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第4話

Author: シシリン
夏央の、さも自分が正しいと言わんばかりの顔を見つめていると、私はとうとう耐えきれずに笑い出した。

ガラスの破片を飲み込んだような痛みに、笑いながら涙までこぼれた。

「5年間も私に隠し続けて、何も知らない馬鹿みたいに振り回して......この5年間、悪かったのは全部私だったとでも言うの?」

青ざめていた花奈の顔が、みるみる赤くなった。

彼女はその場で、どさりと私の前に膝をついた。

「小暖、本当にごめんなさい。どんなに謝っても足りないことはわかっている。でも、誓って言うわ。あなたの代わりになろうなんて、一度も思ったことはない。だから......お願いだから、優太が1年に2か月だけパパと過ごす権利を奪わないで。子供には何の罪もないの」

子供に罪はない。

また、その言葉。

だから、その報いをすべて私が受けて当然だというの?

そのとき、二階から慌ただしい足音が聞こえてきた。

「ママをいじめるな!」

男の子が階段を駆け下りてきた。

勢いよく私の脚に体当たりすると、小さな両手を握り締め、夢中で私を殴り始めた。

「悪い女!出ていけ!ママをいじめるな!」

さらに飛びかかってきて、私の手の甲に噛みついた。

私はとっさに腕を上げ、めちゃくちゃに振り回される拳や足を防ごうとした。

私の手は、男の子の服に触れてすらいなかった。

それなのに夏央は、目を血走らせて飛び込んできた。

そして私を力任せに突き飛ばした。

「子供に手を出すな!」

腰がリビングテーブルの鋭い角に激しくぶつかった。

昨年の事故で負った古傷が、再び引き裂かれたようだった。

腰から炸裂した痛みが背骨を駆け上がり、頭皮まで突き抜ける。

私は息をのみ、テーブルに手をついて、どうにか倒れずに踏みとどまった。

夏央は床に片膝をつき、かすり傷一つ負っていない男の子を抱き締めた。

「大丈夫?どこかぶつけてないか?もう大丈夫だよ、優太。パパがいるからな」

彼は振り返って私を見た。

その目には、隠そうともしない警戒と怒りが浮かんでいた。

「この子はまだ5歳なんだぞ!腹が立つなら俺にぶつければいい。子供相手に何を本気になってるんだ!」

突然、花奈が泣き崩れた。

「もうやめて......全部、私が悪いの......」

彼女は泣きながら床から立ち上がると、よろめくように玄関から飛び出していった。

「花奈!」

夏央の顔色が変わり、迷うことなく彼女を追いかけた。

私も二人のあとを追って外へ出た。

レモンの木が落とす、まだらな木陰の下。

夏央が花奈の腕を引き、胸の中へ抱き寄せた。

彼女は泣きながら、彼の腕から逃れようともがいた。

「あなたに連絡なんかするべきじゃなかった......優太にあなたを父親だと教えるべきでもなかった......毎年2か月だけでもあなたと一緒にいられるなんて、そんな望みを抱いたこと自体が間違いだったみたい......もう私を行かせて。あの人は私を心の底から憎んでる。優太を連れてここを出ていくから、もう二度と二人の邪魔はしない」

夏央の顔が険しくなった。

「一人で優太を連れて、どこへ行くつもりだ?また優太が病気になったらどうするんだ」

花奈は彼の胸に顔を埋め、声にならないほど泣きじゃくった。

「でも、私は小暖にひどいことを......」

夏央は彼女の顔を両手で包み込んだ。

「心配しなくていい。俺が何とかする」

そう言い終えると、彼は勢いよく顔を伏せた。

潮の香りを含んだ風の中。いくつもの風鈴が揺れる、庭のレモンの木の下で。

二人は周囲の目など気にも留めず、いつまでも唇を重ね続けた。

私は声を上げて邪魔をしなかった。

駆け寄って二人の頬を平手打ちしてやりたいという衝動さえ、もう湧いてこなかった。

長年胸を蝕んでいた痛みが、この瞬間、ようやく力ずくでえぐり取られた。

痛みさえ消えてしまえば、あとに残ったのは、これまでにないほど澄み切った意識だけだった。

私は背を向け、来た道をたどって歩き始めた。

夏央からメッセージが届いた。

【小暖、花奈は今、ひどく取り乱している。もう先に帰ってくれ。この2か月が終わってから、改めて話し合おう】

この5年間、私はずっと待ち続けてきた。

彼の会議が終わるのを。

出張から帰ってくるのを。

あの「特別プロジェクト」とやらが終わるのを。

けれど、もう待たない。

私は夏央のアカウントをすべてブロックし、連絡先からも削除した。

2か月も待つ必要はない。

私は来週、婚約するのだから。

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