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第3話

作者: カレン・W
あの夜、私は初めて――本気で、エリオットから離れるという考えが頭に浮かんだ。

愛していた……たぶん、愛していたんだと思う。でも、屈辱と支配が混ざったみたいなこの「愛」を、もう飲み込めなかった。

それでも結局、私は引き止められた。

エリオットは言った。

「俺はお前を愛してる」

「祝日に両親とぶつかって、騒ぎを大きくしたくない」

「オーウェンはまだ小さい。母親がいないとダメだ」

全部、立派だった。正論で、理性的で、逃げ道のない仕方のないものだった。

だから私は――信じた。

怖かった。この家を失うのが。何年も、必死で、生身のままで守ってきた場所を。

だから残った。歯を食いしばった。嫌な予感を奥へ押し込め、それどころか、自分で自分を洗脳した。

私が大げさなんだ。ライラが入り込んでも大したことじゃない。もっと頑張ればいい。私が悪かったんだ。

……最後には、弁解することすらやめた。どうせ、誰も聞いてくれないから。

過去は幽霊みたいにまとわりつく。本当なら背を向けるべきだったのに、背を向けなかった瞬間。本当なら自分を選ぶべきだったのに、選ばなかった時。

全部が羞恥と後悔になって、私を沈めていく。

そのとき、オーウェンの声が乱暴に現実へ引き戻した。

「悪いママ!」オーウェンは泣き叫び、顔を真っ赤にしていた。「ライラさんを嫌な気持ちにさせたら、もうママって呼ばない!」

私はオーウェンを見て、痛みで固まった笑みを無理やり口元に貼りつけた。

「……どうして、ライラさんを嫌な気持ちにさせるの?」小さく言う。そして、息を吐くみたいに続けた。

「私、もう行くね。三人で……これから幸せに暮らせばいい」

子どもは子どもだ。無邪気で、残酷なくらい正直。

オーウェンの顔がパッと輝いた。

「ほんと!?ライラさん、僕とパパと一緒に住むの?」

ライラが慌てて割って入る。演技気味に。

「オーウェン、だめよ、そんなこと言っちゃ。私はここには住めないわ。オリヴィアがあなたのママなんだから」

それから私に向き直り、まるで罪悪感に浸っているかのような顔をした。

「子どもの言葉なんて気にしないで。私はあなたたちの結婚を壊しに来たわけじゃないし、家庭を奪うつもりもないの」

私は何も言わなかった。

すると彼女はそれらしい仕草をしてくる。私の手を取ろうとして。

「もし私がここにいることが、あなたを苦しめるのなら……」声を震わせる。「今すぐ帰るわ」

言い終わる前に、エリオットが騎士のように飛び出した。

「何言ってんだ」彼は優しく彼女を抱き寄せる。「ライラを数日泊めるって決めたのは俺だ。彼女を責めるな。責めるなら俺を責めろ」

ライラは彼の胸に身を寄せ、涙の跡の残る顔を上げた。

「違う……全部、私のせい。私がいるから、いつもあなたたちが喧嘩になる」

そして――タイミングを計ったように、オーウェンも泣き出す。

「やだ!悪いママ!ライラさん、帰らないで!」

完璧だった。三人は、何十回もリハーサルしてきたみたいに。

甘やかす父親。心優しい客人。健気な子ども。

ただ一つ残念なのは――オリヴィアという役が、もう台本に残っていないことだ。

「もうやめて。私、今すぐ出ていく」私は冷たく笑って、踵を返した。

「どうしてそこまで意地が悪いんだ!」エリオットが鋭く叱りつける。「ライラの顔色が見えないのか?真っ青だ。具合悪いんだぞ」

「風邪をひいてるんだ」まるでそれだけで全ての罪が免れるかのように、彼は付け足す。「一人で看られないと思って呼んだだけだ。俺たちは心配してるだけ。訳の分からない怒り方は、もうやめろ」

私はゆっくり、苦く笑った。

「エリオット、耳が聞こえないなら病院行って」私は言った。「ライラが入ってきてから、私ほとんど一言もしゃべってない。別にいいわ。勝手に決めつけて、勝手に癇癪って呼べばいい」

私は振り返って、最後に三人を見た。

「離婚届にサインするの、忘れないで」

……

結婚したばかりの頃。私はこの家にいられて、本当に幸せだった。

でもある夜、エリオットがさらっと言った。「ライラが遊びに来たいって」

あのときの私の反応は覚えてる。崩れ落ちそうで、叫びそうで、絶対に嫌だとはねつけた。

ライラはもう、私の人生のあらゆる隙間に入り込んでいた。この家だけが、最後に残った私の場所だったのに。

エリオットは最終的に折れた。けどそのあと何週間も、彼は私に氷のように冷たかった。一か月の沈黙。冷たい態度。恨みがましいため息。

その冷戦が終わったのは、私が妊娠してからだった。

エリオットは、誰より分かっているはずだ。この家が私にとって、どんな意味を持つか。

だから今、私が出ていくなら――彼は分かってるはず。これは癇癪じゃない。脅しでもない。

エリオットは追いかけてきた。でもオーウェンの声を聞いた瞬間、足を止める。

「ライラさんの額、また熱いよ」オーウェンが言った。「パパ、熱あるんじゃない?」

迷いは一切なかった。

エリオットは踵を返し、ライラを抱き上げ、車へ向かって駆けだした。

私は土砂降りの雨の中へ踏み出して、大通りへ向かって歩き出した。

全身びしょ濡れで、タクシーなんてつかまらない。髪は頬に張りつき、服は水を吸って重く、身体にまとわりつく。

雨の中で震える私は、まるで透明人間みたいだった。

そのとき、一台の車が横を通り過ぎた。

エリオットの車だった。

後部座席にはオーウェン。小さな手でそっとライラの額に触れている。ライラは当たり前みたいに助手席に横たわり、目を閉じていた――落ちぶれた令嬢を完璧に演じながら。

その瞬間、私ははっきり見た。誓って言う。見えた。

彼女の口元に浮かんだ、あの微かな、得意げな笑みを。

また私の負け。少なくとも、彼女はそう思っている。

でも彼女は知らない。私はもう、どうでもよかった。

夫が私を信じないなら。息子が私を愛さないなら。

――なら、どうぞ。彼女を手に入れればいい。

それが、あなたたちがずっと欲しがっていたものなんでしょ?

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