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自分の王様になる

自分の王様になる

By:  パリパリスイカCompleted
Language: Japanese
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妻がジムを開業したので、私、桐生蓮(きりゅう れん)は親友を連れ、クーポンサイトで購入した二百円の体験レッスンを使って偵察に行った。 その間、自分がオーナーの夫であることは一言も漏らさなかった。 トレーニングが終わった直後、一人の男性トレーナー・加賀見優斗(かがみ ゆうと)が料金表を投げつけてきた。その目は品定めするような色を帯びていた。 「お二人はどう見ても、タダ乗り狙いの乞食だろう?うちのパーソナルレッスンは一回数万円するんだ。お前たちのような人間にタダで体験させるためのものじゃないんだよ」 私は怒りを通り越して笑ってしまった。 「正規に体験レッスンを買ったのに、どうして乞食扱いなんだ?責任者を呼んでくれ」 彼は白目をむき、「俺がルールだ」と言わんばかりの顔をした。 「誰を呼んでも無駄だよ!ここのオーナーは俺の彼女だ。彼女はね、お前らみたいなレッスンのタダ食いをする貧乏人が一番嫌いなんだよ!」 彼は私たちの目の前で電話をかけ、傲慢かつ被害者ぶった口調で言った。 「ベイビー、店にタダ乗りしようとしてるクズが二匹来てさ、責任者を出せって騒いでるんだ。早く来てこいつらに思い知らせてやってよ!」

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Chapter 1

第1話

妻がジムを開業したので、私、桐生蓮(きりゅう れん)は親友を連れ、クーポンサイトで購入した二百円の体験レッスンを使って偵察に行った。

その間、自分がオーナーの夫であることは一言も漏らさなかった。

トレーニングが終わった直後、一人の男性トレーナー・加賀見優斗(かがみ ゆうと)が料金表を投げつけてきた。その目は品定めするような色を帯びていた。

「お二人はどう見ても、タダ乗り狙いの乞食だろう?うちのパーソナルレッスンは一回数万円するんだ。お前たちのような人間にタダで体験させるためのものじゃないんだよ」

私は怒りを通り越して笑ってしまった。

「正規に体験レッスンを買ったのに、どうして乞食扱いなんだ?責任者を呼んでくれ」

優斗は白目をむき、「俺がルールだ」と言わんばかりの顔をした。

「誰を呼んでも無駄だよ!ここのオーナーは俺の彼女だ。彼女はね、お前らみたいなレッスンのタダ食いをする貧乏人が一番嫌いなんだよ!」

彼は私たちの目の前で電話をかけ、傲慢かつ被害者ぶった口調で言った。

「ベイビー、店にタダ乗りしようとしてるクズが二匹来てさ、責任者を出せって騒いでるんだ。早く来てこいつらに思い知らせてやってよ!

聞こえたか?俺の彼女がすぐに来るそうだ。お前らみたいな寄生虫野郎に忠告してやる。今のうちに土下座して謝るか、ゴミのように放り出されるか、どっちか選ぶんだな」

優斗の目には侮蔑の色が満ちていた。

親友の佐伯拓海(さえき たくみ)は怒りで顔を真っ赤にし、大声で怒鳴った。

「テメェ、汚ねぇ口きいてんじゃねえぞ!誰が寄生虫だ?俺たちは金を払ってレッスンを買ったんだ、どうしてタダ乗り扱いになんだよ!

お前、トレーナーのくせに客に向かってその口の利き方はなんだ?店を潰してぇのか!」

優斗は腕を組み、冷ややかな声で嘲笑った。

「おーおー、みんな見てくれよ!

図星を突かれて逆ギレかよ!まるで狂犬みたいに吠え立てやがって!

何か?痛いところを突かれたか?その貧乏くさい格好、全身合わせても千円いくかどうかってとこだろ?

金持ちのフリなんかするなよ。本物の金持ちってのはな、視座がもっと高いんだよ。お前らみたいなたった二百円の体験レッスンのために、必死になるわけねぇだろ?」

彼は汚いものを見るように鼻を鳴らした。

「どうせ何の能もない底辺なんだろ。こういう高級ジムに来て、筋肉自慢の写真でも撮ってSNSに投稿すれば、金持ちのババアでも釣れるとでも思ったか?

残念だったな、計算違いだ!ここに来る女性客は目が肥えてるんだよ!お前らみたいな安っぽいインチキ野郎なんざ、一目で見抜かれちまうんだ!」

「貴様!」

拓海は胸を激しく上下させ、掴みかかろうとした。

私は彼の手を掴んで止め、冷ややかな視線を送った。

「トレーナーさん、随分と手慣れた口ぶりだな。さては毎日そうやって、金持ちの女を釣る手口ばかり磨いてるんじゃないか?」

優斗は得意げに答えた。

「逆玉に乗るのがそんなに簡単だとでも?一番大事なのはガタイだよ。お前らみたいなガリガリの猿みたいな連中は、いくら努力しても無駄だ。

俺はお前らとは違う。この鍛え上げた肉体で、とっくに極上の『太い客』を捕まえてるんだよ。このジムだって、彼女が俺のために出してくれた店だ。

もう電話したからな。もう少ししたら、お前らみたいな貧乏人に、俺が捕まえた極上の女ってのを拝ませてやるよ」

「いいだろう、さっさと呼べよ。どんな物好きな女が、お前みたいなクズに惚れ込んだのか、ぜひ拝見したいものだ」

その言葉に、優斗の顔色が一瞬曇り、鼻を鳴らした。

「なんだ、嫉妬かよ!彼女はすぐ来る。その時はその目ん玉ひん剥いてよーく見とけ。本物のセレブってやつを思い知るんだな!二度と身の程知らずな夢を見られないようにな!」

拓海は私の手を乱暴に振りほどくと、自分のスマホを取り出し、ラインの画面を開いて優斗の顔前に突きつけた。

「よく見ろ!俺が逆玉狙いだと?俺を追っかけてる女はな、数え切れないんだよ!

俺の嫁さんはな、お前の言う『太い客』なんざ足元にも及ばねぇ超大物だ!テメェみたいな三下が、ここでキャンキャン吠えてんじゃねえぞ!」

スマホの画面には、拓海のトークリストが並んでいた。

「王手不動産取締役」「有名映画監督の令嬢」「新人主演女優」……どの一つをとっても煌びやかな肩書きばかりだ。

そして一番上にピン留めされている「最愛の奥様」という名前のアイコンは、この青浜市に君臨する御堂グループの社長、御堂麗華(みどう れいか)だ。

優斗は不快そうに顔を歪めると、なんと拓海のスマホを平手で叩き落とした。

スマホは床に激突し、画面が粉々に砕け散った。

「テメェ、何しやがる!」

拓海は怒号を上げ、目を血走らせた。

「俺が何をしただと?頭がイカれてんのはお前らの方だ!見栄を張るために登録名を変えやがって!アカウント名なんて誰でも偽装できるんだよ!

金持ちぶるだけじゃ飽き足らず、女を何人も侍らせるクズ男かよ!恥知らずが!

お前みたいなあちこちに愛想を振りまくチャラ男なんざ、とっくに金持ちのババア共に使い古されてんだよ!」

その時、フロントの男がスマホを掲げ、ライブ配信を始めて私たちにレンズを向けた。

「視聴者の皆さん、見てくださいよ!うちの店にとんでもない変人が来ました。

たった二百円の体験レッスンで潜り込んで、優斗トレーナーに逆玉狙いの貧乏人だって見抜かれたんです。

そしたら逆ギレして暴れ出して……スマホの中身はカモの女だらけ、とんだ女ったらしですよ!」

彼は実況しながら、レンズを私と拓海の顔に押し付けてきた。

「皆さんにこいつらの正体を晒してやりましょう!」

私はとっさに拓海を背にかばい、怒鳴りつけた。

「肖像権とプライバシーの侵害だぞ!

動画を切れ!今すぐ警察を呼んで、弁護士を立ててこの店を営業停止に追い込んでやってもいいんだぞ!」

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