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第8話

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天井から、巨大なクリスタルシャンデリアが落下してきた――その真下で談笑していたのは蓮と桃果だった!

一瞬の出来事だった。蓮は考えるよりも速く、本能的に体を翻し、その身を挺して桃果をかばったのだ!

ガシャンッ!

轟音と共に、重厚なシャンデリアが蓮の背中と頭部を直撃し、無数のガラス片が弾け飛ぶ。

蓮の口から低く掠れた苦悶の声が漏れる。額から、そして背中から、瞬時に赤い血が飛び散った。彼の体はぐらりと揺らぎ、そのままどさりと床に倒れ込み、意識を失った。

会場は一瞬にしてパニックに陥った。悲鳴、泣き声、怒号が入り乱れる。

すぐに救急車が到着し、血まみれで意識のない蓮を乗せて走り去った。

瞳の両親もまた、顔面蒼白になった娘を連れ、急いで病院へと向かった。

手術中のランプが、永遠のように長く灯り続けていた。

やがて医師が現れ、手術の成功と命に別状はないことを告げると、その場にいた全員が深い安堵のため息を漏らした。

瞳の両親は、魂が抜けたような娘の横顔を見て、小さく息を吐いた。結局、その場では何も言わず、彼女を家に連れて帰ることにした。

帰りの車内は、重苦しい静寂に包まれていた。

しばらくして、母が意を決したように、小さな声で口を開いた。

「瞳……本当にいいの?蓮くんと……別れて」

瞳は窓の外を流れる夜景を見つめたまま、ゆっくりと、そして静かに微笑んだ。その笑みには、深い疲労と、悟ったような諦念が滲んでいた。

「うん、決めた」彼女は言葉を継ぐ。「お父さんもお母さんも、今日見たでしょ。彼が守りたかったのは、彼が好きなのは……もう私じゃない」

バックミラー越しに、娘の穏やかだがひどく蒼白な横顔を見つめる両親の胸が、痛いほどに締め付けられた。

二人は長い沈黙の後、何かを決意したように顔を見合わせた。

父がついに口を開く。その声には揺るぎない力が宿っていた。

「瞳、お前が決めたことなら、お父さんとお母さんは全力でお前を支える」

父はハンドルを握り直した。

「ちょうど、会社の事業を南都市へ拡大しようと考えていたところだ。だったら、家族全員で引っ越そう。会社も家も一緒に移して、大学生活の間もずっとそばにいてやる」

瞳は驚いて両親を見つめた。その瞳に映る、無条件の支持と深い愛情に、目頭が熱くなる。

彼女は大きく頷き、喉を詰まらせながら答えた。「……ありがとう」

これから先、蓮とはもう二度と会うことはないのだろう。

それから半月の間、瞳の一家は静かに、しかし着々と、かつ迅速に荷造りと引越し作業を終えた。

出発の日、手土産を持って蓮の家を訪れ、最後の挨拶をした。

一家揃って引っ越すこと、そして瞳が改めて蓮と完全に別れたことを告げると、蓮の両親は驚愕し、深く落胆した。

「瞳ちゃん、私たちはもう蓮のお嫁さんになってくれると思っていたのに……蓮の馬鹿が、魔が差してあんなことを……」

蓮の母が瞳の手を握りしめ、目を赤く腫らす。

だが瞳は静かに首を横に振り、優しいが、どこか一線を画した口調で答えた。

「おばさま、幼い頃の『約束』なんて、淡い夢のようなものですから。私たちはきっと、きっと、もっと素敵な人に出会えます」

蓮の両親は何度も引き止めたが、瞳の決意が固いと悟ると、深い溜息をつくしかなかった。

出発の時間が迫り、蓮の母が焦ったようにスマホを取り出した。

「蓮に電話するわ!すぐに帰ってきてもらって、瞳ちゃんを見送らせなきゃ!あの子ったら、傷が癒えるなり一日中姿が見えなくて……」

コール音は長く続き、ようやく繋がった。母が早口でまくし立てる。

「蓮、今どこにいるの?すぐ帰ってきなさい!瞳ちゃんが今日大学に出発するのよ。空港に見送りに来て!彼女が……」

電話の向こうで、蓮が母の言葉を遮った。その声は、驚くほど冷淡だった。

「今日出発するの?ふーん。俺、明日桃果と一緒に学校行くから。あいつが行くなら好きにすればいいだろ。俺には関係ないし。見送りに行く暇なんかない。じゃあな」

母が何か言う間もなく、電話は、一方的に切れた。冷たい電子音が、部屋に響き渡った。

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