しばらく考え込んだ末に、双はぽつりと言った。「射撃を習いたい」「……えっ?」香織は一瞬、言葉に詰まった。双は言った。「テレビで見たんだよ、ほら――こうやって構えて……」そう言いながら、彼は小さな体で構えのポーズを真似した。「シュッ!って撃って、真ん中に当てるの!すごくカッコいいよ!」その話をするときの双の目は、まるで星のようにキラキラと輝いていた。――よっぽど気に入ったらしい。男の子だもの、そういうのに憧れるのも無理はない。「でも今はまだ早いんじゃない?もう少し大きくなってからでもいいでしょ?」香織が言うと、双は首をぶんぶん振った。「小さいのでもいいんだよ!僕、小さいの使う!」「じゃあ、ママが調べてみるわ。子供向けの射撃教室があるかどうか」そう言いながら、彼女は微笑んで手を叩いた。「さあ、今日の勉強を始めましょう」「射撃はもうやらないの?」香織は優しく諭した。「私は射撃の先生じゃないから教えられないの。ちゃんと調べてからじゃないと通わせられないでしょ?でもね、もし射撃を習うことになっても、私が教えることはちゃんと勉強しなきゃダメよ。ただ遊びの時間が少し減るだけ」双は目をぱちくりさせた。「ぼく、こんなにちっちゃいのに、そんなに勉強したら死んじゃうよ?」香織は笑みを浮かべた。「双はお兄ちゃんでしょ?もう大きいんだから、お兄ちゃんらしいことをしなきゃ」「でも、僕はまだこんなに小さいよ」そう言いながら、彼は自分の身長と香織の身長を手で比べて見せた。香織は彼の頭を優しく撫でた。「双は、もう立派な小さな男の子よ。これからは、もっともっと強くなって、ママを守ってくれるんでしょ?」そう言いながら、彼を膝の上に抱き上げた。「双、大きくなりたい?」「なりたい!」双は即答した。香織はふっと息をついて、ぎゅっと彼を抱きしめた。――小さい頃は、大人になることを夢見る。でも、大人になると、あの無邪気な日々が恋しくなる。知らないことが多いほど、人生は楽しい。でも、知るほどに、悩みは増えていく。「ママ、悲しいの?」双は顔を上げて、じっと彼女の目を見た。香織は微笑んで、彼のほっぺにキスをした。「ううん、全然」双は目をこすりながら言った。「ママ、ねむい……」香織は彼を見下ろした。ついさっきま
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