴染なのよ!

それに、私はあなたを選んでなんていない!」

私を見つめる遥人の瞳に、一瞬だけ葛藤の色が浮かんだ。

「安心しろ。こいつは本当には手を出さない。ただ写真を撮るだけだ。

この写真は公にはしない。婚約を破棄するためだけに使う。

その後も、お前は俺の『いい友達』のままでいられる」

なんて滑稽な。こんなことをしておいて、まだ友達でいられると思っているのか?前世で、私はどれほど自尊心を捨てて彼に尽くしていたのだろう。これほど軽く見られるなんて。

莉緒が焦ったように促した。

「もう、何を話してるの!タツヤ、早くやりなさい!」

タツヤと呼ばれた男がスプレー缶を取り出し、私に向かって噴射した。

慌てて口と鼻を覆ったが、わずかに吸い込んでしまった。途端に、体中を焦がすような熱が駆け巡った。

男が襲いかかってくるのを見て、私はパニックになりながら後退った。

「何をかけたの!?」タツヤは下卑た笑みを浮かべた。

「安心しな嬢ちゃん。ちょっと『気持ちよく』なるだけの薬さ」

遥人が驚き、怒りの声を上げた。

「芝居だと言っただろう!なぜそんなものを使った!」

タツヤは慌てて莉緒の方を見た。莉緒はすぐに遥人の腕に絡みつき、涙目で訴えた。

「お兄ちゃん、彼女が心配なの?

考えてもみてよ。少しはリアリティがないと、使える写真にならないでしょ?

パパやママだって、写真を見れば琴音が脅されてたってわかるわ。

そうしなきゃ、私たちが終わっちゃうのよ」

遥人の表情が揺らいだ。

私は首を振り、必死で訴えた。

「遥人、取り返しのつかないことになる前に、今すぐ病院へ連れて行って!

さもないと、お父さんがあなたたちを許さないわよ!」

しかし、遥人は冷酷に言い放った。

「いや、お前の父親は世間体を気にする。娘の名誉が傷つくような騒ぎにはしないはずだ。

それに、莉緒の言う通りだ。安心しろ、俺がここで見張っている。一線は越えさせない」

私は怒りで全身が震えた。一線を越えさせない?つまり、それ以外のことは何でもさせると言うのか?私は歯を食いしばり、罵った。

「この……人でなし!」

タツヤは私の潤んだ瞳を見て、生唾を飲み込み、興奮した様子で言った。

「無駄な抵抗はやめて、大人しく楽しませてくれよ!」

彼が私に飛びかかってきた。私は唇を噛み切り、刺し違えてでも抵抗しようとした。その時だった、ドアが蹴破られたのは。

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