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第1105話

Author: 風羽
伊藤秘書は息を潜めていた。

彼女?

自分が知る限り、社長のお見合いはうまくいっていない。今のはきっと、九条美緒の気を引くためだろう。

しばらくして、九条美緒はようやく声を取り戻した。

工藤智子の方を向き、紹介した。「彼は私の兄、九条津帆。そしてこちらは......兄の......彼女......」

陣内杏奈には会ったことがなく、どう呼べばいいのか分からなかった。

陣内杏奈は九条美緒のことは知っていた。姉の陣内皐月もビジネスの世界にいて、九条津帆と九条美緒の話をしていたのだ。初めて会った九条美緒に、陣内杏奈は少し好奇心を抱いた。

男の腕が肩に回された時、陣内杏奈ははっと我に返った。

見上げると、そこには端正で上品な男がいた。

このお見合い自体は悪くないと思っていた。しかし同時に、九条津帆との差も痛感していた。家柄、学歴、社会的地位、何もかも彼とは釣り合わない。こんなお見合いをするべきではなかった。姉の陣内皐月の方が、彼にはふさわしい。

九条津帆は彼女を見下ろして、声をかけた。「杏奈?」

陣内杏奈は慌てて笑顔を作り、九条美緒と工藤智子に挨拶した。「私は陣内杏奈です。津
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