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第503話
最新チャプター
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第511話
小林颯は、穏やかな口調でこれらのことを話した。九条薫は静かに彼女を見ていた。小林颯はまるで別人のように変わり、伊藤夫人と同じくらい、強い女性になった......彼女は小林颯のことが嬉しかった。伊藤夫人の話になり、小林颯は今度一緒に食事をしようと誘ってきた。小林颯が伊藤夫人と会いたがっているのは、本当は、彼女が奥山智と親しい間柄だから。彼がこの世から跡形もなく消え去ってしまうのがたまらなくて、だから誰かが奥山智のことを話してくれるのを聞きたかったのだと、九条薫はよくわかっていた。小林颯のアパートを出た後、九条薫は、込み上げる悲しみを胸に、奥山智が亡くなったこと、そして運命の不条理を本当に恨めしく思った。しかし、彼女は現実を変えることはできない。夕方、彼女はTHEONEのオフィスビルへ行った。年明け後、溜まっていた仕事を片付けていると、あっという間に夜の7時になっていた。窓の外では、街のネオンが輝き始めていた。九条薫が片付けをして帰ろうとした時、デスクの電話が鳴った。彼女は特に何も考えずに電話に出た。「はい、九条です」電話口から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。藤堂沢だった！夜の帳が降りる中、藤堂沢の声は優しく響いた。「まだ仕事をしているのか？もう退社時間だろう？」九条薫は携帯を見ながら、「私のことを尾行しているの？このバカ！」と言った。藤堂沢は怒らなかった。彼は優しい声で言った。「ジョンに聞いたまでだ。尾行なんてしていない。薫、そんなに緊張しないでくれ」「緊張」という言葉が、彼に言われると、何だか意味深に聞こえた。九条薫は眉間を揉みながら、低い声で言った。「沢、何か用事があるならはっきり言って。あなたと駆け引きする気力はないわ」九条薫の疲れた声を聞いて、藤堂沢は少し胸が痛んだ。彼は低い声で、「迎えに行こうか？」と尋ねた。九条薫は「結構だ。私の運転手が待っているので」と断った。藤堂沢の声は優しく、そして思いやりに満ちていた。「それじゃあ、先に帰ってくれ。サプライズが待っている」本来なら、九条薫はここで電話を切るべきだった。しかし、彼女はそうしなかった。彼女は何も言わず、ただ静かに受話器を握っていた。電話の向こうの藤堂沢もまた......電話越しに聞こえるのは、互いの静かな
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第510話
最初から最後まで、彼女は他の男の妻だった。そして最初から最後まで、自分は哀れな傍観者だった。グローブボックスの中の携帯が鳴った。黒木智は無視した。しかし相手は諦めずに何度もかけてきたので、着信音が鳴り続けた......ついに、彼は携帯に手を伸ばし、画面を見た。婚約者からだった。相手の声は穏やかだった。「智、明日、ウェディングドレスのサイズをもう一度直したいんだけど、付き合ってくれない？」黒木智はシートにもたれかかり......彼は無表情だった。彼女が自分のことを好きでいてくれるのは嬉しいが、ただの政略結婚なのに、なぜそこまで真剣になるんだ！それでも、彼は彼女に敬意を払った。彼は嗄れた声で言った。「ああ、いいよ。時間を秘書に伝えてくれ。明日、付き合う」女性は上機嫌で、結婚式の詳細について熱心に話し始めた。黒木智は静かに、そして辛抱強く聞いていた......が、上の空だった。ただの政略結婚なのに！......藤堂沢は小林颯のアパートの前に車を停めた。九条薫がドアを開けると、彼は彼女の方を向き、ハンドルを優しく撫でていた。その姿は、絵になる美しさだった。彼は尋ねた。「今夜は本当に、会わないのか？」九条薫の答えは、ドアを勢いよく閉める音だった。だが、藤堂沢は逆にそれを面白がっていた。男が女を追いかける時、達成感も大切だ。彼女が簡単に自分の誘いに乗ってきたら、面白くない......藤堂沢は普通の男だったので、性的な欲望を抱いていることを否定しなかった。九条薫はそのままアパートの中へ入っていった。小林颯のアパートは一等地にある、78坪もある広い部屋だった。小林颯と奥山智の娘、奥山萌の二人暮らしだった。家政婦はパートタイムで、普段はここに住んでいなかった。小林颯は九条薫にドアを開けてあげた。ドアが開くと、九条薫は小林颯の目が腫れていることに気づいた......彼女がじっと見ていると、小林颯は彼女が気づいたことを察し、「ええ、昨夜、晋に会ったの」と素直に言った。彼女は九条薫を部屋に招き入れ、コーヒーを淹れた。二人はカウンターに座って、しばらく黙っていたが、小林颯が「何もなかったわ」と続けた。九条薫は彼女の目を優しく撫でながら、「じゃあ、どうして泣いてるの？」と尋ねた。小林颯は
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第509話
しかも藤堂沢は、意地悪く彼女をからかった。「気持ち良かったか？それとも、年を取って性欲が旺盛になったのか？俺と付き合うのは嫌だと言いながら、体が求めてしまったらどうするんだ？俺みたいにお前を満足させてくれる男が、他にどこにいる？」本当に厚かましい！九条薫は強がって「男なんて、どこにでもいるわ！」と言い返した。藤堂沢は静かに彼女を見つめた。黒い瞳には、男の危険な光が宿っていた。九条薫は、自分がもう一言でも余計なことを言ったら、彼はきっとまた同じことをするだろうと思った。藤堂沢は無表情で、彼女を軽く叩いた。九条薫は恥ずかしいので、彼の首に抱きついた......二人はしばらく黙っていたが、藤堂沢は彼女の耳元で囁いた。「またしたくなった」もちろん、彼はそこまで酷い男ではなかった。昔はそうだったかもしれないが！昔なら、自分の欲求を満たすことだけを考えていただろう。しかし今は、彼は心から九条薫を愛し、彼女を求めている。夫婦間のことは、お互いの合意が大切なのだ。受け入れてもらうのと、無理強いするのは違う！彼は彼女を解放したものの、しばらくの間、彼女の体を愛撫していた。ドアをノックする音が聞こえてきて、ようやく彼は手を離した。スラックスのあたりが、明らかに膨らんでいた......藤堂沢は意味ありげな視線を彼女に送った。彼はドアを開けて、ルームサービスのワゴンを運んできた。食事の匂いを嗅いだ九条薫は強情を張らずに自分で顔を洗い、服を着替えたが、ストッキングだけは破れていて、履くことができなかった。藤堂沢は少し照れくさそうに、「後で持ってこさせる」と言った。九条薫は何も言わなかった。昨夜からほとんど何も食べていなかったので、少しお腹が空いていた。食事中、彼女は黙っていた。藤堂沢は優しく、そして献身的に彼女に尽くした。九条薫が反応しなくても、彼は根気強く接し続けた。男が女を追いかけている時は、本当に違うものだな、と九条薫は思った。30分後、彼女は食事を終え、ナイフとフォークを置いた。藤堂沢は彼女を見て、静かに言った。「後で家まで送る」九条薫は首を横に振り、「颯のアパートまで送ってくれる。彼女が心配で......」と言った。藤堂沢は微笑んだ。彼は何も言わず、食事の後、彼女と一緒にチェックアウトの手続きを
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第508話
白いベッドに朝日が差し込み、ベッドが軋む音が響いた。それはしばらく続いた......今回は、藤堂沢は40分ほどで終わった。激情が収まり、二人は抱き合っていた。汗ばんだ体に、藤堂沢は九条薫の耳元で囁いた。「まだ、俺のことが好きじゃないと言えるのか？ただの遊びだと言えるのか？」九条薫は息を切らし、徐々に呼吸を整えていった。しばらくして、彼女は静かに言った。「あなたは昨夜、避妊しなかったわね。薬を買ってきて」藤堂沢は、また子供ができても構わなかった。養えるくらいのお金はある。しかし、最近服用している薬は、妊娠には適さないことを思い出したので、彼女の言う通りにすることにした。しかし、九条薫がこういう薬を飲むと体調を崩しやすいことを、彼は覚えていた。藤堂沢は製薬会社の社長だったので、薬のことは何でも知っていた。彼は起き上がって服を着ながら、優しい声で言った。「薬を買ってくる。少し時間がかかるかもしれないから、お前は寝ていろ」九条薫は本当に疲れていたので、毛布を体にかけた。藤堂沢は階下へ降り、車で藤堂グループに戻り、藤堂製薬が開発した副作用の少ないアフターピルをもらってきた......ホテルに戻ったのは、12時近かった。カードキーで部屋のドアを開けると、スイートルームは静まり返っていて、かすかにムスクの香りが漂っていた。九条薫はまだ眠っていた。彼女はよほど疲れていたのだろう。藤堂沢が入ってきても、全く気づかなかった。藤堂沢は彼女を起こさず、ベッドの横に腰掛け、手の甲で優しく彼女の顔を撫でた......九条薫は顔にかすかな痒みを感じ、ゆっくりと目を開けた。すると、目を覚ました先には藤堂沢の姿があった。彼の優しい眼差しは、隠しきれていなかった。二人はしばらく見つめ合った後、藤堂沢は彼女の頬をつまみ、少し嗄れた声で言った。「今度は俺が気を付ける。昨夜は興奮しすぎて、すっかり忘れてしまっていた」九条薫はベッドにもたれて、彼を見ていた。しばらくして、彼女はかすかに微笑み、「沢、あなたが急に優しくなったので、まだ少し戸惑ってしまうわ」と言った。藤堂沢は彼女をじっと見つめた後、立ち上がって水を注ぎ、朝食を用意した。「何か食べてから薬を飲んだ方がいい。胃に優しいから」「いいえ、大丈夫よ。私はそんなにか弱
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第507話
リビングから寝室、そして浴室まで、藤堂沢は一晩中、九条薫を求め続けた。3時近くなって、ようやく彼は彼女を解放した。彼は本当に飢えていた。何度も何度も、彼女を求めた！シャワーを浴びた後、すっかり酔いの醒めた九条薫の体は痛んでいたが、かつてないほど満たされていた......藤堂沢の温かい腕に後ろから抱かれながら、彼女はこの酒に酔った勢いでの出来事が、予想していたとはいえ、本当は起きるべきではなかったと反省していた。彼女は彼に抱かれ疲れ果てていたので、何も考えずに眠ってしまった。藤堂沢は彼女の髪を弄びながら、彼女が起きていること、ただ話したくないだけだということを知っていた。彼は彼女に何も言わず、静かに彼女を抱きしめて眠りについた。翌朝、朝日がホテルのスイートルームに差し込み、九条薫は目を覚ました。目を開けると、目の前には藤堂沢の端正な顔があった。昨夜の記憶が、波のように押し寄せてきた。九条薫は寝返りを打ち、手で目元を覆った。すると、嗄れた男の声が耳元で聞こえた。「起きたか？」九条薫は「ええ」と答えた。彼女はどこか冷淡な態度だったが、藤堂沢はそれを許さなかった。彼は彼女の体の上に覆いかぶさり、キスをした......キスは次第に熱を帯びていった。二人は見つめ合い、意味深な視線を交わした。しばらくして、九条薫は潤んだ目で、顔をそむけながら静かに言った。「痛い......離して」藤堂沢は彼女を離さなかった。だが、彼もただ彼女に優しくキスをしただけでそれ以上のことはしなかった。それは悠長で、しっとりとした、まるで時の流れが止まらなくなるように......そのまま、時空の果てまで続くようなキスをひたすら続けていた。しばらくして、彼は彼女を見ながら言った。「昨夜は意味がなかったと言えるのか？薫、お前の方が俺より、夢中だったじゃないか」九条薫の顔が赤くなった。彼女はそれを認めたくなくて、呟いた。「酔っていただけ。昨夜は、なかったことにしよう」藤堂沢は彼女をじっと見つめ、「今は酔ってないだろう？もう一度、試してみるか？」と言った。藤堂沢が本気だと気づいた九条薫は、慌てて彼の肩を押しのけ、ベッドに座り直した......しばらく考えてから、彼女は言った。「沢、私たちは昔、何度も関係を持ったわ。一度くらい多
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第506話
シャンパンの芳醇な香りと、彼女の柔らかな唇......熱い吐息が絡み合い、キスはどんどん深くなっていった。彼女が耐え切れなくなって彼の首に抱きつき、か細い声で「沢......やめて......」と訴えるまで、続いた。藤堂沢は少しだけ唇を離した。彼は彼女に額をくっつけ、低い声で尋ねた。「こうするのは嫌か？......じゃあ、こうしたら？」そう言うと、彼は彼女を抱き上げ、服の上から直接......ああっ！九条薫は激しく抵抗したが、アルコールのせいなのか、それとも彼女もまだ彼のことが好きだったのか、あるいは女としての本能なのか......しばらくすると、彼女は抵抗をやめ、伏し目がちに彼を見つめていた。彼女の目には、欲望が浮かんでいた。酔っていても、女としてのプライドは失っていなかった。彼女はただじっと、彼が自分を喜ばせてくれるのを見ていた。彼がうまくやってくれると、彼女は彼の首に抱きつき、耳元で彼の名前を呼んだ。「沢......沢......」彼らはかつて、こんなにも激しく求め合ったことはなかった。彼らはまだ駐車場にいたが、抑えきれない衝動に駆られていた。アルコールのせいもあったが、それ以上に、男女の本能的な欲求だった......藤堂沢はボタンを押し、スモークフィルムで窓を覆った。外からは車内が見えなくなった。彼は九条薫を自分の体の上に乗せた。すべてが衝動的で、激しい......九条薫のストッキングは片方しか脱げておらず、彼女の細い足首にセクシーに絡みついていた。そして、二人は深く結ばれた。藤堂沢のベルトのバックルが彼女のお腹に当たり、痛みを感じさせた。九条薫は彼に抱きつき、掠れた声で「痛い......」と訴えた。藤堂沢は熱い顔を彼女の顔にすり寄せ、彼女を見下ろしてから、ベルトを緩めた......高級車の車体が、リズムに合わせて揺れていた。車内には、彼女のアルコールと香水の香りが混ざり合い、藤堂沢の心を掴んで離さなかった。胸が締め付けられるような感覚だったが、彼はこの感覚に溺れ、止めようとはしなかった。彼は彼女の耳元で低い吐息を漏らし、男の恍惚とした声が響いた。九条薫は、男の声がこんなにセクシーだとは知らなかった。彼女は紅潮した顔で彼の端正な顔を両手で包み込み、自分からキスをした.....
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