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第5章 第一の規則

Author: Lilian fabro
last update Petsa ng paglalathala: 2026-10-10 23:04:21

ダミアンの車が歩道から走り出した瞬間、乗り込んだことを後悔した。

窓の外に視線を固定し、街の風景が流れていくのを見つめながら、ハンドバッグのストラップを握る手に力を込めた。

モーテルに戻るべきだった。

それなのに、私は今、夫の親族の夕食会で何年にもわたってその名が噂されてきた男の隣に座っている。

今日まで、一度も言葉を交わしたことさえない男の隣に。

「ひどく静かだな」

ダミアンにチラリと目をやった。

彼は片手でハンドルを軽く握り、前方の道路を見つめている。

「何を話せばいいのか分からないの」

「何も話さなくていい」

彼の返答は意外だった。私は再び外へと目をやる。

昨日から初めて、誰も私に何があったのか尋ねてこなかった。誰も『気の毒に』なんて言ってこなかった。誰も私が壊れてしまいそうな代物であるかのような目で見つめてこなかった。

ダミアンはただ、車を走らせている。そしてどういうわけか、その静寂の方がタチが悪かった。

静けさは、私の思考に余計な隙を与えてしまうからだ。

ライアンの顔が蘇る。彼の声。

『離婚したい』

4年間の結婚生活が、たった一言に縮小された。

冷たいガラスに額を押し当てる。

「どこへ連れて行く気?」

「私の家だ」

すぐに姿勢を正した。「嫌よ」

ダミアンが私を見た。「モーテルに戻りたいのか?」

「ええ」

「なぜだ?」

「あなたのことを知らないからよ」

一間の沈黙。

「もっともだな」

彼が納得するとは思っていなかった。

彼は次の交差点を曲がった。

見覚えのない街並みが通り過ぎていくのを見つめる。

「じゃあ、人が大勢いる公の場所に連れて行って」

「そうすることもできる」

「けれど……?」

「けれど、そこでは君の安全は保証できない」

眉が寄った。「どうして安全じゃないの?」

ダミアンは答えなかった。

その沈黙は、彼がどんな言葉を口にするよりも私の心を乱した。「ダミアン」

彼の指が、ハンドルをわずかに強く握りしめた。

「君の離婚手続きは、通常の形で行われたわけではない」

彼を凝視した。「どういう意味?」

「ライアンが迅速に動いたということだ。彼は終わりにしたがっていた」

「違うわ」

そのたった一言が、必要以上に重く響いた。

ダミアンがようやく私を見た。

「彼は君を『排除』したかったんだ」

胃がぎゅっと縮み上がる。意味が分からなかった。

問い詰めるより早く、コンソールボックスの中で彼の携帯電話が震えた。

彼は画面に目をやった。彼の顔つきが変わる。恐怖ではない。もっと冷酷な何か。

彼は電話を取り上げ、一言も発せずにメッセージを読んだ。

「何があったの?」

「何でもない」

「じゃあ、どうしてそんな顔をするの?」

彼は質問を無視した。私は自分の携帯電話に手を伸ばす。3件の着信履歴。

全て同じ番号からだ。ライアン。心臓がドクンと大きく跳ね上がった。

その時、最初の着信時間に気づいた。

私がカフェを出てから、わずか12分後のことだった。

ダミアンを見る。

「どうして私がモーテルにいないって分かったの……?」

ダミアンは何も言わない。顔から血の気が引いていくのを感じた。携帯電話が再び震える。

今度はライアンからの電話ではなかった。私の銀行からだった。

『口座へのアクセスが一時的に制限されました。カスタマーサービスまでご連絡ください』

画面を見つめた。

ライアンが共有口座を凍結したのは知っていた。

けれど、これは共有口座ではない。私個人の口座だ。

完全に、私だけの。

ゆっくりと顔を上げた。

「ダミアン」彼が私を見る。

「どうしてライアンが、自分とは何の関係もない口座に手を触れられるの?」

彼の表情が完全に固まった。

そして出会ってから初めて、ダミアンが本気で驚いた表情を見せた。

言葉が霞んで見えなくなるまで、私はそのメッセージを見つめ続けた。

「そんなのあり得ないわ」ダミアンは答えない。

「私の口座よ」今度は少し声を張り上げて言った。「ライアンにアクセス権なんてないわ」

「どうやら、誰かさんにはあるらしい」

指先が冷たくなっていく。

自分の見ているものが何かの間違いであってほしいと祈りながら、もう一度銀行アプリを開く。

同じ警告が表示される。『アクセスが一時的に制限されています』

少額の振込を試みる。「承認不可」

別の口座を試す。「承認不可」

喉が詰まる。

「電話して」

「ああ、そうしよう」ダミアンが自分の携帯電話に手を伸ばす。

「いいえ!」私は彼を止めた。「私がやるわ」

なぜ自分がまだ一人で処理できることを証明しなければならないのか、自分でも分からない。

たぶん、他の全てのものを奪い去られてしまったからだ。銀行へ電話をかけた。

数分間に及ぶ自動音声ガイダンスの後、ようやくオペレーターに繋がった。

「口座が制限されているという通知を受けたのですが」

女性オペレーターが私の情報を求める。全て答えた。彼女は黙り込んだ。

そして、こう尋ねてきた。

「ナイト様、最近、夫婦財産の変更等を行われましたか?」

胃が腑の底へ落ちていく。「いいえ。確実ですか?」

「はい」

再びの沈黙。

「口座に法的制限がかけられているようでございます」

「法的制限って何ですか?」

「お電話では詳細を開示できません」

携帯電話を握る手に力が入る。

「じゃあ、誰なら開示できるの?」

「通知に記載されている法務部門とお話しいただく必要がございます」

「通知って何の通知?」

彼女は躊躇した。それから、あるメールアドレスを教えてくれた。震える指でそれを書き留める。

他に何も尋ねることができないまま、通話が切れた。

電話を降ろす。ダミアンが私を見つめていた。

「何と言っていた?」

私はそれを伝えた。彼の表情が変わる。大袈裟にではない。私が気づくには十分な変化だ。

「こうなる可能性があると知っていたのね」

「いや」

「私に嘘をつかないで!」

「ついていない」彼の声は静かだったが、その瞳は違った。彼は再び携帯電話に手を伸ばす。

今度は止めなかった。「誰に電話しているの?」

「私の弁護士だ」

「なぜ?」

「ライアンがどうやって君個人の口座に制限をかけることができたのか、知りたいからだ」

彼が言った『君個人の』という言葉で、私の中で何かがカチリと噛み合った。

私は背筋を伸ばした。

「……個人口座じゃなかったとしたら?」

ダミアンの視線が私のそれとぶつかる。「何だと?」

「私の口座よ」

彼は喋らない。

ライアンの弁護士が送ってきた書類を思い出す。

離婚協議書。

署名する意味すら理解できないほど心が麻痺していて、ろくに見もしなかったページ。

突然、吐き気が襲ってきた。「……ダミアン」彼は待つ。

「私、一体何に署名してしまったの……?」

彼の顎のラインが硬くなった。

「まだ分からない。だが、今から突き止める」

「ええ」

車は巨大な黒い門に近づくにつれてスピードを落とした。

私たちが辿り着くより先に、門が開く。

フロントガラス越しに見つめた。

門の向こうには、街を見下ろす広大なモダンな邸宅が鎮座していた。ガラスと石材、そして鋭利な建築ラインで構成された邸宅。

ダミアンの家だ。感嘆すべきなのだろう。けれど代わりに、閉じ込められたような感覚を覚えた。彼が車を停め、エンジンを切る。

二人とも動かない。その時、彼の電話が鳴った。

画面を見る。今度は彼が出た。

「話せ」

相手の声は聞こえない。けれど、ダミアンの顔を見つめていた。

一秒ごとに、彼の表情が冷酷さを増していく。

最後に、彼はこう言った。「その書類を送れ」

電話を切る。「何があったの?」彼が私を見る。

「君の離婚届は、単なる離婚届ではなかったんだ、エヴァ」

心臓が止まる。「……どういう意味?」

ダミアンはコンソールボックスに手を伸ばし、携帯電話を取り出した。

その画面を私に向けた。書類が画面を満たしている。

その一番下には、私の署名があった。

そしてその下には、私が見た覚えのない条項が記されていた。

『指定された夫婦財産の管理権は、離婚手続きの執行をもって譲渡されるものとする』

二度読み返した。そして三度目。

自分の声が、かろうじて囁き声以上の大きさで漏れた。

「ライアンは、ただ私と離婚しただけじゃなかったのね……」

ダミアンの視線は私から離れない。

「そうだ」彼は言葉を切り、

「彼は君に、反撃するためのものを何一つ残さないよう手回ししていたんだ」

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