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第544話

Author: タロイモ団子
帽子をかぶった男は、紬がいつまでも動かないのを見て、不思議そうに声を張り上げた。

「早くしろ!もうすぐ始まるんだぞ!撮影が押したらギャラから引くからな!」

だが、その言葉が終わるか終わらないかのうちに、作業着姿の女性が帽子を押さえながら慌てて駆け込んできた。

「監督、お待たせしました!衣装のサイズが合わなくて、急いで着替えてたんです!ギャラだけは引かないでくださいね!」

監督が視線を向けた瞬間、真っ白に塗りたくられたその女性の顔に、危うく飛び上がりそうになった。

だが、よくよく見れば、元の顔立ちは判別できる。

監督はぽん、と自分の頭を叩いた。

「あっ、すまん!人違いだった!」

そう言いながらも、彼は紬を二度見する。

――この通行人、ゲストの誰より美人じゃないか。オーディション担当は何を見て選んでるんだ……

そんな本音が、顔にそのまま出ていた。

突然の騒動に、同行していた一同は呆気に取られる。

朝美は、門前に並ぶカメラ機材を何度も見やりながら、好奇心を隠しきれずに尋ねた。

「いったい、何の撮影をしているのかしら?」

内山がそちらへ目を向ける。

「ああ、現地の
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