LOGIN連れ添ってきた相手に裏切られ、人生に疲れて自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。 そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…… ピアノが得意で大企業の御曹司 山崎祥太君、24歳。 有名大学に通い医師を目指してる 神田文都君、23歳。 美大生で画家志望の 望月颯君、21歳。 真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心がゆっくり溶けていくのがわかった。 家族、同居の女子達とのやり取りにも大きく気持ちが揺れ動き…… 慌ただしく動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているのだろうか?
View More「みんなで旅行に行った時以来。あの時、結姉を真ん中にして俺達3人で囲んで撮った」「そうだったね。何だか懐かしいね。あの時、すっぴんの私をバシバシ撮るからすごく恥ずかしかったんだからね」「結菜さん、とっても綺麗でした。本当に……良い思い出です」「よし、もう数枚撮るから。スマホを見て」「は~い」後ろに頼もしい3人を感じながら、私はスマホに向かって再び微笑んだ。「みんなありがとう」「楽しみにしてるね。だけど、颯君、くれぐれも無理はしないで」「わかってる。でも、最高傑作にするから。あっ、ついでに4人の絵も描くから」「は?ついでってどういうこと?」祥太君が笑いながら言った。「祥太兄と文都君はおまけだから」「ひどいですね」文都君も笑った。「まあ、とにかく、めちゃくちゃ創作意欲が湧いてきた。帰ってキャンバスに向かうのが楽しみだ」「じゃあ、俺も……結菜ちゃんのためにピアノを弾くよ」「えっ、本当に?」突然の申し出が、飛び上がりそうになるくらい嬉しかった。「さっきの仕返しだな。俺達にも聴かせて」「僕も久しぶりに祥太君のピアノ、聴きたいです」「楽団にいる時より腕は落ちてるから、あまり期待しないでね」そう言って、リビングの隅で存在感を出しているピアノの前に座った。マンションの一室でも、これだけ広ければ迷惑にはならなのだろう。「祥太君のピアノが聴けるなんてドキドキする」心の声がこぼれた。そして……ピアノの音色が奏られ、一瞬でこの部屋がコンサートホールになった。とても響きがよく、迫力を感じる。「素敵……」「本当に……素敵ですね。悔しいけど、結菜さんのために祥太君が弾いてるのがわかります。想いが届くように……って」文都君が言ったことが本当かどうかは分からないけれど、私の心に祥太君の情熱がダイレクトに伝わってきた。数分後、演奏が終わり、祥太君が立ち上がった。みんなで拍手を送る。「ありがとう。久しぶりにみんなの前でピアノが弾けて良かった。楽しかったよ」「全然腕落ちてなかったし、なんなら前より良かったかも」颯君が言うと、「本当に?あんなに練習してたのにね。まあでも、たぶんリラックスしてるからだと思うよ。あの頃はずいぶん緊張もしたし、体も固かったのかも。今は……なんて言うか、背負うものがないというか、演奏を心から楽しめてるから」と
「久しぶりですね。祥太君、颯君」「本当に……みんな、元気だった?」数年後、私達は祥太君の招待を受け、ニューヨークで再会した。山崎フーズの関連会社設立のため、今は副社長としてこちらに住んでいる祥太君からの突然の誘いに本当に驚いた。あまりにも素敵な高級マンションの一室に案内され、とてもテンションが上がった。ペンションにも取り入れたくなるような部屋のレイアウトは、祥太君の彼女さんのセンスだそう。「はじめましてアリスです」「は、はじめまして」私達はアリスさんに挨拶した。日本とアメリカのハーフだそうで、日本語がペラペラな超美人。招待を受けた時に彼女の存在は聞いていたけれど、まさかここまでの美人だとは――「さあ座ってください。レストランに向かうまでこちらでゆっくりしていってくださいね」「ありがとうございます、アリスさん」「いいんですよ、結菜さん。あなたは祥太の大切な人なんですから」突然の言葉に驚いた。「……アリスさん?」「祥太から聞いてます。……本当に素敵な女性ですね。祥太が好きになるの、納得です」アリスさんはそう言って、豪快に笑った。「アリス。みんながびっくりしてるよ。もうそのくらいにしておいて」「あらら、私ったらつい。ごめんなさい。じゃあ、私はこれで失礼します」「えっ?アリスさんどこかに行かれるんですか?」「ええ。今日はパパとママと食事に行くんです。皆さんは、久しぶりの再会を楽しんでくださいね」アリスさんは、私達と別れ、笑顔で部屋を出た。「祥太君、アリスさん大丈夫なの?私達が追い出してしまったのかな?」「最初からアリスには予定があったから気にしないで。あの人は自分の家族との時間も大切にしたい人だから」久しぶりに会った祥太君と颯君。2人とも年齢を重ね、ますます素敵になっていた。みんなは40代。私は……50歳を超えた。何だか1人年上で恥ずかしい。テーブルに飲み物が置かれ、私達は久しぶりに4人で会話した。「結姉、相変わらず綺麗だ」「ちょ、ちょっと、そんな、綺麗だなんて止めて。さすがにお世辞だってわかるよ」顔から火が出そうなくらい照れてしまう。「お世辞じゃないから。本当に綺麗」「相変わらず颯君は直球ですね。結菜さんは僕の奥さんなんですからね」「文都、ヤキモチ妬いてるの?」祥太君が笑った。「祥太君、からかわな
文都君の優しさは海よりも深い。どんな時も、決して声を荒げることはなく、眼鏡の奥の瞳を細め、いつだって笑ってくれる。ただ、初めて文都君とベッドに入った時はとても驚いた。見た目とは違って、かなりたくましい体をしていたから。服を脱がなければわからなかった胸板に、急激に心臓が鳴り出し、ドキドキが止まらなかった。今まで想像もしなかった、文都君との交わり。熱い吐息が私の耳にかかり、そこからの時間はどうしようもなく甘くて情熱的で……身体中がとろけそうだった。「死ぬまでずっと離しません。あなたは僕にとって命よりも大事です」「そんな……文都君の命はとても大事だよ」「それでも、僕にはあなた以上の人はいません。死ぬほど大事なんです。絶対に僕が守ります。大切な結菜さんを……僕が必ず」文都君は出会った時と変わらず、ずっと敬語。今さら止められないみたいだ。だけれど、そういうところが真面目で誠実な文都君らしくて……好き。いつも激しく私を求める文都君を、私は自然に受け入れてしまう。あまりの気持ち良さに、もっともっと……と、私から熱望する夜もあるくらいだ。文都君の優しい雰囲気とのギャップに、私の体はいつだってトロトロになる。眼鏡を外した顔もとてもセクシーで、何ともいえない男の色気をまとっていて、魅了されっぱなしだ。文都君のせいで、私は……とてもいやらしい自分を知ってしまった。もうあなた無しではいられない、淫らな体になってしまったんだ。昼の幸せと、甘い夜の幸せ――私は、文都君のおかげで毎日ドキドキの連続だ。この幸せがいつまでも続いてほしいと願う日々。もちろん、自分だけではない、私の大切な人達にも……ペンションを手伝ってくれているお義母さんは、再婚してお相手と仲良く暮らしている。ペンションには通いで来てくれ、死ぬまでここで働きたいと張り切ってくれている。間違いなく、幸せだろう。現在、ペンションで働いてくれているスタッフも、またまたみんながイケメンで、お義母さんはいつも楽しそうだった。これからもずっと元気でいてね、私の大切なお義母さん。時々ふと思う。祥太君、文都君、颯君……3人がいたから、私は人生をやり直すことができた。みんなの優しい愛に包まれて、今までずっとずっと幸せだった。夢も叶え、結婚までできて。みんなには、感謝しかない。祥太君も颯
そう、私は、1年前に神田 文都君のお嫁さんになった。「神田 結菜」になったんだ――年の差を乗り越えて、私達は、今すごく幸せに暮らしている。ペンションの隣に「神田内科クリニック」ができて1年半。たくさんの患者さんが、文都先生のもとに集まってくる。優しくて信頼が厚く、そして……眼鏡をかけたイケメン先生には当然のようにすぐにファンがつき、あっという間に人気の病院になった。病院が開院してすぐの頃、文都君は私にプロポーズしてくれた。「大好きな結菜さん。僕と結婚して下さい」ごくありふれたプロポーズの言葉だった。だけれど、文都君らしくて、私は心から感動し、涙がとめどなく溢れた。どうしようもないくらい嬉しくて、幸せで……心が大きく揺さぶられた。その時、今までよくわからなかった気持ちが吹き飛び、自分でもちゃんと文都君を愛してると思えた。もう迷わない、私は文都君の奥さんになりたいと――結婚式は身近な親戚をペンションに集め、お義母さんやスタッフも手伝ってくれて、慎ましやかに行った。その時の写真も送り、2人で祥太君と颯君に電話で報告したら、文都はズルいと何度も言っていた。『結菜ちゃんを一生大事にしないと許さない。泣かせるようなことがあれば、すぐに日本に帰って文都を殴る』「殴らないで下さいね。祥太君は前も殴ろうとしてましたし、本当に……男気のある人ですから」『……ああ、川崎さんの時だね。確かにそんなこともあったよね。あの時は結菜ちゃんを守りたくて必死だった。でも、これから先は文都が結菜ちゃんを守るんだ。いいな』「わかってます。必ず守ります。だから安心してください」『……うん、まあ……文都がいるなら大丈夫。心配はしてないよ』「祥太君……」2人のやり取りに涙がこぼれる。本当に私はいつもみんなに守られてきたんだ。颯君に連絡した時も同じだった。『結姉との生活、何から何まで全部うらやましい。夢のために結姉から離れた俺が悪いけど……でも文都君、必ず結姉を幸せにして。絶対に離すなよ』「はい。絶対に絶対に離しません。僕が必ず結菜さんを幸せにします」『……文都君なら任せられる。結姉が病気になっても助けてあげられるし。俺にはそれができないから……』「颯君の分まで僕は結菜さんを守りますから」『ああ、頼む』「はい、任せてください」2人の言葉に、文都君は改め
「結菜ちゃん、あのさ……ちょっと話があるんだけど」「えっ?」「俺達3人でいろいろ考えたんだ」「う、うん」いったい何を言われるのだろう。祥太君の言葉にドキドキする。「川崎さんのことがあって、健太さんが出ていって、智華ちゃんもいなくなって。結菜ちゃん、すごく参ってると思うんだ。本当にいろんなことがあり過ぎて……」「……確かにそうだね。短い間にいろいろあり過ぎたよね」祥太君が言ったことだけではなく、目の前にいる3人からの告白も、私にとってはあまりにも大きな出来事だった。冷静な態度をとってはいるけれど、内心ドキドキで、テレが顔に出てしまうときもある。「結姉、いっぱい悩んだよな」「…
どうしてあなたはそこまでひどいことが言えるの?思わずそう言いたくなる。だけれど、みんながいるこの家でなるべくケンカはしたくない。私は言葉をぐっと飲み込んだ。「あなたはどうなの?私より年上なのに、智華ちゃんみたいな若い女の子と仲良くして」怒りにならないように、なるべく冷静に言った。「は?俺が誰と仲良くしようと関係ないだろ。それに、男は年齢を重ねた方がどんどん磨きを増していく。でも、女は若いうちが花だろ?お前は若くないし、可愛くない。見た目も性格もな」ナイフのように突き刺さる言葉……心臓をえぐられるような苦痛。だけれど……私に反論の余地はない。顔も性格もたいしたことない……確
文都君……こんな私に、優しい言葉をかけてくれてすごく嬉しい。文都君の純粋で綺麗な心。それに触れてしまったら、今まで自分がしてきたことに激しい後悔をしてしまう。私は、本当にバカな女だ。とことん自分が嫌になる。でも、おかげでハッキリと心が決まった。川崎君との関係にケリをつけたいと――中途半端にしていては何も解決しない。私は、何かに急き立てられるように、その場で川崎君に電話をかけた。「……」何度かコールしているけれど、反応がない。もう1度かけてみよう……「……はい」「あっ、ごめんね、川崎君。今、話せる?」出てくれたことは良かったけれど、なんだか声に元気がない。「うん
あれから、月日は流れ、1ヶ月が過ぎた。7月に入り、いよいよ本格的な夏がやってきた。太陽が照りつけ、うなだれるような暑さの中でも、綺麗に咲く庭の木々や草花達には毎日癒されている。同居人のみんなが、それぞれに慌ただしく何かに頑張っている日々――私自身は、そんなみんなに元気でいてもらいたいと、いろいろな料理を作ることを楽しみにしていた。栄養をつけてもらいたいから、料理の勉強にも力を入れた。そして、家事の合間には、少しの時間を見つけて颯君の絵のモデルもしていた。ほんの少しの間でも、回数を重ねるごとに、最近はずいぶん慣れてきた……ような気がする。最初はあんなに緊張していたのに。きっと颯君