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第548話

Author: 連衣の水調
静華は部屋に戻ると、まず洗面所へ駆け込み、顔を洗った。

冷たい水が肌を刺し、ようやく少しだけ意識がはっきりしたが、心にはまだ重い石がのしかかっているようで、息が詰まりそうだった。

棟也が突然現れたことに、彼女は安堵していた。そうでなければ、どうやって胤道の手から逃げられたか、分からなかったからだ。

携帯を手に取った。この瞬間、彼女は狂おしいほど湊の声が聞きたくなった。

棟也は魂が抜けたような静華を別荘まで送り届けると、外にはすでに一台の黒い車が停まっていた。

彼は歩み寄り、助手席のドアを開けて乗り込んだ。胤道はすでに三本以上は吸ったであろうタバコを手に、その表情は疲れきっていた。最後の一口を吐き出すと、彼は尋ねた。

「静華は、大丈夫だったか?」

棟也は苦笑を浮かべた。

「本当のことを聞きたいのか?君に会ったんだ、大丈夫なわけがない。帰り道ずっと、魂が抜けたみたいで、今にも気を失いそうだったぞ」

胤道はとっくに分かっていたが、その言葉を聞くと、やはり胸に抑えきれない痛みが走った。

棟也は言った。

「君がどうして、死んでも森さんの前で正体を明かそうとしないのか、ようやく分かったよ。彼女はあれほどお前を怖がっている。たとえお前が湊だとしても、許すはずがない」

胤道はそっと目を閉じた。

「ずっと隠し通そうとしてきたのに、まさか今日、正体がバレるとはな。バレる前に、俺が新田湊だと名乗らなくてよかった。さもなければ……」

その後のことを、彼は想像するのも恐ろしかった。

棟也はしばらく黙ってから言った。

「じゃあ、お前は本当に一生隠し通すつもりか?見ず知らずの他人の名前を使って、野崎胤道という身分を捨ててまで、静華と一緒にいたいと?」

「他に選択肢があるか?」

棟也は口の端を引きつらせ、沈黙で答えた。ない。

胤道が静華に与えた傷はあまりにも深すぎた。どうやっても許しを得られないほどに。だからこそ、まったく新しい身分を使って、ようやく手に入れたその優しさを守るしかなかった。

だがなぜか、棟也の胸には言いようのない不安が渦巻いていた。今回の胤道の正体が暴かれた一件は、何かの前触れのように思えてならなかった。胤道が湊であるという事実も、そう長くは隠し通せないのではないか、と……

突然、湊として使っている携帯が鳴った。胤道は窓を開けると同時に、ポ
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