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第17話

Author: ショウガ飴
美夜は集中治療室の窓の外に立ち、分厚いガラス越しに病床に横たわる長兄、泉宗高(いずみ むねたか)を見つめていた。

宗高はいつも穏やかで端正な顔立ちをしており、すらりとした体格で、泉家の支柱であり、両親が最も期待を寄せる存在だった。彼の周りには常に多くの女性が言い寄ってきたが、それらをすべて断り、心血を注ぎ、玉城グループの経営に尽力していた。

母が突然亡くなった昨年、既に一度危機に陥っていたその企業を、彼はなんとか立て直したのだった。

しかし、あの交通事故以来、重傷を負って入院してから、彼はもう半月も意識が戻らないまま病院のベッドで横たわっている。

わずか二週間で彼はやつれてしまい、頬はこけ、目を閉じたまま、全身に無数のチューブを繋がれ、生命維持装置に依存している。その変わり果てた姿に、美夜はほとんど彼だと分からなくなるほどだった。

廊下のガラス越しに、彼女はそっと手を伸ばし、長兄の頬に触れようとした。胸の奥に、じんわりとした苦しさが広がった。

医師によれば、事故当時の衝撃で脳内に2ヶ所の出血が見られたという。今回の開頭手術は成功したが、意識が戻るかどうかはまだ不明で、当面は集中治療室から出られない状態だ。

だが集中治療室は一日あたり最低十万円かかり、病院の口座もまもなく資金が尽きる。

あの二千万円の小切手は、次兄が持っていってしまった。

今、彼女にはどうしても金が必要だ。そして泉家には、長男の存在が何より必要だ。

金のことなら――彼女には、まだ一つ手段が残っていた。

病院を出る前に、彼女は残高をすべて病院の口座へと振り込んだ。

その後、病院の近くで最も安い地下にあるカプセルホテルを借り、ようやく一息ついた頃にはもう午後になっていた。

美夜は携帯を手に取り、親しくしていた宝石鑑定士に連絡をとった。手元にある婚約指輪を売却したいと考えていたのだ。

当時、蓮と結婚する前は、彼の会社はまだ資金調達と起業の初期段階にあり、経済的に余裕がなかった。だから、彼女は高価な宝石など要らないと伝え、ただの金の指輪で十分だと遠慮していた。

そのことを知った母が、自ら一千万円を出して、特別な婚約指輪をオーダーメイドしてくれた。2カラットの希少な天然ブルーサファイアで、透明度はVS1クラス。静かな深海を思わせる濃い青色の宝石は、光に照らされてきらめき、とても美しかった。

その価格――四千万円。

母は言った。「あなたはこの家のお姫様みたいな存在だ。一番いいものを持つべきよ。結婚式は女にとって一生に一度の大切な日。悔いのないように、できるだけ完璧にしなさい」

彼女はスーツケースの内側ポケットから、黒いベルベットのジュエリーボックスを取り出し、蓋を開けた。高価な婚約指輪はそこに静かに横たわり、太陽の光を浴びてまばゆい輝きを放っていた。

ブルーサファイアは「純潔」と「誠実」の象徴。

母はこの指輪に、きっとたくさんの祝福を込めたはずだった。

それなのに、美夜の結婚は、裏切りと偽りにまみれ、見るも無惨に壊れていった。

……

陽が落ち始め、宝石鑑定士との約束の時間が近づいていた。

美夜はアルバイトを終えると夕食も取らず、地下鉄に乗ってこの都市を横断し、北区に新しくオープンした高級レストランへ向かった。

暮色が迫る中、まだ六時前だというのに、店内には次々と客が入ってきていた。

店の奥の窓際にある最大のテーブル席に目を向けると、黒のスーツを着た宝石鑑定士がすでに座っており、白いグローブをはめた手を振って彼女を呼んでいた。

「泉さん、こちらです」

鑑定士は美夜を見つけると、笑顔で手を振り、席へ案内し、テーブルの上に用意していたフレッシュオレンジジュースを彼女の前へと差し出した。

美夜が席に着くと、鑑定士は言った。

「この指輪を売却されると聞いて、すぐに有力な個人コレクターに声をかけました。彼女たちは皆、裕福で気前のいい方ばかりなので、きっといい値で買ってくれるはずですよ」

「いくらくらいになりそうですか?」

「個人コレクターはコレクション目的で買いますから、街の買取店より遥かに高値がつきます。最低でも一千六百万円にはなるかと。もし急ぎでなければ、二千万での取引も十分に可能です」

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