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第17話
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離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第775話
こんな仕打ち、耐えられない。九条時也は彼女を愛しているんじゃない。歪んだ独占欲を満たしたいだけだ。どんなに情欲に溺れそうになっても、魂の奥底まで突き動かされるような瞬間が訪れても、彼女は声を押し殺した。これ以上屈辱的な叫び声を上げるまいと、必死に耐え続けた――私に乗っているのは人間じゃない。獣だ。人としてあるまじき行為だ。耐えがたいほどの痛みが襲ってきた時だけ、水谷苑は魂の底からの悲鳴を上げた――やめて、やめて......どうしてこんなに痛いんだろう？なんでこんなに苦しいの？水谷苑の目は生気を失い、光が消えていった。初めて彼に近づき、キスをしたあの日、胸が高鳴った。でも、そんな思い出も、何度も体を重ねるうちに、色あせてしまった。九条時也、なんて残酷な人なの。それでも九条時也は飽き足らず、彼女を抱き上げてベッドの端に腰掛けさせ、小林渉の怒りと狂気に満ちた様子を無理やり見せたまま、水谷苑を抱いた......ああ。ついに水谷苑は耐えきれなくなった。顔を上げると、汗ばんだ首筋に彼の唇が触れ、噛みつかれた。彼はまるで自分を鼓舞するかのように囁きかける。「気持ちいいなら声に出せ！あいつに聞こえるように叫べ！苑、あいつにもう二度と、お前を奪おうなんて考えさせないようにするんだ！」水谷苑はまるで水から引き上げられたように、全身汗びっしょりだった。彼女はもはや何の音も立てず、まるで人形のように彼の思うがままだった。彼女はガラスの向こうの小林渉を見つめていた......小林渉にはこちらの物音が聞こえていた。ここで何が起こっているのか察し、狂ったように椅子を動かすが、言葉にならない。声は途切れ途切れだった――「彼女に触るな！彼女に触るな！彼女は何も悪いことをしていない！彼女に触るな！」......しかし、彼は何もできなかった。檻に閉じ込められた獣のように、一晩中、あの生々しい音に耐え続けた。そして、微かな何かが砕ける音を聞いた気がした。まるで......まるで水谷苑の心が砕ける音のようだった。やめろ。やめろ。彼女に触るな。後悔していた。全て自分のせいだ。彼女に会いに行かなければ、あんな想いを抱かなければ、こんな目に遭わなかったはずなのに......九条時也は本当に最
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第774話
水谷苑は呆然とした。頭に被せられた黒い布が、一瞬にして静かに濡れていく。信じられない気持ちで、彼女はかすれた声で彼に尋ねた。「本当に、こんなことをするつもりなの？」水谷苑は激しく抵抗した。夜の闇に引き裂かれるような声で、彼女は叫んだ。「時也、一体どんな悲惨な結末になれば、あなたは諦めるの？」九条時也の大きな手が彼女の首筋を掴み、自分の体へと引き寄せた。彼は彼女に覆いかぶさり、低い声で言った。「結末なんてどうでもいいんだ！苑、俺たちは永遠に一緒にいるんだ！」ゲームは終わった。彼女への甘やかし、彼女に与えていた自由は、ここで終わりだ。これからは全て彼が決める......実際、彼女が撮った写真はもう脅威にはならない。あのプロジェクトは別の会社に移した。形は変わっても、中身は彼のプロジェクトだ。彼女はもう、彼を脅かすことはできない。水谷苑は知らない。それも当然だ。彼は彼女を甘やかして、好き勝手にさせてやるつもりだった。だが、現実はそう甘くはなかった。彼女を自分の手のひらで転がしていなければ、また他の男に奪われてしまう。小林渉と河野誠は、よく似ている。......30分後、車は一戸建ての邸宅に到着した。ドアが開くと、九条時也は彼女を抱き上げ、灯りのついた玄関へとまっすぐに向かった。1分後、彼女の体はベッドに沈んだ。頭から黒い布が外された。金と黒を基調とした寝室は、視覚に強い衝撃を与える。水谷苑はベッドに仰向けになり、目尻にはまだ涙の跡が残っていて、それがかえって彼女を美しく見せていた。彼女の真上には、九条時也は、彼女をじっと見つめていた。彼はゆっくりと言った。「今、俺と帰れば、この後のことは何も起こらない。苑......お前を泣かせたくない」彼は彼女の顔を優しく撫でた。水谷苑は顔を背け、本能的に彼を拒絶した。九条時也の瞳は暗くなり、声も冷たくなった。「どうやら、お前は望まないようだな！大丈夫。今夜が過ぎれば、あの人はお前への未練を断ち切るだろう」あの人......水谷苑の体は震えが止まらなかった。P市で、九条時也のやり方を目の当たりにしていた。刑務所にいる自分のもとへ、彼は毎晩のように入り込み、自分の体を無理やり奪い、妊娠させたのだ。彼女は震える声で言った。「今度は何をしようっ
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第773話
話し合いが終わると、相手は先に帰っていった。水谷苑は一人で座り、残りのコーヒーをゆっくりと飲み干した。「奥様」耳元で上品な男の声が響いた。水谷苑は顔を上げた――なんと小林渉だった。小林渉は彼女の向かいに座り、少しやつれた様子で、水谷苑に言った。「瑶子と別れたんです」苑は淡々とした口調で言った。「あなたたちのことに興味はありません」小林渉は声を荒げて言った。「奥様、私たちがなぜ別れたか、分かりますよね？九条さんのせいです！彼が瑶子を誘惑したんです。最近、瑶子はまるで別人のようです。私と別れるのは構いません。でも、彼女がダメになってしまうのは見たくないんです」苑は皮肉だと感じた。そして小林渉に言った。「私が知る限り、時也の周りには瑶子のような女性がごまんといますよ。冷静に考えて......彼はもう飽きたのですよ！」彼女はため息をついた。「小林さん、瑶子を説得した方がいいですよ。でも、火の中に飛び込もうとする蛾を、他人が止めることはできないと思います」小林渉は静かに彼女を見つめた。彼は呟くように言った。「彼女はハンガーストライキをして、九条さんに会うことを懇願しているんです」水谷苑は心を動かされなかった。「すみません！私には何もできません！」最初から最後まで、河野瑶子に落ち度がないわけではなかった。水谷苑は立ち去ろうとした。しかし、小林渉は追いかけてきて、彼女の細い手首を掴んだ。そして苦痛に満ちた表情で言った。「お願いします！誠の顔に免じて......」水谷苑は彼の腕を振り払うことができなかった。彼女の目に、うっすらと涙が浮かんだ。それは、誠の血の涙に他ならなかった。彼女は胸が張り裂けるような思いだった。「あなたたちは誠がどうやって死んだか知っているはずですよね。時也がどんな人間か知っているはずなのに、なぜ彼に近づいたのですか？賢明な判断をなさるなら......すぐに彼女の家族に連絡して、香市に連れ帰るべきですよ！そして、もう二度とここに戻ってきてはいけません！」......小林渉は納得がいかなかった。「なぜですか！」水谷苑は冷たく言った。「彼が九条時也ですから！彼はどんなことでもやりかねない男ですよ！小林さん、あなたにそんなことができますか？」小林渉は呆然としていた。水谷
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第772話
河野瑶子は理解した。彼は最初から利用するつもりだったのに、自分は本気になってしまった。彼にとって、全ては芝居だったのだ。九条時也はバックミラーを拭いながら、さらに淡々とした口調で言った。「人事部に解雇通知を送らせる！半年間の給料は払うから。それで終わりだ！」そう言うと、彼は窓を閉め上げた。河野瑶子は思わず声を上げた。「九条社長！九条社長！」しかし、九条時也はすでに車を走らせていた。彼は河野瑶子を見下していた。確かに彼は河野誠のことを気にかけ、嫌っていた。だが、彼の中では河野誠にはいくらか気骨があり、少しは尊重に値する人間だと思っていた。しかし河野瑶子のような女は、見るだけでも時間の無駄だと思っていた。春の夜、彼は水谷苑のギャラリーを訪れた。道端で彼女を待った。10時頃、水谷苑はギャラリーから出てくると、九条時也の姿を見かけても見ていないふりをして、自分の車へと歩き、ドアを開けて乗り込んだ。彼女はエンジンをかけた。九条時也はすぐに車に乗り込み、アクセルを踏んで彼女の車の後を追った............水谷苑が帰宅すると、玄関を開けた途端、たくさんのプレゼントが部屋中に積み重なっているのが目に入った。高橋が近寄ってきた。「九条様からです！」水谷苑が何も言わないので、高橋は窓辺に行って外を眺め、そして感嘆の声を上げた。「まるでドラマのワンシーンみたいですね！他の女ならとっくに感動してメロメロになっているはずですよ！」水谷苑はダイニングテーブルにつき、ちゅるりとそばをすすり始めた。半分ほど食べると、彼女は顔を上げて静かに言った。「私はもう、プレゼントで感動する歳じゃないの。これらの物は明日、彼の会社に送り返して。彼とは、もう関わりたくない」高橋は頷いた。「そうですね！私たちだって今はお金に困ってないんですから」水谷苑はそばを食べ続けた。深夜、雷鳴が轟き、激しい雨が降り始めた。九条津帆はぐっすり眠っていた。河野美緒は雷の音に驚いて目を覚まし、わあわあと泣き出した。水谷苑は河野美緒を抱き上げ、優しくあやした。子守唄を口ずさむと、彼女の優しい声に河野美緒は腕の中で微笑んだ。その笑顔を見るだけで、穏やかな時が流れているのを感じた。水谷苑は長い時間あやしてから、名残惜しそうに河野美緒
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第771話
そう言うと、彼女はドアを開けて車から降りた。九条時也は自分のみっともない姿を気にせず、車から降りて彼女を追いかけた。だが、水谷苑は足早に去り、すぐに道の向こうの黒いワンボックスカーに乗り込んだ......黒光りする車体が、ネオンの光に照らされて虹色に輝いていた。水谷苑は車内に座り、未練は微塵も見せない。もしかしたら、自分は間違っていたのかもしれない。河野瑶子で彼女を脅せると思っていたが、水谷苑は、もうあの頃の少女ではなかったことを忘れていた。彼女は自分に刃を突き立てるほど、冷酷になれる女だ！河野瑶子ごとき、何だと言うんだ？九条時也は夜の街に立ち尽くし、長い間物思いに耽った。それから車に戻り、濡れたスラックスも気にせず運転席に座って、ゆっくりとタバコを吸いながら、水谷苑のことを考えた。一本のタバコを吸い終える頃には、彼は車を走らせていた。露出度の高いドレスに10センチのハイヒールを履いた河野瑶子は、必死に彼の後を追いかけながら、「九条社長、九条社長......」と叫んでいた。実は、九条時也はバックミラーで彼女の姿を気づいた。ひどくみっともない姿だった。だが彼は見ていないふりをして、暗い表情で黒いロールスロイス・ファントムを走らせた......後ろの河野瑶子の姿はどんどん小さくなり、ついには見えなくなった。この日を境に、河野瑶子は用済みとなった。彼女は冷遇され、九条時也は彼女に構わなくなった――彼女は相変わらず仕事もなく、接待やパーティーにも九条時也は彼女を連れて行かなくなった。彼女は太田秘書に理由を尋ねた。太田秘書は顔を上げ、河野瑶子をじっと見つめた。しばらくして、彼女は引き出しから古い写真を取り出し、河野瑶子に手渡した――河野瑶子は写真をつまみ、心臓が震えた。22歳の水谷苑は、細身で小柄だった。その透き通るような白い肌の美しい顔は、太陽の下で若々しく輝いていた。比べて、河野瑶子は見劣りした。太田秘書は静かに言った。「九条社長のような男性は、心に多くの闇を抱えています。奥様のように純粋な女性だけが彼の心に入り込み、忘れられない、手に入らない存在になるんです。河野さん、賢明な判断をするなら今すぐ辞めてください。私が申請のお手伝いをしますので、3ヶ月分の給料を上乗せして支給してもらいましょ
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第770話
九条時也は避けずに、真正面から受け止めた。彼の白い顔には、女の淡い指の跡が残っていた。ウェイターに見られても気にせず、舌で口の中を軽く触っていた。次の瞬間、水谷苑は彼に手を掴まれ、エレベーターへと連れて行かれた。水谷苑は彼の力から逃れられない。彼は彼女を地下2階の駐車場へ連れて行き、黒のロールスロイス・ファントムの後部座席に押し込んだ。水谷苑の頭は革張りのシートに強く打ち付けられ、我に返って逃げ出そうとしたが、再び彼にしっかりと押さえつけられた。彼は露骨な視線で、男の色気と欲望を露わにしながら言った。「俺は彼女とは寝ていない！寝るつもりもない！」九条時也の声はk掠れていて、抑え込んだ男の欲望が滲み出ていた。水谷苑と別れて以来、彼は女に触れていない。時折、手を慰めにはしたが、女を抱く快楽とは比べ物にならない。彼は体中が痛む。黒いスラックスはパンパンに張り詰め、限界まで理性を保っているのが見て取れた。彼は唇を彼女の耳元に寄せ、優しく囁いた。「苑、一緒に家に帰ろう！帰ってくれたら、すぐに彼女をクビにする......」水谷苑は静かに言った。「もし、あなたと帰らなかったら？もし、あなたの欲求を満たさなかったら、誠の妹と寝て、私を罰する、私を悲しませ、罪悪感に苛ませる......そういうこと？」九条時也は否定しなかった。彼は携帯を取り出し、ロックを解除してラインのメッセージを表示した。そこには、河野瑶子から送られてきた自撮り写真があった。誘惑的なVネック制服。性的な誘いはあまりにも明白だった。水谷苑は静かに目を閉じた。「彼女と小林さんは、私たちとは関係ない！時也、あなたにはどんな女だって手に入るでしょ？彼女を放っておいて！」九条時也は軽く鼻で笑った。「もし、彼女が勝手に寄ってきたら？」彼は再び優しい声で言った。「苑！一緒に帰ろう！彼女には手を出さないと約束する！」水谷苑の細く柔らかい体は、濃い色のシートにもたれていた。彼女は元々とても美しいが、今はさらに魅力的で生き生きとして見えた......九条時也は抑えきれず、彼女の首筋に顔をうずめ、何度もキスをした。水谷苑の体は上下に揺れた。彼女は目を伏せ、情欲に駆られた男を見つめ、優しく彼の頭を撫でながら、静かに言った。「どうしても答えが必要なの？」
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