All Chapters of 桜華、戦場に舞う: Chapter 1461

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第1461話

戦いは凄絶を極めた。天地が暗転するほどの激戦だった。鮮血、屍、千切れた四肢、断末魔の叫び——白霧山全体がこの世の地獄と化していた。死神は朝日と共に舞い降り、山全体を薄金色の霞で包み込む。玄武が馬を駆って現れ、降伏を呼びかけた。ヴビクターを引き渡せと。だがヴィクトルも声を張り上げて叫び返す。大和国の連中は卑怯だ、武器を捨てれば待っているのは死のみ、戦い抜いてこそ一縷の望みがある、と。しかし、どうやって突破するというのか?大和軍の武器は精巧で、六眼銃は遠距離から確実に仕留める。勝ち目などあるはずもない。ビクターの部下たちが次々と血の海に沈んでいく。ビクターは刀を構え、眼前に迫った玄武へと切っ先を向けた。その瞳には様々な感情が渦巻いている——敗北、死、絶望。北冥親王が邪馬台に出征する前、ヴィクトルは栄光に包まれていた。一族は彼のおかげで天まで駆け上がり、羅刹国民が心から敬愛する英雄だった。全てを邪馬台で得て、そして邪馬台で失った。玄武を見つめながら、刀を上げる腕にはもう力が残っていない。宿敵を指すのがやっとで、手は無様に震えている。あまりにも多くの無念が胸を焦がしていた。やがて刀の切っ先は自分の首へと向けられた。四方八方から突きつけられた刃が既に喉元に迫っているというのに、彼自身の刀が顎下に食い込み、一筋の血を滲ませる。必死に顔を上げ、玄武を冷然と見据えた。「貴様らに殺されはしない。この身は自らの手で始末する」言葉と共に頭を反らし、鋭い刃が喉笛を裂いた。鮮血が溢れ出す。鹿之佑が先に刀を引き、言い放った。「自分の手で死のうが構わん。我らが欲しいのは貴様の首だけだ」群れをなした鴉と鷲が白霧山の上空を旋回している。黒雲のように空を覆い尽くし、陽光さえ遮っていた。鴉の鳴き声が弔鐘のように響く中、ヴィクトルが息を引き取る直前に見たものは——眼前の闇だけだった。そして耳に響くのは、死を告げる鴉の声。首を刎ねられたビクターの頭部からは、もはや血も滲まない。茶碗ほどもある傷口を目にしても、羅刹国の兵士たちに怒りは湧かなかった。ただ恐怖があるのみ。頭を失った軍勢に、もはや抗う意味などない。足掻いても死が待つだけ——それもより惨たらしい死が。兵士たちは戦う気力も残っていなかった。飢えと疲労で呼吸さえ苦しい。武
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