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第7話

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そう言い捨てて、彼は気が動転した桃果を支え、背を向けて去っていった。

瞳は徐々に冷たくなる水の中で、ゆっくりと全ての力を失っていく。

次に目を覚ました時、視界に入ったのは病院の白い天井だった。

何人かのクラスメイトがベッドの周りを囲んでいて、瞳が目を覚ますと安堵のため息をついた。

「瞳ちゃん、起きた!良かった!めっちゃ心配したんだから!」

たまたま池のほとりを通りかかったクラスメイトが、岸辺に打ち上げられて気を失っている瞳を見つけ、急いで人を呼んで助け出し、病院に運んでくれたのだという。

「瞳ちゃんの親御さんに連絡しようとしたんだけど、電話繋がらなくて……それで、勝手に蓮に電話しちゃったんだ……」

一人のクラスメイトが気まずそうに小声で説明する。

別のクラスメイトが補足した。その口調には不満と信じられないという思いが滲んでいた。

「病院にいるって伝えて、来てくれって言ったら……蓮くん、なんて言ったと思う?もう別れたから、瞳のことは一切関係ないって!」

瞳は静かに聞いていた。顔には何の表情もない。ただ「一切関係ない」という言葉を聞いた時だけ、唇の端を、自嘲的に歪めた。

……そうか。これが、何年も愛し続けてきた男の成れの果て。

心が冷え切って、氷底のように冷たく固まる。

クラスメイトたちは彼女の様子を見て、気まずさと同情を感じながら、次々と慰めの言葉をかけた。

瞳は体を起こして、クラスメイトたちに安心させるような笑みを向けた。

「蓮の言う通りよ。私たち、本当に完全に別れたの。これから……多分もう連絡を取ることもないと思う」

皆が顔を見合わせる。まだ信じられないようだ。「そんな!二人、一緒に西京大行くって約束してたじゃん!」

瞳は伏し目がちに、静かに答えた。「違うの。蓮は桃果と西京大に行く。私が志望したのは……」

言い終わる前に、病室のドアがバンと開いた!

瞳の両親が焦った様子で駆け込んでくる。

「瞳!大丈夫!?どうして池に落ちたの!?お母さん、とても心配だったわ!」

両親が瞳を囲んで心配そうに様子を尋ね、検査結果を確認する。瞳は二人をなだめた。

ぼんやりとした意識の中で、ドアの隙間に見慣れた長身の影がちらりと見えた気がした。あの見慣れた黒いマウンテンパーカーを着た――

だがはっきりと見ようとした時には、ドアのところには誰もいなくて、行き交う医療スタッフと患者がいるだけだった。

瞳に大きな問題がないことを確認して、両親は退院手続きを済ませた。

瞳はクラスメイトたちにお礼を言って、別れを告げた。

それから一週間以上、瞳は家で体を休めながら、南都大の先輩と連絡を取り、詳しく学校の様子を聞いて、フライトの予約も済ませた。

両親は忙しく準備する娘を見ながら、何度か言いかけては躊躇い、ついに口を開いた。

「瞳、蓮くんの家で入学祝いのパーティーがあるんだって。うちの家族も招待されてるの。どうする……」

瞳は荷物を整理する手を一瞬止めて、それから静かに頷いた。「うん、行く」

入学祝いの日、瞳は両親と共にプレゼントを持って定刻通りに出席した。

蓮と顔を合わせた時、二人は軽く会釈を交わしただけで、一言も話さなかった。

両家の親たちはその様子を見て、察した。この二人、また喧嘩してるんだな、と。

蓮の母が瞳の手を取って、笑いながら取り持とうとする。

「瞳ちゃん、来てくれたのね。中に入って。蓮ったら頑固なんだから。もうすぐ一緒に大学行くんでしょ?お互い歩み寄って、仲直りしなさいね」

蓮の父も蓮の肩を叩いた。「お前は男なんだから、瞳ちゃんをしっかりエスコートしてやれよ」

蓮は冷たい顔で脇に立ち、一言も発さず、視線すら瞳に向けなかった。

瞳は小さく息を吸って、別れたことを告げようとしたその時、玄関から騒がしい声が聞こえてきた。

桃果が大きな向日葵の花束を抱え、華やかな装いで入ってくる。礼儀正しく蓮の両親に挨拶した。

「おじさま、おばさま、こんにちは!蓮くん、お祝いに来ました!」

蓮は桃果を見た瞬間、冷徹だった表情が、氷解するように緩み、目元が柔らかくなった。両親の返事も待たずに、ごく自然に桃果に声をかける。

「来てくれたんだ。さあ、中に入って」

そして、桃果を先導して大広間へと入っていった。瞳と彼女の両親を完全にその場に置き去りにして。

蓮の両親の笑顔が凍りつき、慌てて瞳たちを招き入れた。

「どうぞ中へ。さあ、座って……」

その夜、瞳の両親の視線は、ほとんど蓮と桃果から離れることがなかった。

蓮が桃果に丁寧に料理を取り分ける様子、お酒を勧められた時にさりげなく庇う様子、二人が耳打ちする時の親密で自然な仕草……

両親の表情は次第に疑問から理解へ、そして深い同情へと変わっていった。

トイレに行く合間に、母が瞳の腕を引いて、小声で尋ねた。

「瞳、お母さんに正直に言って。蓮くんと何があったの?わざとあの子とあんな風にして、あなたに意地悪してるんじゃないの……幼馴染でこんなに長い付き合いなんだから、ちょっとしたことで喧嘩しちゃだめよ」

瞳は何年も繰り返してきた別れと復縁を思い出した。短い仲直りの後には、必ずさらにエスカレートした桃果への肩入れと傷が待っていた。

首を横に振る。疲れているが、確固とした口調で答えた。

「お母さん、拗ねているわけじゃないのよ。本気で……彼と完全に終わらせるつもり」

深く息を吸って、ずっと胸に秘めていた決断を打ち明けた。

「実は、志望校変えたの。西京大には行かない。南都大に行く」

両親が驚いて娘を見つめる。一瞬、言葉が出ない。

南都大?西京大とは真逆の方角、ここからは簡単に行き来できない距離だ!

父と母が何か言いかけた――その時、宴会場の中央から悲鳴と、ガラスが砕け散るような破壊音が響いた!

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  • 花期を逃した私と、遅れてきた春   第2話

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  • 花期を逃した私と、遅れてきた春   第5話

    瞳の心臓が激しく跳ね上がった。反射的に、蓮の手から合格通知書を奪い取った。「……何してるの?」声の震えを、必死に冷たさで覆い隠した。蓮の手が宙に取り残される。彼は彼女の過剰な反応に面食らったようだったが、やがてその目に冷ややかな光が宿った。「『お留守です』って言われて、連絡先の番号が俺のままだったから、代わりに受け取っただけだよ」連絡先の番号……瞳の胸を、鋭い針で刺されたような痛みが走った。ずっと昔に設定したものだ。彼がまだ自分の世界の全てだった頃、当然のように、大切なすべてを彼に結びつけていた。瞳は瞼を伏せ、溢れそうになる感情を隠した。「そうね……変え忘れてた。後

  • 花期を逃した私と、遅れてきた春   第3話

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