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第5話

Autor: 福餅あん
「え……?」

由佳は目を見開き、一歩後ずさった。

「そんなの、ありえない」

俺は鼻で笑った。

「何が?」

高校に入ってから、俺はずっと学年一位だった。

先生たちにも、普段どおりの力を出せれば、明峰大は十分狙えると言われていた。

「それとも、圭吾より俺のほうがいい結果だったのが、そんなに気に入らないのか?」

由佳の顔から、さっと血の気が引いた。

「違う、そうじゃなくて……」

「もういい。ゴミ出してくるから、どいて」

俺は由佳の横をすり抜け、そのままゴミ置き場へ向かった。

早く自分の合否を確かめたかったのか、由佳はそれ以上追ってこなかった。

夜になると、クラスのLINEグループが急ににぎやかになった。

【修司、地元のニュースサイトに載ってるぞ!】

【明峰大合格、おめでとう!】

【学校初の現役合格者と同級生だったなんて、ちょっと自慢できるな!】

クラスメイトたちが次々に、俺の合格を祝ってくれた。

その中で、由佳と圭吾だけは何も書き込まなかった。

学級委員も、それに気づいたらしい。

旅行中、由佳が圭吾との写真をSNSに載せたとき、学級委員が何かあったのか
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    幸い、由佳は一命を取り留めた。ただ、その年は前年より合格最低点が上がり、由佳はあと一歩のところで合格に届かなかった。結局、明峰大には受からず、地方の国立大学へ進んだ。大学3年の夏休み、恋人の柳沢つばさ(やなぎさわ つばさ)を連れて実家に帰った。ちょうどその日、由佳の家では引っ越しの真っ最中だった。マンションの廊下には段ボールが積まれ、由佳も荷物を運んでいた。俺とつばさが手をつないでいるのを見ると、由佳は一瞬だけ手を止めた。それでも、すぐに何でもないように聞いてきた。「……彼女?」俺は頷くだけで、それ以上話さなかった。つばさを部屋に通し、壁に飾ってある昔の写真を見せていると、つばさが窓の外にぶら下がる小さな籠に気づいた。「これで、上の階と物をやり取りしてたの?なんか楽しそう」窓を開けて籠を引き寄せると、中には17枚の写真が入っていた。どれも、俺と由佳が毎年撮っていた写真だった。同じ写真を2枚ずつプリントして、俺と由佳が1枚ずつ持っていた。俺の分は、由佳と別れたときに全部捨てた。つまり、籠に入っていたのは、由佳が持っていた17枚だった。由佳と別れてから、この籠が使われたことは一度もなかった。それなのに、つばさを連れて帰ったその日に限って、写真の入った籠が窓の外にぶら下がっていた。わざとやったとしか思えなかった。「この写真の子、さっき廊下で会った人だよね。幼なじみで、ずっと上の階に住んでた子?それで、元カノなんだよね」つばさは、もうほとんど察しているようだった。昔付き合っていた相手がいることは、つばさにも話してあった。ただ、その相手が同じマンションの上の階に住む幼なじみだとは言っていなかった。誤解されたくなくて、俺はすぐに説明した。「別れてからは、この籠を一度も使ってない。今日、つばさを連れて帰ってきたのを見て、わざと写真を返してきたんだと思う」つばさは、くすっと笑った。「うん、分かってるよ。写真を返してきたなら、向こうもこれで区切りをつけたかったんじゃない?でも、ちょっと妬いたかも。毎年1枚ずつ撮ってたんでしょ?じゃあ、私も17枚ほしいな。これから少しずつ撮ろうよ」俺も思わず笑った。「分かった。17枚と言わず、これから何枚でも撮ればいいだろ」

  • 裏切りを知った受験前夜   第9話

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